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MBAの仲間と創業した卒業生に話を聞いてみた。

鮄川 宏樹
株式会社モンスター・ラボ 代表取締役
Bond-BBT MBA 9期卒業生

神戸大学理学部数学科卒業後、「プライスウォーターハウスコンサルタント(現:IBM)」、ベンチャー企業「イーシー・ワン」を経て、経営とは何か、戦略とは何かを学ぶために通信制のMBAプログラム「Bond-BBT MBA」に入学。在学中に、戦略系コンサルティング会社「モニターグループ」に転職し、製薬会社のマーケティング戦略等のプロジェクトに従事。2006年2月、Bond-BBT MBAプログラムの集大成であるビジネスプランを事業化し、現在に至る。

モンスター・ラボと「monstar.fm」は、仲間たちの情熱とスキルの融合から誕生したんです。

── 鮄川さんは、モンスター・ラボ設立まで、大手コンサルティング会社、IT系ベンチャー、さらに戦略系コンサルティング会社へと転職されていますが、当時はどのようなキャリアプランをお持ちでしたか?

大学で就職活動をしていたとき、企業1社に限定される就職は、自分自身のさまざまな可能性を狭めてしまうような印象を持ったんですね。でも、コンサルティング業界ならさまざまな業界や企業を見られるし、自分の可能性を広げられるかもしれない。それも外資系コンサルティング会社なら、海外の人たちとビジネスができるかもしれないと考え、米国最大手のコンサルティング会社に就職したんです。

ところが、当時はYahoo!などの新しいビジネスモデルが海外から流入してきた時代で、「これからはインターネットで世界が変わる!」という時代性を感じていました。このまま大企業だけを相手にコンサルティングビジネスをしていたのでは時代に取り残される。自分自身が世の中を変えていくようなソリューションやサービスを創り出していくには、ITというものを技術者レベルで知っていないといけない。そんな思いから、1年後にIT系ベンチャーに転職しました。

僕にとって大事なのは、新しい分野で何かを切り拓ける人間になることで、「仕事」は将来に活きる知識やスキルを習得するための手段と考えていたんです。

── 2004年1月にBond-BBTに入学されたのは、どんなお考えからだったのですか?

外資系コンサルティング会社での活動は、ロジカルシンキングやプロフェッショナルの意識などビジネスパーソンとしての土台をつくるのが目的で、2社目のベンチャー企業ではITビジネスを知識・技術の両面で深掘りすることができました。

肝心なのは次のステップで、ビジネスにインパクトを与える戦略コンサルティングの道と、事業会社のビジネスリーダーをめざす道、そして自分で起業するという道という3つの将来像がありました。すべてに共通して必要なのは、それまで習得した知識やスキルに加え、マーケティングやヒューマンリソースマネジメント、財務などを体系的に勉強すること。そして、さまざまな分野で活躍するビジネスパーソンと会って刺激を受けること。自分のキャリアにおけるブレークスルーがほしかったんです。

モンスター・ラボと「monstar.fm」は、仲間たちの情熱とスキルの融合から誕生したんです。

── Bond-BBT大学院への入学の決め手は何でしたか?

MBA取得を考え、2年間海外の大学に行くことも考えましたが、Bond-BBT大学院のMBAプログラムなら自分のキャリアを中断することなく受講できるし、費用も安い。そして何より、他のビジネス系スクールよりも講師陣の質が高い。大前研一さんを筆頭にすごい方々が揃っていて、その講義を受けられること自体が魅力的だと思いました。

実際に受講が始まると、グループワークやボンド大学でのスタディツアーで会う受講生の質の高さにも驚きました。それまで、実業家の方や企業の中核的なポジションで活躍されている方に会う機会はあまりなかったので、そういう方たちと会っていろいろな角度から生々しい話を聞けるのがうれしく、本当に刺激的でした。

── モンスター・ラボの創業事業は、MBAプログラムの課題である「ビジネスプラン」がベースだったそうですね。

ベースというより、ビジネスプラン=起業準備でした。僕たちが取り組んだビジネスプランは、マスメディアで流れるメジャーレーベルの音楽に飽きた20代以降の人たちをターゲットにした、インディーズ音楽配信サービスです。

メジャーレーベルに所属せずに音楽活動をしている人たちはたくさんいて、そういう人たちの音楽とリスナーの好みをマッチングさせることができたら、新しい音楽市場を創り出すことができる。インターネットの配信技術を使えば、世界をマーケットにしたビジネス戦略も可能だと考えたんです。

実はMBAプログラムを受講中に戦略系コンサルティング会社に転職したのですが、その頃、アップル社のiPodやiTunesが急速に普及し、音楽のデジタル配信の世界が大きく変わろうとしていました。「インディーズ音楽配信サービスをやるなら今しかない!」と感じ、Bond-BBT大学院同期生たちと起業のためのビジネスプランに取り組みました。

課題制作であるビジネスプランの完成=起業ですから、資金と拠点が必要です。そのため、準備資金は僕がコンサルタントとして働いて稼ぎ、僕の自宅に創業スタッフが集まって、休みなしに準備に取り組みました。スタッフは同じMBAプログラム受講生である清水義憲、森永宏明のほか、外資系コンサルティング会社の同僚と、IT系ベンチャー時代のエンジニア2名です。

そして、2006年2月にBond-BBT大学院を卒業し、MBAを取得した翌日、株式会社モンスター・ラボを登記。さらに会社設立から半年後に、やはりBond-BBT大学院同期生の鈴木澄人が取締役として就任しました。

モンスター・ラボと「monstar.fm」は、仲間たちの情熱とスキルの融合から誕生したんです。

── モンスター・ラボの起業で特に苦労されたのはどのような点でしたか?

資金繰りですね。株式会社として登記は済んだので、早くサービスを立ち上げなければいけない。なのに、サービス内容へのこだわりから仕様変更が重なり、リリースがどんどん延びていく。その間は収益がないので、平日の昼間は僕が大阪でコンサルタントとして働いて資金調達し、東京の自宅で働くスタッフとは深夜にスカイプを使ってディスカッションし、土日は東京に戻ってスタッフ全員で働くという生活でした。でも、楽しかったですよ。計画どおりに行かない歯がゆさやもどかしさはありましたが、スタッフの誰ひとり、つらいとは思っていなかったと思います。

モンスター・ラボの創業事業であるインディーズ音楽配信サービス「monstar.fm」は、準備を始めて約1年後、2006年5月にリリースしました。このように、僕のキャリアのさまざまな場面で出会った人たちとBond-BBT大学院で出会った人たちの情熱とスキルが融合して誕生したのがモンスター・ラボであり、「monstar.fm」なんです。

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