塾生の声
答えのない時代にゆるぎない視座を求めて、大前研一の門を叩いた
次代のリーダーたちを紹介します。
プレジデント誌 2015年3月16日号、2018年3月19日号、2018年8月13日号の記事を掲載しております。
宮内 健=文 宇佐美 雅浩=撮影
BBT経営塾体験記
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会社も経営塾も底上げしたい
笹原 優子
NTTドコモ・ベンチャーズ
代表取締役社長
1995年NTTドコモ入社。iモードサービスの立ち上げ時より企画に携わる。2014年より新事業創出を目的とした「39works」プログラムを運営。21年6月より現職
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知的好奇心が刺激されている
NTTドコモ・ベンチャーズの笹原優子氏も大前氏が塾長を務める経営塾で学ぶひとり。同社は、NTTドコモのファンドとNTTのファンドを持つ、NTTグループ全体のコーポレートベンチャーキャピタルだ。投資業務と共創による事業シナジーを担い、スタートアップとNTTグループの間のインターフェイスのような業務を行っており、彼女はその代表を務める。笹原氏が経営塾に入るきっかけは、ある課題に直面していたからだという。
「弊社は東京とシリコンバレーの2カ所に拠点があります。私は東京にいるのでどうしても東京のことが多く見えますし、シリコンバレーにはローカル社員もいる。そうするとやはり情報ギャップが出てきてしまいます。ただ私がトップということもあって、働くメンバーは私に伺いを立てることが多いんですね。私は、それを私だけに任せないで、みんなの視座を上げることで一緒に方向性をつくりながら前に進んでいきたいと思っています。そのためには、私がさらなるリーダーシップを発揮する必要があると感じていました」
そんな笹原氏が経営塾のカリキュラムのなかで感銘を受けたというのが「大前研一」ライブだった。
「大前さんの視座が高く、視点も多角的で刺激を受けました。たとえば、ロシア・ウクライナ情勢について、日本のメディアの報道は、偏向報道とは言わないものの、ウクライナ側からの視点に終始している印象がありましたが、『大前研一ライブ』は歴史をふまえてあくまでフラットに両国について情報を提供してくれました。大前さんの結論も提示されますが、自分だけでは手に入れられないようなエビデンスを得られますから、自分なりの解釈をできるのもいいですね。このように、世界で起こっていることを知りたいという知的好奇心が刺激されて本当に興味深いです。その結果、視座が高まり、アンテナが広がったと強く感じています」
楽しみながら課題に向き合い、同期生からの評価も高いという笹原氏だが、自身は「まだまだです」と話す。
「常に自分の構想が陳腐なんじゃないかと思っているんです。私は私なのでしょうがないのですが、たとえば1歳しか変わらないイーロン・マスクさんや、過去にiモードを立ち上げるときに同じチームで仕事をした夏野剛さんのような構想力はまだ身についていないと思います。私個人の能力もそうですし、私が成長することでチーム全体の視座を高めて、会社全体のシナジーをつくり出していけるのではないかと考えています。その意味で、経営塾に参加している皆さんとも現状に甘んじることなくさらなる高みを一緒に目指していきたいです。たとえば、私たちよりもっと若い世代など参加者の多様性が増せばアイデアも今以上に幅広くなって各々が得るものも増えるはずです。ぜひ経営塾にいろいろな方に参画いただき、お互いにレベルアップして実践に活かしていきたいですね」
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経営塾は事業の延長線上と思った
栗原 正憲
NTTデータ
ITサービス・ペイメント事業本部カード&ペイメント事業部部長
1996年NTTデータ入社。NTTデータの決済サービス「CAFIS」や金融機関、流通企業向けの企画・システム開発に従事。現在はCAFISの事業責任を担う。
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目的意識があればヒントは見つかる
