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上司は仕事を教えるな! ~あなたの部下が力を発揮するためにやるべき7つのこと

概要

上司として部下を育成するというのは難しいこと。なかなかうまくいかず、悩まれているという方もいらっしゃるかもしれませんね。

そのような方々のために、今回はY’sオーダー代表取締役の藤野氏がセミナーでお伝えした「あなたの部下が力を発揮するためにやるべき7つのこと」をお伝えしたいと思います。
(本記事は、2013年4月に開催されたセミナーをもとに作成しております。)

藤野 祐美 氏のプロフィール

藤野 祐美 氏(Bond-BBT MBA 2期卒業生)
株式会社Y’sオーダー代表取締役

大阪府出身。株式会社Y’sオーダー代表取締役。オーストラリアBOND大学大学院経営学修士。ミノルタカメラ、P&G勤務を経て、オランダ資本企業ニュートレコ社の日本法人立ち上げに参画。更に関連会社2社を立ち上げ、取締役に就任。アジア太平洋地域人事統括として事業拡大に貢献。その後、株式会社Y’sオーダーを立ち上げ、各種企業へ人材開発・組織開発コンサルティング業務を展開中。企業理念である”誰もがかけがえの無い価値を持っている”のもと、理論+実体験+カウンセリング手法を融合した独自のスタイルで、人材・組織開発に取り組む。

▼実際のセミナー動画はこちら(一部)

「教えようとする上司」は部下にとってストレス

働く人にとって最大のストレス要因は人間関係です。そのなかでも、上司との人間関係がストレスになっているケースが非常に多く見られます。

なぜ上司と部下はうまくいかないのでしょうか?

私の出した結論は「上司が部下に仕事を教えようとするから」です。

学ぶ対象はヨコ(同僚)とナナメ(先輩)

上司は部下に仕事を教えようとしがちです。しかし、上司が現場にいた頃に通用していたノウハウが、そのまま現代に通用するわけではありません。

例えば、以前の営業手法では、ビルに入っている会社をひとつひとつアポイントも無しで訪問するといったことが珍しくありませんでした。しかし、セキュリティの厳しい現代では、そのような営業手法は不可能です。

ノウハウを学ぶべき対象は、ウエ(上司)ではなく、ヨコ(同僚)やナナメ(先輩)なのです。同僚や先輩は、同じ時代に生きており仕事のキャリアもさほど変わらないので、ノウハウを学ぶことができます。

上司の仕事は「精神的な支援を与えること」

上司の仕事が「仕事を教えること」ではないのならば、上司の仕事とは一体何でしょうか?

それは「精神的な支援を与えること」です。

その精神的支援を与える上での7つの鍵を紹介します。

【鍵1】挨拶は「+α」で

部下には自分から挨拶をしましょう。

「おはよう。昨日、サッカー見た?」というように、挨拶だけでなく「+α」の一言も付けてください。

挨拶はただ声を発するだけでなく、相手の目を見て相手の調子や変化を確認することが大切です。

【鍵2】雑談のスケジュール化

部下の価値観を理解していないと、マネージメントのズレが生じてしまいます。少なくとも下記の6項目には答えられるように、部下とのコミュニケーションをとって頂きたいです。

・部下の強み
・部下の弱い点
・部下のやる気のもと
・部下がプレッシャーに感じていること
・部下の上司への期待
・部下が5年後・10年後に目指している姿

ある自動車販売会社では、上司のスケジュールに「部下の○○君とサッカーの話」といった予定が組まれています。

部下の好みの話題をメモして話をするようにする。上司と部下のコミュニケーションの機会は偶然に任せるのではなく、戦略的にとっていくべきです。

【鍵3】積極的傾聴

雑誌「Fortune」が世界1500社のCEOに「あなたがトップとして成功した要因」についてアンケートをとったところ、78%が「コミュニケーション、特に話を聴くこと」と答えました。

表現する力が重要だと思われがちですが「聴けずして語れない」し、「語れる人は聴ける」ものなのです。

「聴く」とは、相手を受容すること。まさに、上司が目指すべき傾聴のやり方ではないかと思います。

【鍵4】磨くなら共感力

相手と信頼関係を結ぶためのキーワードは次の通りです。

・「相手に安心感を与えること」
・「相手に関心を持ち、関心を持たれること」
・「共感力」

「共感力」とは(批判や非難をすることなく)相手をそのまま受け入れてあげる力のことです。共感力は磨くことができます。

磨くためには、嫌いな本を読んだり、嫌いな映画を観ることをおすすめします。それらの主人公を否定せず、「こうゆう考え方もあるのか」と受け入れてみることが大切です。

【鍵5】NGワードは「頑張れ」

ある調査では、上司から言われてプレッシャーを感じる言葉の一つとして「頑張れ」という言葉が挙げられています。

上司は言葉を豊富に持つことが大事だと考えます。「頑張れ」一辺倒ではなく、その相手に一番効く、相手の内的報酬に訴えかけるような一言をかけることが望ましいです。

例えば、互いの成長や達成することに内的報酬を感じる人に対しては「一緒にやり遂げていこうよ」「あなたしかできないよ」といった言葉をかけるのが効果的でしょう。

下記のサイクルで各々の相手に効く言葉をぜひ見つけましょう。見つけたら、口に出して声をかけることです。

(1)相手を見る
(2)興味を持つ
(3)見立てをたてる
(4)検証する

【鍵6】教えられるのは「考えること」

上司が教えられるのは「答え」ではなくて「考えること」です。

日本の多くの企業でコーチングが導入された結果、傾聴できる上司は増えましたが、その先ができない上司が増えました。

私への仕事の依頼には「上司に叱り方の指導をしてください」といったものがよくあります。私は「叱る」というより「教える」ことが必要だと考えます。「これがいけない」と教えるのではなく、「こんな風に考える」といった「考えること」を教えるのです。

【鍵7】社会的支援

社会的支援とは「信頼し尊敬できる人がかける言葉」のことです。それは、二種類があります。

(1)道具的支援
(2)情緒的支援

(1)は相手にとっての道具となるような支援です。例えば、人脈の紹介や手伝いの申し出などです。

(2)は気持ちに寄り添うような支援です。例えば、相手を理解するような言葉、慰めるような言葉、励ますような言葉などです。

価値観が違う世代とのコミュニケーションや、メールなどオンラインでのコミュニケーションでは「空気を読む」ことはできません。言葉を惜しまず、一生懸命伝えることが必要です。

上司として忘れられない存在に

上司は、相手にとって忘れられない存在になりうる素敵な立場です。

自分が上司として認められた理由を活かして、部下に精神的支援を送り、これからも上司として輝き続けて頂きたいと思います。

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