塾生の声
答えのない時代にゆるぎない視座を求めて、大前研一の門を叩いた
次代のリーダーたちを紹介します。
プレジデント誌に掲載されたバックナンバーの記事を掲載しております。
本ページに掲載のプロフィールは、すべて取材当時のものです。
BBT経営塾体験記
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世界の人材に伝わる雑談力とは
別所 貞雄
Kaneka Americas Holding,INC
R&B Manage
1985年生まれ。2010年カネカ入社。医療機器の研究開発および製造移管を経験し、20年より現職
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専門にとどまらない大局が見えるようになった
カネカ・アメリカズホールディングに勤務し、シリコンバレーで医療機器の研究開発のほかに他社メーカーから技術を導入する業務に就いている別所貞雄氏。BBT経営塾を受講する決め手は、「雑談力のなさ」だという。
「私が働いているシリコンバレーにはさまざまな分野のプロフェッショナルが集まっていて、彼らと雑談になったとき、話題についていけないことが多かったんです。思えば大学生の頃、恩師から『君は〝専門バカ〟だ』と言われたことがありました。独学で書籍を読んではいましたが、結局それでは体験のないインプットが増えるだけ。自分から話題を提供するアウトプットの力が必要ですし、日常の雑談は信頼関係の構築にもつながります。BBT経営塾ならばアウトプットの実践に適していると思い、すぐに入塾しました」
受講開始後、第1回の「RTOCS」で別所氏は衝撃を受けたと話す。
「『RTOCS』のテーマに明確な答えはなく、初回のレポートは悩んだ末にとても複雑な提案をしました。しかし、大前さんはたった一枚のチャートで解説をしていた。私が行き詰まっていた部分も簡潔にまとめられていました。そこからは、一枚のチャートで一つのメッセージを明確に伝える提案を心がけました。修了する頃にはかなり身になっていたと思います。普段の業務でも、提案がズムーズに通ることが増えました。結果的に伝え方がうまくなり、雑談力の向上も感じています」
業種が異なるほかの受講生とのコミュニケーションも刺激になったという。
「研究職だとどうしても似たような人が周りに集まってしまいます。直感的だったり、ロジカルだったりと、いろんなタイプの人と交流することで自分の人間性も豊かになったと思います」
経営塾での学びや交流を通じて視野が広がった。その結果、医療機器業界の課題も見えたと別所氏は続ける。
「医療機器は治療に使いますが、将来的に予防医療が発展すると医療機器の需要が急速に縮小する日が来るかもしれません。医療機器メーカーは今後どのようにビジネスを展開するべきなのかは、業界全体の大きな課題だと思います。経営塾で学び大局を見られるようになったからこそ見えたものでした」
今回取材した3人は経営塾で学んだことで成長を実感できたと口を揃える。課題や目標という壁にぶち当たったとき、BBT経営塾は解決に向けての大きな力になるだろう。
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経営塾が培ってきた「共有財産」に触れる
倉光 正夫
ニフコセントラルメキシコ
拠点長
1980年生まれ。2005年、ニフコ入社。商品設計、重要保安部品の生産準備業務を経て、スペイン、メキシコにて海外実務を経験。2018年より現職。
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経営者としてブレない心を獲得したかった
ニフコセントラルメキシコの拠点長である倉光正夫氏はBBT経営塾で「答え合わせ」をしているという。
「メキシコに拠点長、いわば社長として赴任したのが2018年。最初の2年は失敗ばかりで経営も悪化し、どん底の状態でした。トップの仕事である経営判断の際も不安と孤独感にさいなまれていました。それでも、責任を負う一国一城の主という思いが強く、 『俺が決めたことに従え』という思いが言動に出ていたと思います。そんな折、会社からBBT経営塾への参加を勧められたのですが、一度断っています。経営塾の存在とクオリティの高さは知っていたものの、打診されたのが迷走している真っただ中で、自分にまったく余裕がなかった。せっかく受講するなら時間をかけて向き合えるようになってからと考えていました」
