塾生の声
答えのない時代にゆるぎない視座を求めて、大前研一の門を叩いた
次代のリーダーたちを紹介します。
プレジデント誌に掲載されたバックナンバーの記事を掲載しております。
本ページに掲載のプロフィールは、すべて取材当時のものです。
BBT経営塾体験記
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経営者目線での決断をリアルに体感できる
宗澤 裕二
クラレ
ジェネスタ事業部 開発部 部長
1974年生まれ。99年、クラレ入社。耐熱性ポリアミド「ジェネスタ」の研究開発業務を経て、2009年より国内と欧州(ベルギー駐在)の市場開発業務を経験。23年より現職。
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名経営者たちのように大胆なビジョンを描きたい
現在、クラレで耐熱性プラスチックの開発に部長として携わっている宗澤裕二氏。1999年の入社から開発部や営業部と歴任し海外営業の経験もある。経験豊富な宗澤氏だが、自身のさらなるステップアップのために「BBT経営塾」への入塾を決めたという。
「部長職についたあたりから、将来的には経営層を目指したいと考えるようになりました。しかし、自分にはまだそのために必要な視野の広さや視座の高さがありませんでした。経営層にはこれまでの経験では身につけられなかったさまざまなアプローチが求められるでしょうし、それらをOJT(オンザジョブトレーニング)で学ぶのもなかなか難しい。どうするべきか漠然と悩みを抱えていたときに、経営塾卒業生の上司から、経営層の考えが得られる場所だと聞いていたこともあり、『BBT経営塾』で学ぶ決意をしました」
そんなBBT経営塾で宗澤氏が最も熱中しているカリキュラムは、企業経営者の目線で問題解決に臨む、「Real Time Online Case Study(RTOCS)」だという。
「開発部の期間が長かったため、正直知識の少ない業界やテーマも多く、毎週頭を悩ませながら向き合っています。ですが、そのぶん経営層が苦悩して導き出す答えやその過程を自身の血肉にできているように思います。業界業種のまったく異なる受講生と議論をする中で、自分では考えもしなかった意見に感銘を受けることも多いです。自社以外の企業の歴史やそこから生まれる考え方を体験できており、『もし自分が経営者だったら』という思考がよりリアルなものになっています」
BBT経営塾で学ぶ中で、宗澤氏は経営者に必要なあることに気づいた。
「受講を通じて、企業が紡いできた歴史やビジョン、その歴史の中で一人一人の従業員が考えたことの大切さを痛感しました。それらを企業全体に浸透させていくことが、経営者の大切な仕事の一つなのだと思います。私自身、部長として開発部のメンバーに事業構想を伝える場面があります。そのときに、会社の諸先輩方が何十年も前から開発の基礎検討を始め今に繋いできた意味を踏まえ、どのように構想を伝えるべきかを考えるようになりました」
自身が描く経営者像もより具体的に見えてきたという。
「私が経営に携わるときには、小さなビジョンではなく、名経営者たちが見た大胆なビジョンを描きたい。そして、その世界観をメンバーに広め、日本だけではなくグローバルで輝ける会社を目指したいです。従業員だけでなく、関わってくれる人たち皆とディスカッションを重ねて成長できるといいですね。これは、BBT経営塾での議論が楽しい影響かもしれません」
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地方から世界へ視野の拡大に役立つ
横越 亜紀
北國フィナンシャルホールディングス
常務執行役員 人材開発部長
1971年生まれ。94年北國銀行入行。個人営業、事務企画、デジタル部門等を経て2022年より現職。
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「サザエさん見た?」のノリで講義が話題になる
石川県金沢市に本店をおく北國フィナンシャルホールディングス(北國FHD)の人材開発部長・横越亜紀氏。近年、北國FHDは企業全体でBBT経営塾へ積極的に取り組んでいる。
「北國FHDは地方銀行などを子会社に持つ企業です。近年は、コンサルティングや投資業務などと当社グループの役割も幅が広くなってきているため、従来のように銀行業務をこなせばいい状況ではなくなっています。そこで、幅広い人材の確保や能力の育成が必要と考え、リカレント教育やリスキリングに力を入れています。そういった方針もあり、BBT経営塾などの研修に参加するときは、会社から補助金を出し社員の学びを促進しています。私自身は以前から、別のBBTの講座を受講していましたが、経営塾は『経営者を目指す人のもの』と思って尻込みしていました。しかし、2022年3月から人材開発部長に就任しました。いわば教育の旗振り役です。今が好機と思い、前任も参加していた経営塾の門を叩きました」