栗原氏は電電公社時代から続く、主にクレジットカードを中心とした共同利用型のオンラインシステム「CAFIS」の事業責任者だ。そんな栗原氏は経営塾に入塾してすぐ、その意欲に火がつくことになる。
「最初に受けた講義のテーマが、フィンテック(従来の金融サービスと技術を組み合わせた領域)についてで、大前さんが『CAFISなんていますぐ解体するべき!』と自分が従事している業務を一刀両断する発言をしていたんです。インターネットが当たり前になった現代でCAFISの持つ価値は昔ほど大きくなくなってきているのは喫緊の課題でしたし、時代の変化に対して受け身ではなくむしろ構造変化をリードしていかなければならないと思っていたので一気に引き込まれました。もちろん、自分のほうがもっと知っているぞ、という思いもありました(笑)」
フィンテックのほかにも事業に直結するテーマが多く、栗原氏が経営塾での学びにのめり込む原動力となった。
「別の研修だと古い本を読まされてレポートするだけ、みたいなことがありがちなんですけど、それだとモチベーションは上がりません。一方、経営塾では事業課題と直結するテーマが多いので、私のなかでは事業の延長線上という形に近いんです。同期生の皆さんに赤裸々に弊社の課題を相談したこともありますし、意見をかなり参考にさせてもらいました。経営塾に影響されるというより、利用している感覚でした。数年前の講義の動画も経営者やマネジメント層にとってタイムリーなものばかりですし、大前さんが現在進行形の経営課題をきちんと直視して話されているところもほかの研修と違うストロングポイントだと感じていました」
最後に、経営塾を受けるべき人について栗原氏に聞いた。
「年齢や役職にかかわらず、課題認識を持っているなら受講すべきだと思います。このままじゃいけないという目的意識がはっきりしているのなら、きっとヒントが得られるはずです」
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様々な業界の集合知を得られた
渡瀬 順平
NTTセキュリティ・ジャパン
IoT事業部 事業部長(取材時)
1971年生まれ。96年、NTT入社。法人営業、研究開発、事業開発、海外M&A、海外事業統合等を経験。2016年よりNTTセキュリティの設立、運営、新事業開発に従事。
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同期生となら大前研一さんを追い越せる
デジタル化の推進と同時に必要となるのがサイバー犯罪に対するセキュリティの強化だ。NTTセキュリティ・ジャパンの渡瀬順平氏も、日々拡大するサイバーセキュリティ事業に従事する一人だが、大前経営塾での学びが仕事に大きく寄与しているという。
「新規事業や海外事業を取り扱う職業柄、業界を問わずビジネスの今後やビジョン、世界の動向は常にチェックしていたので、それなりに視野は広いほうだと自負していました。しかし、大前経営塾に参加したことで、さらに視野が広がったと思っています」
渡瀬氏が話す大前経営塾とは、大前研一氏が塾長を務めるオンライン講座。経営者にとって必要な知識と能力の養成を目的としており、答えのない現代社会で「答えを導き出す能力」と、方向性の見えない時代に「構想する力」を身につける内容が特徴だ。
カリキュラムは3つの必須科目と2つの任意科目で構成されている。必須の3科目は、現代の企業経営者にとって最重要なテーマで構成される『現代の経営戦略』。経営者として必要な論理思考から構想力までの本質的思考力を磨く『新しい能力を身につける』。毎週一人の実在する企業の経営者を取り上げ、自分がその人ならどうするかを考える『Real Time Online Case Study(RTOCS)』。任意の2科目は、大前塾長が過去1週間のニュースからピックアップしたものを独自の視点で解説する『大前研一ライブ』。そして企業経営者による『経営者講義』。
受講期間は1年間。講義はすべてオンラインで配信されるため、スマホやタブレット、PCとネット環境があればいつでもどこでも受講が可能だ。一般のセミナーのように講義の動画を視聴するだけの一方通行型ではないのが特徴で、講師からの直接指導があるほか、他流試合とも言える異業種の同期生との議論も行うので、論理的に議論する力を磨きつつ視野も広げられる。
