【自分のキャリアを見直してみる。】
キャリアデザイン入門 Ⅰ 基礎力編
(大久保 幸夫 氏)

MBA取得をお考えになられている方、まさに現在受講中の方々の中にはご自身のキャリアアップのためにMBA取得をしようと考えている方が多いのではないでしょうか。
ただ、キャリアというのは意外と曖昧な言葉。わかるようでわかりにくい、実はそんな掴みにくいものなのではないでしょうか。
今回ご紹介するのは、リクルートワークス研究所所長で人材や雇用問題の第一人者としても知られる大久保幸夫 氏による書籍です。大久保氏は、キャリアには2つの側面があるといいます。それは以下の通りです。
1)職務経歴(客観的側面)
経験してきた職業(職務)の連続を意味するもので、誰が見ても明らかな客観的な側面。
2)仕事上での自己イメージやアイデンティティ(主観的側面)
自分は何者なのかという主観的側面。
仕事は人生において多くの時間を占めるもの。そして、人生の幸福感を大きく左右するものでもあるといえます。
そのため、著者はできればキャリアを会社任せにするのではなく、自分自身が主体性をもって自律的に実行・計画していくことが大切であるとしています。それが、書籍のタイトルにもある「キャリアデザイン」というものです。
ただ、著者も指摘するように自分のことほど興味深くて、よくわからないものはないといっても過言ではありません。
そこで、そのような自分のキャリアを考えるためにキャリア論研究をヒントにすると良いのではないかと著者は指摘しており、本著の中でもいくつかキャリア理論が紹介されています。
その中のひとつが、「筏(いかだ)下り」から「山登り」へという年齢段階に応じた標準モデルです。簡潔にまとめると以下の通りです。
1)筏下り:30代半ばまで(目安)
初級キャリアのイメージを表す言葉。日々直面する仕事のプロセス自体に意味があり、その中で急場や難所などを経て多くの経験を積み、様々な人との出会いを重ね、短期的な目標を何度もクリアしていく。偶然性が高い。
そうすることで、「自分にできることは何か」「何がやりたいのか」「何をやることに価値を感じるか」という仕事に対する三つの問いへの答えを出すための「材料」を集めていく段階である。この中で基礎力を磨いていくことが大切である。
※そのため、生涯筏下りをし続けていてはいけない。
2)山登り:30代半ば以降(目安)
山というのは、自分が生涯をかけて取り組んでいいと思える専門領域のこと。自分の能力、価値、動機に関する自己イメージを統合する作業である。
そのためには休暇をとるなど、客観的に自分の現在を見てみるような機会をつくることが必要で、どの山を登るか、試行錯誤しながら本格的な選択をする前の内省と行動を大事にすることである。
筏下りが偶然性に左右されるとしたら、山登りは計画性や戦略性も必要になってくると言うことができる。
あくまでも標準モデルなので、どなたにでもそのままあてはまるものではありません。ご自身の置かれている状況などによって当然、違いが出てくるでしょう。
いずれにしても著者が指摘しているのは、基礎力を築いた上に専門性を積み上げる大切さです。
専門力を活かすも殺すも、それを使いこなす基礎力次第。改めて、自分のキャリアを冷静になって見つめ直してみたいですね。
他にもキャリアを考える上で参考になる理論や、そもそも基礎力とはどのような力なのかなど広く解説している本著。書籍に書かれていることは決して正解ではないと思いますが、ご自身のキャリアを考える上でヒントを得られるのではないでしょうか。
ご興味をお持ちの方は、ぜひ本著を一度手に取られてみてください。
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