日々の学びに刺激を受けていると話す横越氏だが、入塾してほどなくBBT職員から受けた、ある指摘が心に残っていると話す。
「『北國銀行さんの受講生は国際的な視点が欠けている方が多い――』。まさにそのとおりでした。弊社はもちろん北陸が拠点ではありますが、北陸だけではなく、日本全体、ひいては世界のことにも目を向けなければ、一企業としての成長はありえません。地方銀行の名前に甘え、視野が国内に限定されていたのではないかと反省しました。旗振り役として、企業全体の視野を広げていきたいですし、そこに経営塾の学びが大いに役立っています」
社員間の会話にもBBT経営塾の話題が上ることが少なくないという。
「日曜の夜に配信される『大前研一ライブ』は、月曜の共通の話題になることが多いです。世界のニュースを大前さんならではの視点で解説してもらえます。子どもたちが『昨日のサザエさん見た?』と話すように、ライブのテーマについて議論することも少なくありません。話題が共有できる仲間が周りにいることで学習に対する意欲も高まっています。企業としてBBTに参加しているメリットかもしれません」
横越氏はBBT経営塾の参加者について、「もっと多様性があってもいい」と話す。
「以前より、女性や40代以下の参加者は増えているようです。どんな方でも糧にできることばかりですし、20~30代の方もついていける内容だと参加者として自信を持って言えます。経営者を目指しているとか、起業したいという思いがなくても、現在の仕事には必ず活きるはずです。『経営塾』という名前に怖がらずに、ぜひ参加してみてください」
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卒業生や同級生の縦横の繋がりを活かせる
上山 太一
NTT西日本
バリューデザイン部 コアソリューション部門長
1973年生まれ。96年にNTT入社後、法人向けビジネスや財界担当を経験。現職ではクラウドやデータセンター、SaaSやセキュリティ等におけるサービス開発に従事。
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社内で自主的に「勉強会」を立ち上げた
NTT西日本に勤務する上山太一氏は、クラウド・セキュリティ・データセンター等のサービス開発の責任者を務めている。
「これまでも、中小企業診断士の資格を取得したり、BBT以外のセミナーを受講したりと、経営層に近い思考を身につける努力はしてきました。ただ、弊社グループの企業規模は大きく、実践の場があまり得られませんでした。BBT経営塾ならば、RTOCSのようなケーススタディで今までインプットしてきたノウハウを使うことができる。実践訓練でさらにスキルを磨くことができるのではないかと考えました」
上山氏は、BBT経営塾にかなりの情熱を注いでいる。そのモチベーションをこう語る。
「受講前に想定していた実践の場としての魅力はもちろんですが、何よりも受講生との議論が楽しく、学びが深められているからモチベーションが保てています。多くの受講生が言うように、他業種の同級生との会話の中で視野が広がり、自身のノウハウがブラッシュアップされていくのを感じます。また、オンライン上の関わりだけではなく、合宿でリアルな横の繋がりを築けました。定期的に勉強会や懇親会を開催していますし、さらには卒業生との会合もあり、経営層を経験した先輩方との縦の繋がりが得られたのも大きいです」
上山氏は自ら新たな取り組みを始めたそうだ。
「月に1回、社内で部下や若手の社員を募って勉強会を開催しています。テーマを設定し参加者で議論をして答えを導く、まさにRTOCSのようなイメージです。同僚と仕事以外の交流をもてますし、本業とは別のサークルのような集まりだからか、反応も上々です。なにより、勉強会を主催するようになって、自分の情報収集能力の未熟さを思い知らされました。同様の情報収集とアウトプットを毎週精度高く行っている大前塾長はさすがです」
取材場所に指定されたのは大阪・京橋にある『QUINTBRIDGE(クイントブリッジ)』。今、NTT西日本が最も力を入れるオープンイノベーション施設だ。
「企業・個人・職業を問わず、さまざまな新規事業の共創や人材育成の支援の橋渡しを目指す場所です。たとえば、自社だけではなしえなかった事業を、外部のアイデアや人材を繋ぐことで実現させる。ビジネスにおけるインキュベーション(卵の孵化)を起こすための施設です。昨年3月オープンながら、10万人の方にご利用いただいています。BBT経営塾で得た知見を投入するとともに、人の繋がりを活かして新しいビジネスを生み出していきたいです」