その後、自身の考え方やふるまいを改め、社長業と業績も復調した。 「いまなら腰を据えて受講できる」とBBT経営塾に参加した。
「経営塾には、ブレない心の獲得を目的に入塾しました。経営者の資質として社長就任後2年で味わった不安感と孤独感の克服が必要だと、身をもって感じていました。また、失敗から再起できた自分の思考は正しいのか答え合わせをしたかった。実際、講義内容や議論から自身の考えや行動の一個一個を振り返ることができたうえ、自分がいかに恵まれているかを実感しました」
倉光氏が印象的だと語るカリキュラムは「新しい能力を身につける」だ。
「質問する力、考える力、議論する力を磨くことができ、人間性の向上に繋がっている。畑違いの同期生の視点や考えを自分にフィードバックするいい機会になっています。同期生には課長や部長クラスが多く、議論の中ではかつて自分が悩んでいたことにたびたび遭遇します。議論し意見しながら、自分の考え方や意識は正しかったのかを答え合わせしています。思考を文章化してオンラインで議論するシステムも面白い。文章化という段階を挟むことで、自分の思考を整理できますし、多くの人の思考のログを集積できます」
倉光氏が受講に際し大切にしているのは、人間性だという。
「どん底の時代は、すべて自分が決定しなくてはならないと思い込んでいました。しかし、専門的な仕事はスペシャリストに任せるほうが絶対にいい。では経営者の仕事は何かというと、優秀な人材を惹きつける器の大きな人物になることです。人間性が出来上がっていれば優秀な人材は寄ってきます。自身の成長のために、経営塾での学びには一カ月で60時間以上はかけています。もちろん、かなり多いほうだとは思いますが、BBT経営塾の魅力のひとつによく挙げられる『集合知』は、私からすると『共有財産』です。共有財産に触れられるかけがえのない体験があるからこそ、ライフワークのように没頭しているのだと思います」
これから経営者を目指す人、経営をしながら迷う人、挫折を乗り越えて経営の正解を確認する人、BBT経営塾はどんなビジネスパーソンにも気付きと学びが得られる場なのだろう。
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集積された「知」が経営塾の魅力
澤原 英則
横河電機
U.S. Technology Center
Principal Architect, Evangelist
2004年、横河電機入社。エッジ制御装置の企画、開発、販売を経て、19年より米国でオープンイノベーションによる次世代プラント制御の国際標準化、R&Dに従事。
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経営力は継続で身につけられる
澤原英則氏は横河電機のアメリカ現地法人に赴任しており、テキサス州在住だ。オイル&ガス、化学、医薬、再生可能エネルギーといった主に流体や気体を扱うプロセス産業において、生産を行うプラント・工場の自動化システムの研究開発やマーケティングに従事している。
「それらの事業におけるこれまでのやり方に加えて、現在は特定企業の独自技術で構成されたシステムに依存してしまう『ベンダーロックイン』からの脱却に向け、世界共通でオープンな制御システムをつくる国際標準化活動にもかかわっています。そうした標準化のためには、IT技術、オペレーションテクノロジー、エンジニアリングテクノロジーといったものを、弊社の力だけではなく他社と協力して融合させていくオープンイノベーションが必要だと強く感じていました。そんなときに、会社から経営塾への参加を打診されました」
「これまでのキャリアでバランスシートや損益計算書に責任を持つといった経営的な役職を経験していないので、今後のキャリアで必要になってくる経営能力やその適性に課題を感じていました。そんなときに『経営塾』という名前を聞き、自分の弱さを見つめ直して、経営に対する戦闘力を上げるチャンスだと思って入塾を決めました」
米国にいながら、オンラインで受講可能なため時間と場所を選ばなくてもいいことや、自身が抱えていた課題の解決に役立つかもしれないという思いから経営塾の門を叩いた。