そんな大前経営塾のカリキュラムの中で、渡瀬氏が特に熱心に取り組んでいるのがRTOCSだという。
「RTOCSでは実在する企業の現時点での事業構想が課題として出されるため、経営者レベルの高い視座と幅広い情報収集力、深い思考が求められます。私はIT業界のことしか知らなかったこともあって最初は苦労しましたが、同期生と一緒に情報収集、ディスカッションを重ねる中で、自分一人で考えていたら到達できなかった発想や視点に毎回出合えています。一人では大前研一さんの思考に及ばなくても、同期生となら追い越せる。様々な業界で活躍している人材の集合知を得られることも、大前経営塾での学びに対する大きなモチベーションになっています。学びの場ではありますが本当に楽しくて、もはやRTOCSが趣味と言っても過言ではないかもしれません」
大前経営塾での学びは、現在の仕事にどのように活きているのか。
「間接的ではあるものの、顧客対応に役立っていると思います。すべてではありませんが、セキュリティは『コンプライアンスのために......』と仕方なくやっている企業も多いのが現実です。そうなると予算も潤沢ではなく、十分な結果も期待できません。しかし、大前経営塾で学んだ各業界のトレンドや、大企業の経営者レベルの視座を対話に織り交ぜられるようになったことで、これまで以上に取引先にセキュリティの重要さを伝えられていると思います」
渡瀬氏が考える今後の日本社会や自身の働き方にも、大前経営塾での経験が影響しているという。
「これから日本も人材の流動化が進んでいくと思います。より能力の発揮できる会社に業界を超えて転職する人や、成長産業で起業する人が増えることで停滞気味な日本に活気が出てくるはず。私もセキュリティだけでなく、データ分析やIoTなどデジタル技術を活用した事業開発に興味が出てきています。目の前の仕事を一生懸命やることに加えて、社会で求められる新しいスキルの継続学習が重要だと気づきました。様々な業界の経営課題に毎週向き合うことで分析力と構想力が鍛えられましたし、受講前よりも視野が格段に広がってよかったと強く思っています」
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日本経済の底上げに繋がる教育
小沢 健介
パナソニック システムデザイン
取締役
1974年生まれ。98年、パナソニック システムデザイン入社。SE、経営企画、北米で新規事業開発。その後、人材開発に従事し、2020年より現職。
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人材開発に今までで一番役立つ
自身のビジョンやキャリアを考えるきっかけになったという渡瀬氏のようなケースがある一方、自社の人材開発を目的として大前経営塾で学ぶのは、パナソニックシステムデザインの小沢健介氏だ。
「パナソニックは今年から事業会社制を取ることになっています。今後パナソニック全体の事業を成長させるためには、事業会社やグループ各社それぞれがさらなる人材開発に力を入れなければなりません。しかし、対象が人間で答えもなく、会社もノウハウを持っていない。そのような素養はどうすれば身につくのかとMBAを提供している学校を探したりもしましたが、どうもしっくりこない。そんな折、同期の人事部長が『小沢、いいもの見つけたぞ』と教えてくれたのが大前経営塾」
実際に大前経営塾での学びは、期待に応えるものだったのだろうか。「これまでに多くのセミナーや研修を受けた中で、一番役に立っていると感じています。感銘を受けたのは、自由に視聴できるAirSearch(エアサーチ)の動画コンテンツの質と量です。たとえばドローン事業について調べようと思っても、歴史はそれほど長くない事業ということもあってか、なかなかまとまった情報が見つけにくいのですが、そんな現在進行系のコンテンツも見つけられたりするのは本当に有用です。ドローンに限らず、大前さんの解説を聞くことで、私たちがいろいろな事業を行う中で凝り固まり、俯瞰で見られなくなった考えを違った角度で見ることができるようになったのは大きな進歩です。本当に素晴らしいコンテンツばかりなので、弊社の人事部長にはほかの管理職も大前経営塾に参加できるように予算を取ってくれと伝えていますし、ある程度の人数をマネジメントする立場の人には全員コンテンツだけでも見てもらいたいほどです」
