グローバルビジネスで戦える人材になるためのヒント"The Essence of BBT"
インドシナ半島の東西南北をつなぐ道路インフラ整備で、インド・中東へのアクセスの期待が高まるベトナム

ベトナムは人口8784万人(2011年)、2007年〜2011年の5年間で年平均6.6%を超える高い経済成長率を維持する。高度成長期の日本のような勢いのある国である。2025年には人口1億人を突破すると言われている同国には、近年、日本の直接投資や企業進出が増加している。今、なぜベトナムを含むメコン川流域の国々(メコン経済圏)が注目されているのかをアセアン地域への事業支援などを行うハバタク株式会社取締役の小原祥嵩氏に聞く。
Vietnam


ベトナムのマクロ経済環境や企業進出状況について解説する。
ベトナムは、チャイナプラスワンの筆頭として、生産拠点として経済成長を続けてきた国であり、製造業がGDPの4割を稼ぐ。輸出品は、人件費の安さを利用した労働集約産業の代表である縫製品が多いが、近年では韓国のサムスン電子向けを中心とした電話機や電話器部品などの複雑な工業品も増加してきている。2007年以降、100億ドル超(GDPの約10%)の貿易赤字が続いている。内部調達率が低いために、輸入品は機械設備や部品などである。ベトナムの一般労働者の賃金は約153米ドルで、中国の1/3程度と低いが消費者物価上昇率が20%と高いため、人件費の上昇圧力は強い。
最近、日本企業の進出が増えており、1500社を超える企業が進出している。日本からの直接投資は2012年は全体の4割を占める。背景の一つは、チャイナリスク(人件費の高騰・ストライキ・政治不安定)を避けようとする日本の製造業の思惑がある。進出企業の半数が製造業である。ソフトウエアなどのサービス業の進出が増加している。生産分野の周辺産業やサービス業へと推移しており、輸出加工業に代わり、ベトナム国内やASEAN市場の需要を狙う傾向が高まっている。

メコン川流域の経済圏(メコン経済圏)は、インフラ開発も進んでおり、さらなる発展が期待され、地理的にもベトナムの魅力は高い。ベトナムはインドシナ半島の東に位置するので、従来は中東やインドと貿易しようとすると、海運でインドネシアをぐるりと南に遠回りしなければならなかった。陸路である東西経済回廊や南経済回廊を開発中で、完成すると、インドシナ半島の西に位置するミャンマーと道路でつながる計画である。中国とは広州や昆明とも道路でつながる予定である。陸送できるようになり輸送コストが下がり輸送期間が短縮されると、ベトナムの地理的優位性が高まると期待されている。2025年までの「世界都市別平均経済成長率」ランキング(プライスウォーターハウスクーパース2009年調べ)によると、1位ハノイ(219.0%)、2位ホーチミン(212.1%)とベトナムの2大都市が独占する。

また現在の平均年齢が28〜29歳で2025年に人口1億人を超える予測がされるベトナムは、インドネシアとトルコと並びネクストBRICと呼ばれ、一人当たり国民総所得の伸びも10%以上と好調であり、若い世代が消費を牽引する工業国から消費国への過渡期にある。

現在、人口約800万人のホーチミンは高層ビルの建設ラッシュであり、国内外から都市に人が集まり、街が外側に拡大している。市内に鉄道がないため、移動手段のメインはバイクである。男女を問わず一人1台を持っており、膨大なバイクの量である。日本のホンダ(市場占有率60%)やヤマハ(同30%)のバイクが好まれている。

住居は、長屋やアパートが一般的であり、飲食も安い。ただ富裕層が増えてきており、日本と変わらないようなマンションや高額な日本料理店も増加中である。若者の娯楽は、テレビやサッカー観戦、飲酒、ゲームなどシンプルであり、あまりお金をかけるものではない。ただし、携帯電話の普及率は62%と高く、高額なスマートフォンの売れ行きは好調である(2009年の普及率は13.4%。GFK調べ)。またファッションに対する関心も高まっている。メディアを通じた韓国のドラマや音楽の露出度合いが高く、韓流スターの人気や知名度が高く、彼らのライフスタイルがベトナムの若者の強い影響を与え、韓国製品が売れている。韓国に比べると日本の影は薄くなりがちである。

ベトナムの若者が描く理想の生活スタイルを代表する“4種の神器”は、1wife(一人の妻)、2Children(二人の子供)、3Floors(3階建ての家)、4Wheels(四輪車)といわれ、消費意欲は旺盛であり、今後も拡大が期待できる。

ボートピープルという形で世界中に移民した越僑が成功した結果、ベトナムにはGDPには表れない資金が親族からの仕送りという形で還流しているとも言われる。月給以外の収入が一般市民の消費を下支えしているとも言われる。そうでないと、平均月収が1万円台なのに10万〜16万円と高額の最新モデルのバイクが売れたり、10万円以上するiPhoneが売れたりする説明がつきにくい。

このようにベトナムには、製造拠点としての魅力と消費市場としての魅力があり、親日的で相性のいい国民性と相まって、今後も日本にとって魅力的な国であると考えられる。

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