グローバルビジネスで戦える人材になるためのヒント"The Essence of BBT"
女性を指導する男性指導者は、女性からココを見られる

子どものころから上下関係を見極めながら自分のポジションを見つけてきた男性たちとは異なり、多くの女性は、自由奔放でユニークな発想ができる。企業は、商品開発の現場において、外部の女性からアンケートを採ることは多いが、社内の女子力を活用しないのでは自社の能力を十分発揮できているとはいえない。多様な人材を活用し総力戦で挑まなければ生き残れないのであれば、まず足元の女性社員たちに目を向けるべきだろう。

女性の指導に向くタイプ、チャンスをどのように与えたらよいか、女性活用による組織の活性化の仕方、女性を活用することによる男性側にとってのメリットについて、全日本女子柔道体重別選手権大会52kg級で10連覇、1988年のソウル五輪で銅メダルを獲得するなど、女子柔道界の先駆者として「女三四郎」の名で知られ、現在は、筑波大学体育系准教授として選手や指導者の育成に当たる山口香氏に聞く。聞き手はタクト・プランニング代表取締役社長の深澤真紀氏。
imadoki02

女性の指導に向くタイプ、向かないタイプ
山口氏の経験によれば、男性選手を指導するのと、女性選手を指導するのとでは大きな違いがある。男性選手を指導する場合、例えば「走れ」と言えば素直に従う。男性は、指導に対して疑問をあまり持つことなくきっちりと走ってくれ、ある種単純なので、指導するのに手間がかからない。しかしながら、女性選手を指導する場合、言う通りに素直に動いてくれるとは限らない。思い描くトレーニングの方向に導いて女性選手をぴったりと指導の型にはめ込むには相当な工夫が必要である。ただし、一度はまると、たとえ海の中でも火の中でもどこまででも走り込むほど強い信頼関係を築けるようになる場合があり、それが醍醐味になる。「マニュアル通りに一律に指導できないからこそ面白い」と楽しめるタイプが、女性の指導に向いている。選手ひとりひとりの個性や性格に合わせてどうやって指導していこうかということに興味を持ち、探求心が旺盛ならば、女性選手の指導に向いていると言えよう。反対に、最初から「こうあるものだ」という先入観や固定観念を持って臨む人は女性指導に向いていないかもしれない。

まずはチャンスを与える。チャンスを与えれば張り切る
深澤氏によると、グループやサークルやPTAなどのいわば〝ムラ社会〝での人間関係の構築は女性のほうがうまい。かわいがられ、嫌われないための人間関係の構築を心得ているからである。仕事を任されてそれにはまると、新食を忘れ、納期と予算を守り、もめごともなくきっちりとこなすことができる。TV番組の「はじめてのおつかい」と同じ要領で、失敗しても最後まで見届けることが重要である。

ある信用金庫では支店長のポジションを女性に与えるチャンスを作ったところ、オレオレ詐欺事件が減り、預金残高も増える成果をあげた例がある。

異分子が活躍することで、組織が活性化する
深澤氏はNHK番組の「プロジェクトX」や「プロフェッショナル」を視聴しながら、ストーリー展開にパターンがあることに気がついた。「よそ者」「女」「ガイジン」という〝異分子“の存在である。組織の活性化に〝異分子”の存在は欠かせない。

山口氏は自身を振り返り、柔道などのチャンピオンもまた変わり者=異分子であることが多いと言う。出る杭は打たれるが、出過ぎた杭は打たれない。チャンピオンは練習の場で何と言われるかというと「アイツ、練習嫌いだよね」「アイツ、不真面目だよね」と煙たがれることが多い。だが、“変わり者”がチャンピオンになっていくのである。それもそのはずで、人と同じようにやっていてはチャンピオンにはなれないからである。人とは違う物の見方であったり、違うトレーニングの仕方であったり、違う能力を持っているからこそチャンピオンにのし上がるのである。異分子の能力を認め、能力を面白がることで組織を活性化できる。

子育て、介護にかかわることで、男性も人生が豊かになる
スポーツの世界で男性の指導者が数多いが、山口氏がこれまで見てきた中では、家庭的には不幸な男性が比較的多い。土曜日も日曜日も合宿や試合や練習のために、子供の運動会などの行事に出席できることは希である。家庭では「家庭や奥さんや子供を顧みないお父さん」とみなされている。仕事一辺倒で家庭を切り捨てていたわけである。

ある時から、女子柔道の男性コーチが道場に自分の子供を連れて来て、そこで面倒をみるようになった。女性コーチが子供を道場に連れて来るようになったのにならってであるが、ひと昔であれば考えられなかったことである。

リーダーには、仕事だけができても、人がついて来るわけではない。仕事に厳しいからこそ、仕事以外のところでの人間性を人からは見られる。家庭人としても尊敬される人間にならなければならない。仕事以外の人生も豊かにして人から尊敬される人格を形成しないと、多くの人がついていこうという本当のリーダーにはなれない。

Tweet about this on TwitterShare on Google+Share on Facebook