「以前『経営塾』に参加した同僚から、ただの座学ではなく、いろいろな企業の上層部の方が集まって活発に議論ができる場だと聞いていました。入塾してみると、その充実感は想像以上でした。日本の社会問題や世界の潮流、教育、経済、金融、ファイナンスやテクノロジーなど、幅広い分野をテーマに課題が出され、それに基づいた議論が徹底的に行われます。考えもしなかったことを思考することになるので、視座が高まり構想力が磨かれるだけでなく、脳の使っていなかった部分が刺激されました」
澤原氏が経営塾を語るポイントのひとつに「集合知」があるという。
「立場も職種も違うクラスメイトとさまざまな角度で議論をすることができました。その経験の最たるものが『RTOCS』です。多種多様な企業の分析、本質的課題の特定、戦略構築を、同期生と議論しながら集合知で導き出していくことが楽しく、毎週欠かさず参加していました。この集積した知こそが経営塾の魅力だと思います」
入塾当初から講座に積極的に取り組んでいた澤原氏。あるとき、自身にポジティブな変化が表れたという。
「経営力は才能ではなく、継続することで間違いなく身につけられるものなのだと気づきました。課題を毎週筋トレのように続けていると、あるとき、企業の有価証券報告書等をざっと眺めるだけで本質的課題を解決するために何が必要かをざっくりと導けるようになっていたんです。過去に出てきた企業や他産業の成功事例をもとに、参加当初から自分なりのフォーマットで企業分析ドキュメントをつくっていたことも大きな力になったと思います」
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社員の心を動かす戦略を描くために
高橋 英行
D2C
代表取締役社長
1993年、NTTドコモ入社。iモード企画部主査。
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フェリカネットワークスなどへの出向を経て現職。 -
戦略策定の「型」を確立させるきっかけだった
NTTドコモは2018年発表の中期経営戦略で、「会員を軸とした事業運営への変革」「5Gの導入とビジネス創出」を基本方針として打ち出した。
同社と電通、NTTアドの合弁会社で、ドコモの広告メディアの販売・運用を中心に総合的なデジタルマーケティングを手掛けるD2Cは、その戦略の中核的な役割を担っている。
昨年6月からD2C社長に就任した高橋英行氏はNTTドコモ入社1期生で、これが3回目の出向。初めて経営トップとなる。
「当社はそれぞれ個性ある6社で構成されるグループで、これらを束ね『統合的団体戦』として各社の特徴を活かしながら、一つの組織のように成長していくことが課題です」(高橋氏)
高橋氏は大前研一氏が塾長を務めるBBT経営塾へ、昨年後期に入塾した。現在進行形で経営を学びながら、経営を実践しているのだ。
BBT経営塾とは、経営者として必要な知識と能力の養成を目的としたオンライン講座である。答えのない時代に「答えを導き出す能力」と、方向性の見えない時代に「構想する力」を身につける内容が特徴である。
カリキュラムは3つの必須科目と2つの任意科目で構成されている。前者は現代の企業経営者にとって最重要なテーマで構成される「現代の経営戦略」、21世紀の経営者に必要な能力を学ぶ「新しい能力を身につける」、毎週一人、実在する企業の経営者を取り上げ「自分が経営者だったらどうするか」を考える「RealTimeOnlineCaseStudy(RTOCS)」で、後者は過去1週間のニュースを大前塾長が独自の視点で解説する「大前研一ライブ」、企業経営者による「経営者講義」である。
受講期間は1年間。各科目のテーマは毎月替わり、塾生は講義映像や書籍等の教材をベースに議論へ参加する。PCやスマホ、タブレット端末とネット環境さえあれば、いつでも世界中のどこからでも受講できる。
加えて随時、任意参加によるオフラインでの集合研修や飲み会が開催されるという。「今まで書籍等で個人として経営者になるための勉強をしてきましたが、それを体系的にオンラインで学習でき、かつ異業種の方たちと議論できるのはとても画期的でした」高橋氏は入塾以来、生活を23時就寝5時起床に変え、朝の2時間を学習に充てている。
