グローバルビジネスで戦える人材になるためのヒント"The Essence of BBT"
Vol.18 もしも、あなたが「俺の株式会社社長」ならば

2016年4 月1日発売の「BBT Real Time Online Case Study」 Vol.18 には、以下の2本が収録されています。今回は、CaseStudy1 あなたが「俺の株式会社社長」ならばの一部をご紹介します。

 

│CaseStudy1│
あなたが「俺の株式会社社長」ならば
シェフの退職も相次ぐなか
いかに成長を継続させるか?

 

│CaseStudy2│
あなたが「雪印メグミルク社長」ならば
過去最高益を更新する見込みの今
いかに今後の成長戦略を描くか?

 

 

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■あなたが「俺の株式会社社長」ならばどうするか?

QUESTION:今回のリアルタイムケース

あなたが「俺の株式会社社長」ならば
シェフの退職も相次ぐなか
いかに成長を継続させるか?

 

【BBT-Analyze】大前研一はこう考える~もしも私がJTBの社長ならば~

大前の考える今回のケースにおける課題とは

「俺のイタリアン」「俺のフレンチ」「俺の割烹」など「俺のシリーズ」レストランを、国内外に展開する俺の株式会社。一流シェフの手がける高級料理を高い客回転率により低価格で提供するコンセプトがヒット、外食業界においてフード原価率30%未満が常識とされるなか、原価率60%で黒字を出すビジネスモデルは業界に革命をもたらした。2011年の第1号店出店以来、銀座を中心に店舗数を増やし業績を伸ばすが、流行り廃りの激しい外食業界において、ビジネスモデルの根幹を成す高回転率の維持と一流シェフの確保が課題となっている。

※本解説は2015/12/20放送のRTOCS®を基に編集・収録しています。

 

 

◆外食業界に革命をもたらしたビジネスモデル

#数々の事業を手がけた坂本孝氏による新たな事業

一流シェフが高級料理を低価格で提供する、独自のビジネスモデルで外食業界に革命をもたらした俺の株式会社。設立者の坂本孝氏は、中古本販売「ブックオフ」の創業者として同社を全国1,000店舗以上の規模に成長させた経営者です。坂本氏は1940年に山梨県甲府市に生まれました。大学卒業後に家業の精麦会社を継ぎますが、1970年にオーディオ販売店を起業したのを始まりに、洗車事業、中古ピアノ販売、喫茶店、化粧品販売などの多くの個人事業を手がけ起業家人生を歩みます。そして、1990年に50歳で「ブックオフ」を創業、2005年に東証一部上場を果たしましたが、2007年に架空売上計上の指摘を受け引責辞任します。その後は2009年にVALUE CREATE株式会社を設立し、外食産業へ参入します。

スライド1

図1

そして2011年9月、東京・新橋に「俺のイタリアン」1号店をオープンし、行列ができる大人気店になります。13番目の事業として、2012年に「俺の株式会社」を設立し、「俺のイタリアン」、「俺のフレンチ」、「俺の割烹」、「俺のやきとり」など、「俺のシリーズ」のレストランを国内に32店舗、海外に3店舗オープンしました(図1)。

 

#独自性が大行列を生んだ「俺のイタリアン」「俺のフレンチ」のコンセプト

ミシュランの星付き高級料理店で活躍してきた一流シェフを起用し、高級食材を使った料理を驚くような低価格で提供するというのが、「俺のイタリアン」「俺のフレンチ」のオリジナルコンセプトです。食材の原価率は60%と高く、一見、相矛盾するコンセプトに思えますが、立食スタイルで2時間制をとり、1日3回転以上の高い回転率により低価格を実現しました。

スライド2

図2

低価格だからといって料理を少量にするのではなく、料理を堪能できるように一皿を十分なボリュームに設定しています。トリュフやフォアグラなどの高級食材が高級レストランの約1/3の価格で食べられるという独自性と競争優位性がヒットし、「俺のイタリアン」「俺のフレンチ」は大行列をつくる人気店になります(図2)。

 

#フード原価率60%という外食業界の常識を覆した革命的な戦略

食材の原価率は30%未満が常識とされている外食業界において、食材の原価率を60%に上げている「俺のシリーズ」は革命的な業態です。コスト構成比率の内訳を見ると、高級飲食店のフード原価率は30%、ドリンク原価率は30%に対し、「俺のシリーズ」のフード原価率は64%、ドリンク原価率は34%になっています。しかし、高級飲食店の客回転率が1日1回転未満なのに対し、「俺のシリーズ」は3回転以上を実現することで、固定費である人件費や家賃・諸経費の比率が大幅に下がり、高原価率でありながら利益を確保しています(図3)。

スライド3

図3

「俺のシリーズ」の業績とフード原価率を詳しく見てみましょう。[図4/「俺のシリーズ」の業績と平均フード原価率]は各業態のデータをまとめたもので、平均フード原価率はいずれも50~60%台です。業態によって店舗面積(坪数)や営業時間は異なりますが、客単価は「俺のそば」を除いて、概ね3,000〜4,000円の居酒屋並み、平均月商は「俺のフレンチ・イタリアン」が6,100万円と高く、「俺のだし」を除いて概ね2,000~3,000万円です。

スライド4

図4

 

#「俺のシリーズ」で多業態展開、5年目にして成長鈍化

売上高と店舗数の推移を見ると(図5)、2011年の1号店出店以降、数年で急激に伸びていますが、2015年には成長が鈍化しています。出店当時の売上高は7.7億円でしたが、翌年は13.4億円と約1.7倍になり、さらに2013年には前年比約2.3倍の30.9億円、2014年には約2.4倍の74.2億円と大幅に成長、しかし、2015年には前年比約1.2倍の92.3億円と鈍化しています。