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年齢も役職も気にせず飛び込める
越野 恵里加
NEC
電波・誘導統括部 プロフェッショナル
1982年生まれ。2006年、NEC入社。通信企業向けITシステムの提案業務を経て、15年より航空管制関連システムの受注・戦略立案・提案業務に従事。21年より現職。
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言語化力を高められる場所です
越野恵里加氏はNECの航空管制システムを開発・納入する部署で営業支援・事業戦略チームの管理職を務めている。取り扱うシステムには、飛行機が安全に運航できるよう管制官の判断をアシストするものなどがあり、より安全で効率的な運航に役立つという。
「飛行機が好きという想いで、現在の部署に2015年に異動し、21年4月から管理職に就きました。マネジメントをする立場になってか経営幹部と話す機会が増え、経営層に近い人たちがどのように思考しているのかに興味を持ったことが、BBT経営塾で学ぼうと思ったきっかけです。管理職という立場上、目の前の案件の問題解決やメンバーの育成・フォローに加え、事業拡大に向けた長期的な方向性を示してほしいと社内から期待されます。視野の拡大、視座の向上と併せて、今以上に相手に届くように伝えられる言語化力を磨く必要があると思いました」
これまでもほかのオンライン講座などを受講したことがあったという越野氏だが、BBT経営塾に入塾してもっとも意欲的に取り組んでいるのは「RealTimeOnlineCaseStudy(RTOCS)」だ。
「長期的な目線を持ち、言語化できるようになるためには、経営者の立場で議論ができるRTOCSがもっとも適していると受講前から考えていました。タイムリーなテーマについて、異業種のクラスメイトとディスカッションすると、思いもよらない方向から切り返されますし、私がなかなか言語化できないことを簡単に発言される方がいる。忖度なしの議論はとても刺激的です」
全編オンラインで受講できるBBT経営塾だが、コロナ禍では開催の難しかった、オフラインでの研修合宿や交流会も段階的に実施されている。
「合宿では、チームを組んでメンバーの一人が勤める企業のビジョンやバリューを2日かけて決めるワークがあります。同じグループには私よりも役職も経験も上の方が多く、グループディスカッションでは『そこに焦点を当てるのか』と驚かされてばかりでした。また合宿で交流した皆さんとLINEグループをつくっているのですが、世間話をしているところからふと仕事の話になり、 『じゃあ進めますか』と案件が決まることもあり、経営層の仕事のスピード感を体験できています」
塾生には経営者をはじめとしてエグゼクティブクラスの参加者も多い。ただ、 「興味があるなら年齢や役職を気にせず参加すべき」と越野氏は話す。
「やはり経験値が違うのでスキルや知識の差を感じる部分はあります。ただ、遠慮する場所ではないので、気楽に参加されればいいと思います。現在進行形で私が多くの学びを得られていますし、経験がまだ浅いとか、年齢が比較的若かったとしても、伸びしろがあると思えるのであれば、これほど恵まれた学びの場はありません。若い意見や考えも多様性のひとつ。少しでも興味があるならその気持ちを寝かせておくのはもったいないです。」
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人ごとだった世界が自分ごとになる
中島 弘嗣
NTTデータビジネスブレインズ
社長
1973年生まれ。96年、NTTデータ入社。主に製造業界の顧客のシステムに携わり、2012年より大手飲料会社のIT子会社との資本提携後のビジネスを担当。21年6月より現職。
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学びを自分にどう落とし込むか
中島弘嗣氏も、 「BBT経営塾に入塾して世界が広がった」と話す。中島氏が2021年6月から代表取締役を務め、日本板硝子に源流がある、NTTデータビジネスブレインズの主な業務は、情報システムの企画・開発・運用であるが、近年では時代の流れとともに自社開発のクラウドサービスにも力を入れているという。
「社長に就任して10カ月(当時)。経営者として日々の問題に対処できているとは思っていましたが、視野を広げる必要があると感じていました。同じNTTグループの同期や先輩で別会社の社長をしている人に相談しても、立場も環境も違うため、答えが得られない。自ら見つけるしかないと、 社内でも『参加してよかった』という声を多く聞くBBT経営塾の門を叩きました」