「戦略マニア」を自任する高橋氏はRTOCSに力を入れ、ノルマは月1回なのだが、毎週課題企業のトップになったつもりで情報を収集、分析、課題を抽出し、戦略を策定している。さらには過去の課題も閲覧し「本質的な課題が多く、過去問でも色褪せない」と語る。
自身が経験のない通信、広告以外の企業について事業戦略を考え、塾生同士で議論し、毎日曜日に大前塾長が「私はこう考える」例を提示する解説講義と比較しながら検証する。このプロセスを繰り返す中で、情報収集や分析手順の型が出来上がってきたという。
また、塾での学びが直接役に立ったのが1泊2日で開催された集合研修だ。この研修では参加者が数人のチームに分かれ、チームリーダーとなった参加者の企業もしくは部門のミッション、ビジョン、バリューを全員で作成した。「D2Cグループの6社は各社がそれぞれ独自に成長してきましたが、今後はグループで統合的な拡大を目指していくことになり、D2Cグループとは何かを再定義する必要が生まれました。社長に就任したときの悩みでしたが、どうミッション、ビジョン、バリューを策定すればよいのかを集合研修で疑似体験させてもらうことができました」
社会における自社の存在意義を突き詰めつつ、社員がワクワクして業務に邁進するようなミッション、ビジョン、バリューをいかにつくり、どう組織に浸透させていくか。高橋氏はその学びを自社に持ち帰り、実際の企業理念策定に活かし、「WEPRODUCE」という新たなグループミッションを6月に社内で発表した。
コロナ禍でライブストリーミングによる発表となったが、専用アプリで社員が拍手やコメントを送れる双方向の演出を施すなど工夫を凝らし、多くの社員の心を動かした手ごたえがあったという。
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南米ナンバーワンの旅行会社になる
日根 克巳
H.I.S.
ブラジル支社 支社長
1966年生まれ。ニューヨーク市立大学経済学部を卒業後、H.I.S.ニューヨーク支店に入社。米国、イタリア法人の勤務を経て、2018年5月より現職。
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塾長のぶっ飛んだ発想に、爽快な気分になります
旅行大手エイチ・アイ・エス(H.I.S.)の日根克巳氏はニューヨーク市立大学を卒業後、学生時代のアルバイト先だったH.I.S.ニューヨーク支店にそのまま就職し、イタリア統括支店長を経て、昨年5月からブラジル・サンパウロで南米旅行事業を統括する異色の経歴の持ち主である。
「現在、スタッフはサンパウロに43名、チリのサンティアゴに7名。まだまだ小さい規模ですが、私に与えられているミッションは『南米でナンバーワンの旅行会社』になることです。今日本人スタッフは6名いますが、将来的には現地スタッフにすべて任せられるようにしたいので業績の向上はもちろん、現地人材の育成が長期的な課題です」
日本語、英語、ポルトガル語が行き交う職場で広大なエリアを担当し、多忙な日々を送る日根氏がBBT経営塾の受講を決断したのは、会社からの推薦による。
BBT経営塾とは大前研一氏が経営者として必要な知識を身につけ、能力を養成するために設計したビジネスリーダー養成講座である。
カリキュラムはいま経営者にとって最重要なテーマを講義する「現代の経営戦略」、論理思考から構想力まで経営者としての本質的思考力を磨く「新しい能力を身につける」、毎週一人、実在する企業の経営者を取り上げて自分がその人だったらどうするかを考えるケーススタディ「Real Time Online Case Study(RTOCS)」など5科目から構成されている。
BBT経営塾の大きな特徴は、これらのカリキュラムがオンラインで提供され、PCやスマートフォンとインターネット環境があれば世界のどこでもいつでも受講できること。そして講師の直接指導や多種多様な業界から参加している国内外の塾生と徹底的に議論する「他流試合」を通じ、答えのない問題に解を導き出すことにある。
「BBT経営塾の受講が始まったのが昨年4月。イタリアからブラジルに異動したのが翌5月でしたから正直、『別の年でもよかったのでは』と思いましたが、始まってみると各科目で取り上げるテーマがどれも非常に興味深く、これは面白いと感じました」