他業界を知るという意味でも、大前経営塾が非常に役立っているという。
「RTOCSでディスカッションを行う際、異業種のビジネス界のトップに近い層が話をする場というだけでとても価値があります。お互いの足りない部分を補い合うのはもちろん、思いもよらない角度からの意見も新たな発見に繋がりますし、それを受けて自分ならどうするのか、さらに思考は深まります。ただ言いっぱなしで相手を批判するだけではないので、少しでも改善できるのかを考えるきっかけにもなり、このあたりは今後の人材教育にも大いに活かせると感じています」
アメリカでの勤務経験もある小沢氏は、人が育たなければ日本社会が世界から取り残されると危惧する。
「日本の給与水準が何十年と上がらない中、アメリカって給料が高いんですよ。どこが違うかと考えると、理由のひとつに日本は生産性の低さがあるんじゃないかと思うんです。たとえば、最近声高に言われているDX(デジタルトランスフォーメーション)も、日本の中小企業にはまだまだ浸透していません。そもそもやり方もわかっていないなんてケースもざらにある。DXが日本の末端まで行き渡れば人的リソースに余裕もできて生産性は上がっていくでしょう。そして、同じくらい人材教育も重要です。働きだしてからも常に学び続けること、新卒入社の人材への教育もしっかり行うことが日本経済の底上げに繋がると思います。そのためにも、まずは自分から大前経営塾で学んだことを社内の人材にもどんどん還元していきたいと思っています」
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経営者層の思考に一歩近づいた
原 宏輔
日清食品ホールディングス
ブランド戦略室 課長
1979年生まれ。2009年、日清食品ホールディングス入社。国内事業会社のマーケティングサポート、日本、ブラジルの即席めんのマーケティングに従事。20年より現職。
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正解を教えてくれる場所ではない
「経営塾という名前から、てっきり経営の方法を教えてもらえる場所なのかと思っていたのですが、実際は正解を教えてもらえるのではなく、構想力を磨く場所ということがわかり、衝撃を受けました。仕事柄、世界各国の現地マーケターとやりとりするので、いろんなケースが飛び込んできます。そのときに、相手の報告や判断をそのまま受け取るだけではなく、グループ全体への影響を考えながら質問し、経営者視点を意識して構想したことを伝えられるようになりました」
大前研一ライブにも感銘を受けたと原氏は続ける。
「ニュースを見る視点と習慣が変わりました。大前研一ライブは、ニュースの背後にある文脈を読み解き、課題や問題などを論理的に解説します。大前さんの解釈によりニュースの見方や、論理を整理することの重要性に気づきました。スマホひとつでいつでもどこでも大前さんのライブを見ることができるため、最近は寝起きや寝る前にも視聴しています。子供からは『またパパが大前さんのYouTube見てる!』と誤解されるほどです(笑)」
大量のインプットや論理的思考を続けたことで、アウトプットが洗練されてきたと言われるという。
「たとえば経営層へのプレゼンだと時間が非常に短いことが多いのですが、何を伝えるべきか、どうしてこの判断に至ったのかをシンプルに整理して伝え、限られた時間の中でも合意できるようになってきました。いままでは職場の先輩の見様見真似だったものが、RTOCSなどを経験することで考える技術、質問する力、構想力などが磨かれたのだと思います。学生時代から『何か面白いことを発信したい』と考えていたので、仕事でも大前経営塾でのディスカッションでも知識の受け売りではなく、いったん自分で咀嚼して小手先にならないように心がけています。会社で働く以上、やはり将来的には経営層になっていきたいと思っているので、卒業後も同じように学ぶことを続けていきたいです。学びの重要性に気づけたことも大きな収穫になっていますね」