中島氏は「大前研一ライブ」を受講したことで「世界が広がった」という。
「大前さんの講義を聞いて、私の取り込む情報に偏りがあったと気付かされました。講義では、台湾有事や中国情勢、少子化など、いま起きている社会問題を取り上げています。もともと読書は好きでしたが、社会問題はどこか人ごとのように思ってしまっていて、あまり深掘りしてきませんでした。しかし、いざ学ぶと、限定された経営環境にある弊社においても、社会問題は身近なものだと気付きました」
「現代の経営戦略」も知識と思考を深めるために役立っていると続ける。
「台湾有事についてディスカッションを行ったとき、グループに中国籍の方がいて、我々とはまったく違う歴史観の意見をされていました。自分の常識は他人から見ると常識ではないこともある。お互いの国の常識に影響され、新しい世界の見方が生まれました」
合宿での経験も刺激的だったという。
「オンラインでの文字のやりとりだとじっくり考えて発言できますが、対面での話し合いになるとやはり会話が弾みます。ビジョンやバリューを話し合っているうちに、本当の社員同士のような感覚になりました。BBT経営塾では、学びを自分に落とし込んでどう活かすかを考える必要があると思います。台湾有事での議論がいい例で、正解もルールもありませんし、大前さんの意見も絶対ではないと個人的には思っています。インプットは大切ですが、学んだことを自分に落とし込んでどう活かすか。そこがBBT経営塾で得られた一番大きな学びかもしれません」
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経営塾が培ってきた「共有財産」に触れる
倉光 正夫
ニフコセントラルメキシコ
拠点長
1980年生まれ。2005年、ニフコ入社。商品設計、重要保安部品の生産準備業務を経て、スペイン、メキシコにて海外実務を経験。2018年より現職。
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経営者としてブレない心を獲得したかった
ニフコセントラルメキシコの拠点長である倉光正夫氏はBBT経営塾で「答え合わせ」をしているという。
「メキシコに拠点長、いわば社長として赴任したのが2018年。最初の2年は失敗ばかりで経営も悪化し、どん底の状態でした。トップの仕事である経営判断の際も不安と孤独感にさいなまれていました。それでも、責任を負う一国一城の主という思いが強く、 『俺が決めたことに従え』という思いが言動に出ていたと思います。そんな折、会社からBBT経営塾への参加を勧められたのですが、一度断っています。経営塾の存在とクオリティの高さは知っていたものの、打診されたのが迷走している真っただ中で、自分にまったく余裕がなかった。せっかく受講するなら時間をかけて向き合えるようになってからと考えていました」
その後、自身の考え方やふるまいを改め、社長業と業績も復調した。 「いまなら腰を据えて受講できる」とBBT経営塾に参加した。
「経営塾には、ブレない心の獲得を目的に入塾しました。経営者の資質として社長就任後2年で味わった不安感と孤独感の克服が必要だと、身をもって感じていました。また、失敗から再起できた自分の思考は正しいのか答え合わせをしたかった。実際、講義内容や議論から自身の考えや行動の一個一個を振り返ることができたうえ、自分がいかに恵まれているかを実感しました」
倉光氏が印象的だと語るカリキュラムは「新しい能力を身につける」だ。
「質問する力、考える力、議論する力を磨くことができ、人間性の向上に繋がっている。畑違いの同期生の視点や考えを自分にフィードバックするいい機会になっています。同期生には課長や部長クラスが多く、議論の中ではかつて自分が悩んでいたことにたびたび遭遇します。議論し意見しながら、自分の考え方や意識は正しかったのかを答え合わせしています。思考を文章化してオンラインで議論するシステムも面白い。文章化という段階を挟むことで、自分の思考を整理できますし、多くの人の思考のログを集積できます」
倉光氏が受講に際し大切にしているのは、人間性だという。
「どん底の時代は、すべて自分が決定しなくてはならないと思い込んでいました。しかし、専門的な仕事はスペシャリストに任せるほうが絶対にいい。では経営者の仕事は何かというと、優秀な人材を惹きつける器の大きな人物になることです。人間性が出来上がっていれば優秀な人材は寄ってきます。自身の成長のために、経営塾での学びには一カ月で60時間以上はかけています。もちろん、かなり多いほうだとは思いますが、BBT経営塾の魅力のひとつによく挙げられる『集合知』は、私からすると『共有財産』です。共有財産に触れられるかけがえのない体験があるからこそ、ライフワークのように没頭しているのだと思います」