たとえば、RTOCS。毎週月曜日に「自分がその企業や組織のトップならどうするか?」というテーマが出され、日曜日の午後8時が締め切りである。毎月1本の提出が課されているが、日根氏は毎週のように取り組んでいる。
「RTOCSは毎回、大前塾長の解説が行われるので、自分の考えたアウトプットと照らし合わせるためにできる限り参加しています。印象に残っているのは、鉄道事業の低迷を個性的な施策で挽回しようとしている銚子電気鉄道を取り上げた回。私は事実を積み上げ、論理的な思考によって解を導くことを意識していたのですが、大前塾長は無から有を生み出すぶっ飛んだ発想をされていたんです。特有の遊び心があって、爽快な気分になりましたね」
学習の仕方は、平日は隙間時間を活用し、週末は6時間程度のまとまった時間を確保している。日本とブラジルは時差が11時間あるが、地理的な遠さによる受講への影響はないという。
自身の入塾前と現在の変化としては論理的思考プロセスに対する意識の高まりを挙げる。論理的思考は以前から意識せずにやってきたことではあるが、体系的に整理されることで思考スピードが速まったうえに、スタッフとの関係構築にも役立っている。
「スタッフに自分の考えを伝え、理解してもらうには論理性が大切です。最初に習う『質問する力』や『考える技術』といった内容を自分だけではなくスタッフにも意識させるようにすることで、彼ら彼女らの育成にも活かせているのではないかと感じています」
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海外現地社員をどう育成するか
南條 浩史
大塚化学
経営企画部 大塚ケミカルアメリカ取締役
89年同社入社、日中米での工場建設、立ち上げを経験後、アメリカ現地法人設立に携わり、現職。
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会社や自分に危機感を持ちました
米国ジョージア州グリフィン市に大塚ホールディングス傘下の化学品メーカー、大塚化学の工場が竣工されたのは2015年のことである。
「この工場では自動車用ブレーキパッドの素材『テラセス』の製造のほか、大塚化学の北米・南米統括拠点としての役割を担っています」
現地法人である大塚ケミカルアメリカの南條浩史取締役はそう説明する。南條氏は同社初となる米国工場の立ち上げを担当し、立地の選定から現法設立、工場の設計・建設を行い、現在は同社の生産担当役員となっている。
そんな南條氏がBBT経営塾に入塾したのは、会社からの推薦による。
BBT経営塾は大前研一塾長が監修する、経営者として必要な知識と能力を養成するオンライン講座である。現代の企業経営者にとって最重要なテーマで構成される「現代の経営戦略」、経営者としての本質的思考力を磨く「新しい能力を身につける」、毎週1人、企業の経営者を取り上げ、自分がその人ならどうするかを考える「Real Time Online Case Study (RTOCS)」という3つの必須科目と、過去1週間のニュースの中から大前塾長が独自の視点で解説する「大前研一ライブ」、企業経営者による「経営者講義」でカリキュラムは構成されている。
受講期間は1年間。講義はすべてネット上で行われ、インターネット環境と端末があればいつでもどこでも受講できる。また、多様な業界から参加する塾生同士の議論が奨励され、一方通行型のeラーニングとは一線を画す。
米国在住の南條氏は終業後、帰宅してから毎日1時間を学習にあてている。「実際に受講を始めてみると、だんだん自分の強み弱みが見えてきました。自分の強みは右脳思考である一方、現代のITを使った経営戦略やデジタル周りの知識が足りないとわかりました。何より学ぶことで『自社のITの活用が遅れている』『自分は経営スキルが足りない』などと、会社や自分に危機感を持つようになったのが収穫です」
南條氏は日本と中国、米国で工場の設計・建設を行った経験を持つ工場立ち上げのプロフェッショナルであるが、ITの劇的な発達で登場した新たなビジネスや経営手法の動向には疎かった。だが、そうした手法を取り入れなければBtoBメーカーといえども時代に取り残されるかもしれない。また、企業経営は今回が初めての経験で、人事や経理などの知識が不足していた。