今回話を聞いた3人のように、経営者、これから経営層を目指す人に限らず、大前経営塾にはビジネスパーソンならば成長できるヒントが満載だ。
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覚悟を決めた意思決定が可能に
関﨑 宜史
ドコモCS 経営企画部経営企画担当担当部長
デジタルマーケティング準備室室長(取材時)
1970年生まれ。96年、NTTドコモ入社。無線技術開発、商品・事業開発(キッズケータイ、人流データ、eSIM、AIアシスタント)、人材開発に従事。2021年7月より群馬支店長に。
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この良質な講義をもっと早く受講したかった
関﨑宜史氏はNTTドコモの子会社であるドコモCSの経営企画部にて、社内のDX(デジタルトランスフォーメーション)の旗振り役を担うかたわら、室長としてマーケティング領域の新しい運用業務の責任者も務めている。BBT経営塾の講義のなかで、関﨑氏が「楽しくてハマった」と話すのが「RTOCS」だ。
「お題の企業・経営者に関する情報を収集、分析した結果を投稿し、他カリキュラムで磨く思考力や構想力で自分の考えを形にする。そして同期生の意見を受けて思考する。いままでにない刺激的な体験でした。気が付くとRTOCSのために費やす時間が増えていました。提案内容のレベルはまだまだですが、このサイクルの楽しさがモチベーションに繋がっています」関﨑氏はBBT経営塾を通じて、「自信が付いた」と続ける。
「学生時代に理系だったこともあり、データや資料をいつまでも集めてしまう癖が抜けなかった。しかし、自分が感じたことを発信したり、自分の考えをまとめて意見したりする習慣が生まれ、そのスピードが劇的に上がりました。新しい運用業務は会社としても未経験で、正しい判断かどうかは誰にもわかりません。数年後には室長を離れる可能性があっても、覚悟を決め意思決定し、自分なりに筋の通った提案ができるようになったのはRTOCSに精力的に取り組んだ結果だと思います」
アメリカで学んだ経験もある関﨑氏によると、BBT経営塾での学びはいい意味で日本的ではないという。
「日本は講義中心で知識をテストで測る風潮ですが、アメリカだと周りを気にせずどんどん意見を出します。BBT経営塾は議論中心、どちらかというとアメリカ寄りで、受講生が積極的に発言をすることで全員の知識も深まり、自分だけでは辿り着けなかった思考にも出合えます」
学びの楽しさがあり、自信にも繋がったと話す関﨑氏は、自分より若い同期生がうらやましいと話す。
「私は現在51歳で、そろそろセカンドキャリアも考えなければいけない年齢です。日本の教育問題の講義では、子どもが小学生ということもあり、『自分には何ができるのか』を深く考えるよい機会を得ました。そういう意味ではいいタイミングでしたが、BBT経営塾での良質な学びを経て、これだけためになるならもっと早く受講したかったという思いもあります。だから個人的には30代や40代の若い方が受講するのも大変有意義だと思います。そしてやはり経営者やチームをまとめるポジションだと、学んだことを直接活かしやすいとも感じます。ただ、そこで経営学、ノウハウ、フレームワークを学ぶだけだともったいないので、『自分のやり方が合っているのか』と試す場であってもいい。ある程度の経験を重ねてきて、あえて自分のスタイルをぶつけてみる。それができる場所です」
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心から楽しい大人のサロン
小形 剛央
税理士法人
小形会計事務所所長
1979年生まれ。2002年、中央大学商学部卒業。13年、新日本有限責任監査法人(現 EY新日本有限責任監査法人) 退職。税理士法人 小形会計事務所入所。18年より現職。
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双方向の講義で論理的思考に厚みが生まれる
税理士法人小形会計事務所で所長を務める小形剛央氏がBBT経営塾に入塾したきっかけは独特だ。