店舗数についても2011年9月に「俺のイタリアン」第1号店を出店後、「俺のフレンチ」、「俺のスパニッシュ」、「俺のやきとり」、「俺の割烹」、「俺のそば」、「俺の焼肉」、「俺の揚子江」、「俺のだし」と、多角的に展開します。その数は2015年時点で35店舗となっていますが、前年と比べると国内店舗数は変わらず、海外店舗が3店舗増加したのみとなっており、出店ペースにも陰りが見えています。

スライド5

図5

 

 

◆「俺のシリーズ」のブランド力強化を狙ったドミナント出店戦略

#銀座で圧倒的な存在感を確立し、自社内競争を促進

「俺のシリーズ」は銀座8丁目を中心にドミナント[i]出店しています(図-6)。坂本氏は、銀座という日本一舌の肥えたマーケットでドミナント展開ができれば、どこに出店しても成功できるだろうと考えているようです。一流シェフがつくる高級料理を低価格で食べられるとあれば、世間の関心は高まり、注目を集めます。「あの店は美味しかった」となれば、「じゃあ今度は、『俺の』と付く他の店舗へ行ってみよう」と、系列店舗への誘致効果が生まれます。圧倒的な存在感を確立することで、自店舗のみならず他店舗への集客効果も生むという狙いがあります。

スライド6

図6

さらに、シェフに裁量権を与え、各店舗の一流シェフがオリジナルメニューで競い合う環境をつくることで自社内競争を促進させ、ブランド力の強化を狙いました。

 

 

◆革命的なビジネスモデルはその継続性・発展性が課題

#着席型への転換、看板シェフの退社で客離れが懸念される

急成長した俺の株式会社ですが、先述したようにすでに売上高と出店ペースに鈍化が見え始めています。銀座におけるドミナント戦略も裏を返せば、銀座レベルの集客が見込める繁華街でなければ高回転率を維持できず、地方中小都市程度の繁華街ではそもそも出店が困難だということです。

また、既存店の客離れも懸念されています。開店当初は立食スタイルの2時間制で高回転率を追求していました。これはもともと男性サラリーマンが集う新橋の立飲み居酒屋をイメージしたものでしたが、現在、全店舗で着席型の2時間制に転換し、女性客やカップル客へと客層の拡大を図っています。

さらに看板シェフの相次ぐ退社により、店のコンセプトでもある一流シェフの確保が課題になっています。「俺のフレンチGINZA(現・俺のフレンチ銀座本店)」料理長兼俺のフレンチ取締役総料理長を務めた能勢和秀氏、「俺のフレンチNINGYOCHO」総料理長を務めた大渕康文氏、「俺のイタリアンGINZA(現・俺のフレンチ 銀座並木通)」料理長を務めた市村真朗氏はすでに退社しています。退社の詳しい理由は不明ですが、これまで勤めていた格式の高いレストランに比べて、回転率を重視するスタイルは格式が低いと感じてしまったのかもしれません。いずれにせよ、一人前のシェフを育てるのに10年かかるとされる高級外食業界で、さらにそのなかからネームバリューで集客できる話題性のある看板シェフを確保しないことには、新店舗を出すことはできないのです(図7)。

一流シェフが高級食材をふんだんに使用し、客回転率を上げることで低価格を実現するという外食業界の常識を覆したビジネスモデルですが、まさにそのビジネスモデルの根幹を成す「一流シェフの確保」と「高回転率の維持」が、事業を継続・発展させていくうえでの最大の課題です。

スライド7

図7

 

 

#「高回転率の維持」と「一流シェフの確保」が今後の明暗を分ける

「俺のシリーズ」を継続・発展させていくためには、高回転率の維持と一流シェフの確保が必要です。まず高回転率の維持のためには、銀座ドミナントの利点を活かして、クラブ向けにテイクアウトや仕出しを行うという戦略が考えられます。銀座には約1,500軒の高級クラブがあるといわれますので、各店にメニューを配布し、デリバリーを受け付けます。もともと、日本の外食産業は江戸期において「三業地」と呼ばれる繁華街で発展してきた経緯があります。「三業地」とは料理屋、芸妓屋、待合茶屋(貸席業)の三業の営業を許可された地域を指し、三業地において芸妓との遊興や飲食をする場所に仕出しを行うのが料理屋の役割でした。この伝統的なシステムを現在の銀座に当てはめ、約1,500軒ある高級クラブのセントラルキッチンの役割を担うことで高回転率の維持を図るというコンセプトです。

[i] ドミナント:特定の地域に集中的に出店する戦略。特定の地域内にシェアを拡大することで、その地域内の同業他社に対して競争優位性を打ち出す。

 

・・・・・・・・・・・

 

<続きは書籍版で>
各ケースの”今”について、どのような課題を見い出し、あなたは何を導き出しますか?
ぜひこの書籍を通じて、”実践的な思考プロセス”を育ててください。

 

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■今後の発行スケジュール

BBTリアルタイム・オンライン・ケーススタディ」シリーズは以下の予定で発行します。
Vol.19:5/13発行予定(もしも、あなたが「マツダの社長」「オープンハウスの社長」ならばどうするか?)

 

 

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・大前経営塾 http://www.bbt757.com/keieijukup/
・リーダーシップ・アクションプログラム http://www.ohmae.ac.jp/ex/leadership/

 

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