南條氏は講義で最新の知識を獲得するだけでなく、それを実際の業務に役立てている。たとえば人事のクラウド管理システムの導入。人材の流動性が高い米国では、人事マネジャーですらすぐ退職する可能性がある。だが、クラウドに情報を一元化しておけば、誰が辞めてもまったく困らずに済む。
社員教育においても、講義で学んだファシリテーションや問題解決の手法を活用している。
「現地採用した社員は化学工場の経験がなく、最初は問題があってもそれが問題と認識できませんでした。私が指示して問題解決すれば話は早いのですが、それでは現地社員が成長できません。BBT経営塾で学んだ質問する力、議論する力をフルに活用して、みんなに発生した事象の収集とその原因を一つひとつ議論してもらい、問題の本質を突き止め解決するプロセスを回しています」
いま南條氏は米国法人の新たなウェブサイトの構築に取り組んでいる。サイバー空間で、いかに顧客の課題に応えることができるか、自社の製品が顧客にどのような価値を提供できるのかを一つのストーリーとして意識し、デザインを考えているという。「BBT経営塾で学ばなければ、これらを強く意識できなかったと思います。米国ではITを使ったソリューションが日本よりはるかに進んでいます。米国法人ではそれらを実践し、その結果を発信して『もっとこういうことをやらなければいけない』と伝えなければと思っているんです。最初は『またか』と思われましたが(笑)、最近はだんだん理解されるようになっています」
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ヨーロッパ市場を攻略せよ
谷藤 道久
Mitsubishi Tanabe
Pharma Europe Ltd. 社長
東京大学薬学系研究課修士課程卒業後、田辺三菱製薬に入社。
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15年間研究に従事。秘書 、総務などを経て現職。 -
素早く答えを出す重要性を学びました
谷藤道久氏は今年4月に田辺三菱製薬の欧州連結子会社、ミツビシタナベファーマヨーロッパリミテッドの社長に就任し、現在はロンドンを拠点に各国での新薬の承認取得とその後の販売戦略立案に取り組んでいる。
もともと谷藤氏は研究職に15年間従事した後、経営戦略や秘書、渉外、総務などの業務を歴任してきた。「一口にヨーロッパといっても一つの国ではないので規制当局の対応も商習慣も違い、国ごとの対応が必要になります。このオペレーションが非常に複雑で、気を使うところです」
谷藤氏がBBT経営塾に入塾したのは現職に就任する前の昨年10月。同社経営者育成プログラムの一つがBBT経営塾だった。受講中に居住地が日本から海外へ移ったが、学習をするうえで違いはないという。
学習に費やすのは平日1時間半。加えて週末に集中して課題に取り組む。
「『現代の経営戦略』で取り上げられるテーマは、AIやIoTといったテクノロジーの進歩に基づく新しい手法や考え方から人材戦略に至るまで幅広く、個人で網羅的に勉強するには限界があり、講義を理解したうえで異業種の塾生と議論することは非常に刺激になります」
製薬業界のビジネスモデルは研究、開発、製造、販売のバリューチェーンを自社内に持つ垂直統合型という特徴がある。異業種とのコラボレーションの機会が少なく、他の業界で何が起こっているかがわかりにくい面がある。
ところが異業種の塾生と議論を行うと、それぞれの世界では当たり前の概念や技術が他の業界においてはあまり知られていなかったり、課題に対する考え方や戦略、戦術が異なっていたりすることに自ずと気付かされるという。
もう一つ学んだのが「素早く答えを出す重要性」である。
「どうしても完璧な正解を探したくなりがちですが、変化が激しく価値観が多様化している中では、その時点で出せる答えを素早く見つけることが重要で、絶対解を求めるとむしろスピード感を失う。これがBBT経営塾に入塾してから一番変わった点で、限られた1週間の時間軸で適切に情報を集め、判断し一定以上の水準の結論を出すRTOCSはよい訓練になっています」
今後は現在のミッションであるヨーロッパ市場での販売戦略立案において、従来の伝統的な製薬業界の考え方とは別に他業界の戦略や戦術を組み込んで、医薬品だけで終わらないヘルスケアソリューションを提供していきたいと谷藤氏は意気込んでいる