「もちろん勉強したい気持ちや、経営者という目線でどうやって事務所を発展させようかと考え入塾しましたが、コロナ禍で飲み歩けなくなった時間を活用したかったという思いもあります(笑)。1年間と長丁場ですが、すべてオンラインで完結するので場所も時間も自由。飲んでいた時間や電車での移動時間を勉強に充てられるのもいまの生活にマッチしています」
そんな小形氏は、仕事では中小企業の発展のサポートをするため、税理士・公認会計士としてコンサルティングをする業務が多い。学んだ内容をどう活かしているのか。
「論理的思考が身に付いたという意味と、知識が増える楽しさから『大前研一ライブ』が一番ためになっていると思います。例えば新聞記事がテーマだと、自分では気付かない本質的なところまで解説があるので、『この解釈って本当に正しいのか』という疑問を晴らせます。またマッキンゼーのコンサルティングの手法もとてもためになりました。しかも、贅沢なことに膨大な量の過去のライブ映像も見放題。気が付けば時間を忘れて視聴しています」
論理的な思考が身に付いたことで、仕事上での変化があったという。
「クライアントにあえて論理的な話をすることが増えました。いままではわかりやすさを重視し、噛み砕いて気持ちに寄り添うように伝えることを心がけていたのですが、論理的な土台がしっかりしている大前さんの講義を受けたことで、相手が納得できるなら論理的な話し方は必ずしも避けなくていいのだと気付きました。あえて論理的に伝えることで食い付きがよくなったケースも多い。専門家にはその論理性を求めている方が多いのかもしれません」
ほかのセミナーとの違いもある。
「これまでもいろいろなセミナーを受けてきましたが、実践に繋がることがBBT経営塾の大きな魅力だと思います。テーマについて時間をかけて深掘りし、自分で考えてアウトプットすることで、思考に厚みが出る感覚があります。例えとして合っているかわかりませんが、『大人のためのサロン』のようで、そもそも楽しみながら取り組めていますし、楽しいから時間も忘れてしまう。これがほかのセミナーなら『いい話聞けたな』と、その場限りになり、なかなか実務に活かせないと思います」
これから訪れるAI時代。そこでの会計事務所の立ち位置を考えるうえでも、BBT経営塾での経験が役立った。
「AIに取って代わられる仕事は税理士の業務にもあると思います。記帳代行業務とか申告業務などの機械的な作業は人間がやらなくてもよくなるかもしれません。ただやはり、受けた相談に対しファクトに基づいてトータルで判断するのは人間じゃないとできない。実はBBT経営塾のオンライン合宿で、私の事務所のビジョン・ミッション・バリューを精査してもらったのですが、そのサービスをどこでも享受できるように、会計事務所をフランチャイズ展開するのも面白いのかなと講義からヒントを得ました。それもあって、卒塾まで残り数カ月のこれからは、フランチャイズ化に向けての道筋をブラッシュアップしたり、積極的に塾生とコミュニケーションを取ったりして人脈もつくっていきたいと思っています」
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異業種との交流で社会環境の変化を実感
多田 俊文
田辺三菱製薬
ワクチン室 室長
1970年生まれ。2005年田辺製薬入社。日本での海外事業、予算管理、営業企画等の経験の後、MT Pharma Singaporeの設立、運営に従事。18年より現職。
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時代の変化を改めて実感するきっかけでした
田辺三菱製薬でワクチン室の室長を務める多田俊文氏。多田氏は、世界を一変させた新型コロナウイルスのワクチン開発に従事する多忙の身にありながら、昨年の4月からBBT経営塾に意欲的に参加している。
BBT経営塾のカリキュラムの中でも、多田氏は特にRTOCSに積極的に取り組んだという。
「毎週1つの実在の会社をテーマにケーススタディを行うのですが、経営者の立場で自分ならどうするかを考える訓練はとてもいい経験になりました。実際に会社でも『2格上の目線で考えろ』と言われています。私の2格上だと社長なので、それと同じ考え方や立ち振る舞いを身につけるためのいいきっかけになりました」