これから経営者を目指す人、経営をしながら迷う人、挫折を乗り越えて経営の正解を確認する人、BBT経営塾はどんなビジネスパーソンにも気付きと学びが得られる場なのだろう。
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集積された「知」が経営塾の魅力
澤原 英則
横河電機
U.S. Technology Center
Principal Architect, Evangelist
2004年、横河電機入社。エッジ制御装置の企画、開発、販売を経て、19年より米国でオープンイノベーションによる次世代プラント制御の国際標準化、R&Dに従事。
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経営力は継続で身につけられる
澤原英則氏は横河電機のアメリカ現地法人に赴任しており、テキサス州在住だ。オイル&ガス、化学、医薬、再生可能エネルギーといった主に流体や気体を扱うプロセス産業において、生産を行うプラント・工場の自動化システムの研究開発やマーケティングに従事している。
「それらの事業におけるこれまでのやり方に加えて、現在は特定企業の独自技術で構成されたシステムに依存してしまう『ベンダーロックイン』からの脱却に向け、世界共通でオープンな制御システムをつくる国際標準化活動にもかかわっています。そうした標準化のためには、IT技術、オペレーションテクノロジー、エンジニアリングテクノロジーといったものを、弊社の力だけではなく他社と協力して融合させていくオープンイノベーションが必要だと強く感じていました。そんなときに、会社から経営塾への参加を打診されました」
「これまでのキャリアでバランスシートや損益計算書に責任を持つといった経営的な役職を経験していないので、今後のキャリアで必要になってくる経営能力やその適性に課題を感じていました。そんなときに『経営塾』という名前を聞き、自分の弱さを見つめ直して、経営に対する戦闘力を上げるチャンスだと思って入塾を決めました」
米国にいながら、オンラインで受講可能なため時間と場所を選ばなくてもいいことや、自身が抱えていた課題の解決に役立つかもしれないという思いから経営塾の門を叩いた。
「以前『経営塾』に参加した同僚から、ただの座学ではなく、いろいろな企業の上層部の方が集まって活発に議論ができる場だと聞いていました。入塾してみると、その充実感は想像以上でした。日本の社会問題や世界の潮流、教育、経済、金融、ファイナンスやテクノロジーなど、幅広い分野をテーマに課題が出され、それに基づいた議論が徹底的に行われます。考えもしなかったことを思考することになるので、視座が高まり構想力が磨かれるだけでなく、脳の使っていなかった部分が刺激されました」
澤原氏が経営塾を語るポイントのひとつに「集合知」があるという。
「立場も職種も違うクラスメイトとさまざまな角度で議論をすることができました。その経験の最たるものが『RTOCS』です。多種多様な企業の分析、本質的課題の特定、戦略構築を、同期生と議論しながら集合知で導き出していくことが楽しく、毎週欠かさず参加していました。この集積した知こそが経営塾の魅力だと思います」
入塾当初から講座に積極的に取り組んでいた澤原氏。あるとき、自身にポジティブな変化が表れたという。
「経営力は才能ではなく、継続することで間違いなく身につけられるものなのだと気づきました。課題を毎週筋トレのように続けていると、あるとき、企業の有価証券報告書等をざっと眺めるだけで本質的課題を解決するために何が必要かをざっくりと導けるようになっていたんです。過去に出てきた企業や他産業の成功事例をもとに、参加当初から自分なりのフォーマットで企業分析ドキュメントをつくっていたことも大きな力になったと思います」
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会社も経営塾も底上げしたい
笹原 優子
NTTドコモ・ベンチャーズ
代表取締役社長
1995年NTTドコモ入社。iモードサービスの立ち上げ時より企画に携わる。2014年より新事業創出を目的とした「39works」プログラムを運営。21年6月より現職
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知的好奇心が刺激されている
NTTドコモ・ベンチャーズの笹原優子氏も大前氏が塾長を務める経営塾で学ぶひとり。同社は、NTTドコモのファンドとNTTのファンドを持つ、NTTグループ全体のコーポレートベンチャーキャピタルだ。投資業務と共創による事業シナジーを担い、スタートアップとNTTグループの間のインターフェイスのような業務を行っており、彼女はその代表を務める。笹原氏が経営塾に入るきっかけは、ある課題に直面していたからだという。
