【自分のキャリアを見直してみる。】
キャリアデザイン入門 Ⅱ 専門力編
(大久保 幸夫 氏)

先週のブックレビューでは、キャリアデザイン入門の基礎力編をご紹介しました。
自分のことほど興味深くて、よくわからないものはない。そのような自分のキャリアを考える上で、キャリア論研究をヒントにすると良いのではないかという著者の考えを先週はご紹介しました。
その中でご紹介したのが、「筏(いかだ)下り」から「山登り」へという年齢段階に応じた標準モデルです。おさらいも兼ねて簡潔にまとめると、以下の通りです。
1)筏下り:30代半ばまで(目安)
日々直面する仕事のプロセス自体に意味があり、その中で急場や難所などを経て多くの経験を積み、様々な人との出会いを重ね、短期的な目標を何度もクリアしていく。「自分にできることは何か」「何がやりたいのか」「何をやることに価値を感じるか」という仕事に対する三つの問いへの答えを出すための「材料」を集めていく段階である。この中で基礎力を磨いていくことが大切である。
2)山登り:30代半ば以降(目安)
山というのは、自分が生涯をかけて取り組んでいいと思える専門領域のこと。自分の能力、価値、動機に関する自己イメージを統合する作業である。そのためには客観的に自分の現在を見てみるような機会をつくることが必要。どの山を登るか、試行錯誤しながら本格的な選択をする前の内省と行動を大事にすることである。筏下りが偶然性に左右されるとしたら、山登りは計画性や戦略性も必要になってくると言うことができる。
今回は「山登り」、つまりいかに自分の「専門性」を高め、その道のプロフェッショナル(以下、プロ)になるかについて著者の考えをご紹介します。企業に勤めながらなるプロのことを著者は「ビジネス・プロフェッショナル」と呼んでいます。その特徴として、著者は以下のものを挙げています。
-安定的に業績を上げることができ、常に合格点以上の成果を上げられる。
-経験によって積み上げられた高い知識や技術をもっている。
-高い職業倫理観を持ち合わせている。
-自分で自分の仕事を定義して広がりや深みをつくっていく。
(細分化した特定の業務に精通する専門化の道は、スペシャリストでありプロとは異なる。)
-その道を自分の専門領域としていくと腹決めできている。
そして、プロには特定の技術領域を担う「エキスパート型」、経営を担う「ビジネスリーダー型」、変革・創造を担う「プロデューサー型」の3つのコースがあると指摘しています。
プロとして成長いくためには、プロ意識がそもそも大切です。そして、著者はプロ意識は3つの要素から構成されているとしています。
1)自己概念
「自分は何者か」というアイデンティティのこと。プロとして自分がなすべきことを自覚し、自分らしさを追求することでプロとしての使命感を抱くようになる。
2)専門技術・技能認知
自分は何ができて、何ができていないのか、獲得しなければならない技術は何かということに関する意識。
3)他者認知
自分が他人からどう見られているか、またはどのような存在であるべきかという意識。
これら3つの意識が相互に影響を与え合いながら高まってゆくことで、プロと呼ばれる存在になるというのです。
専門技術(知識)については、著者は大学院で学び直すことで「経験と理論の融合」を図り、専門性を高めることの大切さを指摘しています。いつまでも学び続けること、そして学ぶ習慣や学び方を身につけることは重要なことではないでしょうか。今では1科目から学ぶことができる科目等履修(単科)もあるので、まずはそのようなものからチャレンジしてもよろしいかもしれませんね。
プロフェッショナルとしてのキャリアについて考えさせられる本著。ご興味をお持ちの方は、ぜひ一度手に取られてみてください。
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