具体的にはどのような点で多田氏は実務に役立ったと感じたのだろうか。
「RTOCSによって、ビジネスに必要とされる論理的思考や発想法などを体系的にまとめるフレームワークの能力が身につきました。たとえば自分のチームに対して業務指示を出したり、自分の上位の経営層に対して業務報告をしたりするにしても、情報を論理的に整理して提示するほうが当然伝わりやすい。BBT経営塾では経営者が意思決定をする際に整理すべき情報、戦略的な選択肢の提示の仕方、その情報収集法も学べます。仮説を検証してその妥当性を理解できる能力が身についたことにより、自分のチームを経営者目線で運営すること、そして経営層に対して同等の目線で情報を提示し議論を進めることができるようになりました」
多田氏はBBT経営塾の課題に同期生の誰よりも早く取り組み、1番にアイデアを投稿しようと心がけていたという。
「最初に投稿したほうが新鮮な反応を同期生からもらえます。投げたアイデアに上書きや反論が届いたら、さらに応答し議論を進め、自分の考えをブラッシュアップしていきます。全く異なる業種の方々の意見は『こんなこと考えもしなかった』と思わされるものばかりで、毎回私の常識を覆してくれました。一方で、私が従事する製薬業界での常識が通用しないことが往々にしてあるので伝え方の訓練にもなります。結局、一人よりも複数のアウトプットによる集合知を用いたほうが、レベルが高くなる実感があったので、多少レベルが低くても最初に提案することを心がけました。これを実務に落とし込むことを考えると、製薬という観点においてはスピード感と、有効性や安全性の確立を両立させなければならない。そこは今後も取り組んでいきます」
BBT経営塾を受講したことで意識の上での変化があったという。
「〝他流試合〟とも言える異業種の方々との議論を行っていることで、私たちを取り巻く社会環境が想像以上に変化してきていると実感しました。たとえば、何百年と続いてきた製薬業界の常識や概念であっても変化を余儀なくされるかもしれない。その変化に気づいて対応するきっかけになりました。歴史の長い業界・会社で、社会人としてある程度会社に長く勤めてきた自分にとって、大前塾長の忌憚なきダメ出しもすごく刺激になっています」
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地方創生とデジタル化最先端の思考を知った
寺井 尚孝
北國銀行
人材開発室 室長
1970年生まれ。93年北國銀行入社。法人営業、ニューヨーク駐在、業務企画、経営企画、支店長を経て、2017年4月より現職。
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経営者でなくとも受講する価値があります
石川県金沢市に本店を置く北國銀行で人材開発室の室長を務める寺井尚孝氏は、昨年9月にBBT経営塾を卒業した。これまでもさまざまな社内研修を受けていたがゆえにわかったBBT経営塾の魅力があるという。
「よその集合研修は、たとえば2日間の集中講義というような形をとりますが、1カ月後に学んだことが本当に身についているかと言われると悩ましい。一方、BBT経営塾は1年かけ学び続けるので、課題について常に考えることになります。毎日学ぶ習慣が定着しましたし、生活しながら頭のどこかで課題や世の中で起きていることを考えている状態は本当に密度が高い。そして同期生には日本を代表する企業でご活躍の方や、日本や社会のことを考えて働いている志の高い方も多く、仕事に対する向き合い方も改めて考え直すためのいいきっかけになりました」
人口減少や地方創生など、地方銀行が直面している状況は厳しい。北國銀行ではそれらの課題に対応するために人材育成に力を入れているという。
「アマゾンや楽天などといった銀行以外の巨大企業が金融に参入してきています。私たちが生き残るためには、デジタル化を進める一方で、地域との繋がりを強めた、クオリティ重視のビジんネスモデルをつくらなくてはなりませ。ボリューム志向の従来の仕事のやり方、言われたことにしか対応できない人材では変化し続ける環境についていけません。そこで、採用、人材配置、育成、評価制度、報酬など、人事制度の抜本的な改革を行っています。これまでの研修とは異なり、銀行業務の枠に縛られないリカレント教育を意識するようになりました。そうした問題意識を持つ中、大前塾長の講義でデジタル化と地方創生についてグローバルな視点で学べたのも印象に残っています」