「弊社は東京とシリコンバレーの2カ所に拠点があります。私は東京にいるのでどうしても東京のことが多く見えますし、シリコンバレーにはローカル社員もいる。そうするとやはり情報ギャップが出てきてしまいます。ただ私がトップということもあって、働くメンバーは私に伺いを立てることが多いんですね。私は、それを私だけに任せないで、みんなの視座を上げることで一緒に方向性をつくりながら前に進んでいきたいと思っています。そのためには、私がさらなるリーダーシップを発揮する必要があると感じていました」
そんな笹原氏が経営塾のカリキュラムのなかで感銘を受けたというのが「大前研一」ライブだった。
「大前さんの視座が高く、視点も多角的で刺激を受けました。たとえば、ロシア・ウクライナ情勢について、日本のメディアの報道は、偏向報道とは言わないものの、ウクライナ側からの視点に終始している印象がありましたが、『大前研一ライブ』は歴史をふまえてあくまでフラットに両国について情報を提供してくれました。大前さんの結論も提示されますが、自分だけでは手に入れられないようなエビデンスを得られますから、自分なりの解釈をできるのもいいですね。このように、世界で起こっていることを知りたいという知的好奇心が刺激されて本当に興味深いです。その結果、視座が高まり、アンテナが広がったと強く感じています」
楽しみながら課題に向き合い、同期生からの評価も高いという笹原氏だが、自身は「まだまだです」と話す。
「常に自分の構想が陳腐なんじゃないかと思っているんです。私は私なのでしょうがないのですが、たとえば1歳しか変わらないイーロン・マスクさんや、過去にiモードを立ち上げるときに同じチームで仕事をした夏野剛さんのような構想力はまだ身についていないと思います。私個人の能力もそうですし、私が成長することでチーム全体の視座を高めて、会社全体のシナジーをつくり出していけるのではないかと考えています。その意味で、経営塾に参加している皆さんとも現状に甘んじることなくさらなる高みを一緒に目指していきたいです。たとえば、私たちよりもっと若い世代など参加者の多様性が増せばアイデアも今以上に幅広くなって各々が得るものも増えるはずです。ぜひ経営塾にいろいろな方に参画いただき、お互いにレベルアップして実践に活かしていきたいですね」
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経営塾は事業の延長線上と思った
栗原 正憲
NTTデータ
ITサービス・ペイメント事業本部カード&ペイメント事業部部長
1996年NTTデータ入社。NTTデータの決済サービス「CAFIS」や金融機関、流通企業向けの企画・システム開発に従事。現在はCAFISの事業責任を担う。
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目的意識があればヒントは見つかる
栗原氏は電電公社時代から続く、主にクレジットカードを中心とした共同利用型のオンラインシステム「CAFIS」の事業責任者だ。そんな栗原氏は経営塾に入塾してすぐ、その意欲に火がつくことになる。
「最初に受けた講義のテーマが、フィンテック(従来の金融サービスと技術を組み合わせた領域)についてで、大前さんが『CAFISなんていますぐ解体するべき!』と自分が従事している業務を一刀両断する発言をしていたんです。インターネットが当たり前になった現代でCAFISの持つ価値は昔ほど大きくなくなってきているのは喫緊の課題でしたし、時代の変化に対して受け身ではなくむしろ構造変化をリードしていかなければならないと思っていたので一気に引き込まれました。もちろん、自分のほうがもっと知っているぞ、という思いもありました(笑)」
フィンテックのほかにも事業に直結するテーマが多く、栗原氏が経営塾での学びにのめり込む原動力となった。
「別の研修だと古い本を読まされてレポートするだけ、みたいなことがありがちなんですけど、それだとモチベーションは上がりません。一方、経営塾では事業課題と直結するテーマが多いので、私のなかでは事業の延長線上という形に近いんです。同期生の皆さんに赤裸々に弊社の課題を相談したこともありますし、意見をかなり参考にさせてもらいました。経営塾に影響されるというより、利用している感覚でした。数年前の講義の動画も経営者やマネジメント層にとってタイムリーなものばかりですし、大前さんが現在進行形の経営課題をきちんと直視して話されているところもほかの研修と違うストロングポイントだと感じていました」
最後に、経営塾を受けるべき人について栗原氏に聞いた。
「年齢や役職にかかわらず、課題認識を持っているなら受講すべきだと思います。このままじゃいけないという目的意識がはっきりしているのなら、きっとヒントが得られるはずです」
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様々な業界の集合知を得られた
渡瀬 順平
NTTセキュリティ・ジャパン
IoT事業部 事業部長(取材時)
1971年生まれ。96年、NTT入社。法人営業、研究開発、事業開発、海外M&A、海外事業統合等を経験。2016年よりNTTセキュリティの設立、運営、新事業開発に従事。
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同期生となら大前研一さんを追い越せる
デジタル化の推進と同時に必要となるのがサイバー犯罪に対するセキュリティの強化だ。NTTセキュリティ・ジャパンの渡瀬順平氏も、日々拡大するサイバーセキュリティ事業に従事する一人だが、大前経営塾での学びが仕事に大きく寄与しているという。
「新規事業や海外事業を取り扱う職業柄、業界を問わずビジネスの今後やビジョン、世界の動向は常にチェックしていたので、それなりに視野は広いほうだと自負していました。しかし、大前経営塾に参加したことで、さらに視野が広がったと思っています」
渡瀬氏が話す大前経営塾とは、大前研一氏が塾長を務めるオンライン講座。経営者にとって必要な知識と能力の養成を目的としており、答えのない現代社会で「答えを導き出す能力」と、方向性の見えない時代に「構想する力」を身につける内容が特徴だ。
カリキュラムは3つの必須科目と2つの任意科目で構成されている。必須の3科目は、現代の企業経営者にとって最重要なテーマで構成される『現代の経営戦略』。経営者として必要な論理思考から構想力までの本質的思考力を磨く『新しい能力を身につける』。毎週一人の実在する企業の経営者を取り上げ、自分がその人ならどうするかを考える『Real Time Online Case Study(RTOCS)』。任意の2科目は、大前塾長が過去1週間のニュースからピックアップしたものを独自の視点で解説する『大前研一ライブ』。そして企業経営者による『経営者講義』。
受講期間は1年間。講義はすべてオンラインで配信されるため、スマホやタブレット、PCとネット環境があればいつでもどこでも受講が可能だ。一般のセミナーのように講義の動画を視聴するだけの一方通行型ではないのが特徴で、講師からの直接指導があるほか、他流試合とも言える異業種の同期生との議論も行うので、論理的に議論する力を磨きつつ視野も広げられる。
そんな大前経営塾のカリキュラムの中で、渡瀬氏が特に熱心に取り組んでいるのがRTOCSだという。
「RTOCSでは実在する企業の現時点での事業構想が課題として出されるため、経営者レベルの高い視座と幅広い情報収集力、深い思考が求められます。私はIT業界のことしか知らなかったこともあって最初は苦労しましたが、同期生と一緒に情報収集、ディスカッションを重ねる中で、自分一人で考えていたら到達できなかった発想や視点に毎回出合えています。一人では大前研一さんの思考に及ばなくても、同期生となら追い越せる。様々な業界で活躍している人材の集合知を得られることも、大前経営塾での学びに対する大きなモチベーションになっています。学びの場ではありますが本当に楽しくて、もはやRTOCSが趣味と言っても過言ではないかもしれません」
大前経営塾での学びは、現在の仕事にどのように活きているのか。
「間接的ではあるものの、顧客対応に役立っていると思います。すべてではありませんが、セキュリティは『コンプライアンスのために......』と仕方なくやっている企業も多いのが現実です。そうなると予算も潤沢ではなく、十分な結果も期待できません。しかし、大前経営塾で学んだ各業界のトレンドや、大企業の経営者レベルの視座を対話に織り交ぜられるようになったことで、これまで以上に取引先にセキュリティの重要さを伝えられていると思います」
渡瀬氏が考える今後の日本社会や自身の働き方にも、大前経営塾での経験が影響しているという。
「これから日本も人材の流動化が進んでいくと思います。より能力の発揮できる会社に業界を超えて転職する人や、成長産業で起業する人が増えることで停滞気味な日本に活気が出てくるはず。私もセキュリティだけでなく、データ分析やIoTなどデジタル技術を活用した事業開発に興味が出てきています。目の前の仕事を一生懸命やることに加えて、社会で求められる新しいスキルの継続学習が重要だと気づきました。様々な業界の経営課題に毎週向き合うことで分析力と構想力が鍛えられましたし、受講前よりも視野が格段に広がってよかったと強く思っています」