寺井氏が印象深いという大前研一氏による講義はどのようなものなのか。
「大前さんはその豊富な経験と知識を活かして、難解なこともわかりやすく解説してくれます。台湾やシンガポールのデジタル化やヨーロッパのクオリティ国家、クオリティリージョンの講義・ディスカッションは、地銀においてデジタルを起点とした地方創生を担う人材育成を行う私のヒントになりました。台湾のオードリー・タン氏など、最先端の発想力・構想力を持つ方々の今を解説してもらえたのも大きいです」
どのような人がBBT経営塾を受講するべきなのかを寺井氏に聞いた。
「経営者を志していて、その入り口にいる人が受講するのがやはり一番効果的でしょう。しかし、必ずしもトップではなく、チームのリーダーでもいいと私は思います。リーダーは、チームの誰よりも学び続けないといけませんし、それが組織全体の底上げになります。さらにチームの全員が自分本位ではなく、地域をよりよくするため、会社をよくするため、チームをよくするためとの思いで学び、意見を出し合う。そうして初めて自分たち自身も成長できるのかもしれません。私自身も、BBT経営塾で身についた学びの習慣や構想力を地域の発展のために活かしていきたいと思っています」
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天才でなくても現代の課題と闘える
布引 純史
NTTアーバンソリューションズ デジタルイノベーション推進部
スマートイノベーション担当 担当部長
1969年生まれ。92年NTT研究所に入社。現在、NTTアーバンソリューションズにて不動産×ICTで新たな価値を提供する街づくりに従事している。
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訓練次第で天才と同等の思考が身につきます
「会社の研修の一環で昨年の4月に入塾したのですが、当時は研究職に就いており、正直なところ、『業務に関係がない業界のテーマで、課題も多く時間も取られて大変だろう』と乗り気ではありませんでした」
しかしその考えは変わることになる。「取り組み始めると、内容は大変充実していますし、今まで知らなかった業界に対しての知識が増えていくことに知的好奇心がくすぐられました。さらに研究職でも役立つような汎用的なメソッドも勉強でき、経営者の視点で物事が考えられるようになって、気がつくとかなり熱が入っていました」
布引氏は、7月頭に現在の都市開発の部署に異動を命じられた際に、研修が打ち切られる可能性があったという。
「続けさせてほしいと直談判しました。研修に対するモチベーションが上がっていたうえ、今の部署では、従来の技術から脱却して、どんな街づくりや街の価値をどう上げるか、そのためにどんなICT(情報通信技術)をやるべきか、ロジカルに考えないといけません。ですからBBT経営塾での学びが非常にプラスになると確信していました。研究から都市開発という分野に移って、情報収集法やそこから仮説を導き出すBBT経営塾での学びを、仕事にさらに活かせるようになった実感があります」
布引氏はBBT経営塾で「頭の使い方」への考え方が変わったという。
「発想力や構想力って一部の天才だけが持っている才能だと思っていましたが、それは訓練で身につけられると大前さんから教わりました。たとえば数学の公式を覚えているだけじゃなく、どのように使うかがわかれば応用できるようなイメージです。発想力や構想力の精度を高め、ディスカッションで深めていくことができれば、正解がないところに答えをつくることができる。提出した課題を添削してもらうだけの一方通行ではなく、そういうロジックを学びつつ、議論ができるのはBBT経営塾の大きな魅力のひとつでしょう」
三者三様、業種も立場も違うが、全員が「BBT経営塾はとにかく楽しい」と口を揃えた。コロナ禍でDXやGXのような社会環境の変化が以前にも増して加速している。その激動の時代を生き抜くには、明確な視座を獲得し、先を読む力を鍛えなければならない。今こそBBT経営塾の門を叩くいい機会だろう。