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4つの要素の合わせ技でいざ勝負!~マーケティング・ミックスという考え方~ドラッカーの格言から学ぶマーケティング入門

4月からスタートいたしました、Bond-BBT MBAプログラム6期生の早嶋聡史さんによるオンライン勉強会「マーケティング入門」。
MBAを受講するなら最低限知っておきたいフレームワークや考え方をドラッカーの格言を引用しながら学ぶマーケティング入門講座です。
今回は、マーケティングのメインディッシュでもあるSTP分析について考えていきましょう。

MBAを受講するなら最低限知っておきたいフレームワークや考え方をドラッカーの格言を引用しながら学ぶマーケティング入門講座です。今回は、マーケティングのメインディッシュでもあるSTP分析について考えていきましょう。

“4つの要素の合わせ技でいざ勝負!”
~マーケティング・ミックスという考え方~

マーケティング・ミックス(MM)は、マーケティング活動を行う最も重要な概念の1つです。MBAを目指さなくても誰でもマーケティングと言ったら4Pと答えるぐらい有名なフレームワークも存在します。しかし、これが盲点で4Pは単なるフレームに成り下がり、その本質が見失われることがたた観察されます。

ドラッカーは、このことについても言及しています。『企業が生み出すものは、単なる商品やアイデアではなく、人間によって値打ちが決めれる価値である。最高の設計の機械といえども、顧客の役に立たなければ鉄くずでしかない。』(『経営科学の罠 DHBR2003年11月号』)

4Pの基本的な概念は、商品に関する意思決定、価格に関する意思決定、流通に関する意思決定、コミュニケーションに関する意思決定です。そしてこれらの活動を通じて、ターゲット市場において自社のポジショニングを実現します。ドラッカーの言及のように、あくまで人間によって値打ちが決められるのが価値であるため、商品のみならずそれらを体現する全てを総合的に提供することによって価値を高める取り組みが4Pです。

マーケティングは、顧客に商品を効果的に購入していただくための仕組み作りですが、通常これらの活動を全て1人で行うことはありません。特に企業規模が大きければ、マーケティング活動は多岐にわたります。従って役割が組織に分配されます。しかし、マーケティングが組織で行われているという認識は余り理解されていません。このことが盲点となり企業のマーケティング活動を難しくしています。

もし、自分一人で商品を企画する場合、その商品をそもそも購入するであろう顧客の分析を行い、顧客のニーズやウォンツを調べます。そして顧客は何に価値を感じ、どのようなモノを望んでいるかを考えていきます。価格は、その価値をどのように感じるかによって設定が変わり、顧客の価値に応じて流通を設計します。当然ながらそのような価値を持っている顧客の集団に認知を高める活動を行い、販促を行います。一人で全て完結することができれば、それなりに対象顧客に対しての提供価値を最大化する取り組みを行うことでしょう。

『マーケティングは、実に事業活動そのものにほかならない。それゆえ事業のあらゆる領域において、すべての人がマーケティングに関心を持ち、責任をもつ必要がある。』(『現代の経営 上』p50)
ドラッカーは、マーケティング活動そのものは事業に携わる人、すべてが認識する必要を言っています。一方で、組織を効率的に動かすには、部門に役割をもたせ、そこで専門性をもたせた方が、簡単に管理ができるということで、企業は部門最適に向かう動きでマーケティング活動を行ってきました。

つまり、各組織や各部門では最適なマーケティング活動を行っているのですが、全体を見渡した場合、部分最適になり、組織全体としては顧客の視点を無視した活動になってしまうのです。

例えば、商品企画の担当者が営業現場とのコミュニケーションを無視し、企画することがあります。顧客のニーズが企画に反映されず、結果的には製品志向の商品になってしまいます。例えば、企画担当者が利益ばかり考え価格を設定します。しかし、ある価格を超えた時点で顧客の購買意欲が急に減少するという営業の指摘を無視したため、優れた商品でも売れなくなります。多くの企業はコミュニケーションを専門に行う部署があります。部門の活動が部分最適になると、他の部署と連携をなくし、CMや販売促進の企画を行う事が目的になります。何故、そのようなCMや販売促進活動を行うのか?目的からずれてしまい全体として効率が悪くなるのです。

MMを検討する場合、個々の意思決定を個別に扱うのではなく、各要素を組み合わせてマーケティングの目標を達成するために全体最適になるように組み合わせることが大切です。このことを忘れてしまえば、「最高の設計の機械」でも「鉄くず」になるのです。

この最適化についてもドラッカーは言葉を残しています。『これら三つの領域は、総合的に、かつ互いの相関関係において分析しなければならない。最も共通して見られる業績不振の原因の一つは、これらの三つの領域間の不適合にある。』(『創造する経営者』p26)

ここで言う三つの領域は、製品、市場、流通チャネルです。ドラッカーは、製品は市場があって売れ、市場に届けるには流通チャネルが必要なのに、企業活動では忘れられていることを指摘しています。そして企業の業績不振の原因の1つが、「三つの領域間の不適合」としているのです。

マーケティング・ミックスを考えるとき、それぞれの整合性が重要です。これは大阪で良くみかけるミックスジュースに例えることができます。複数の果汁を混ぜ合わせた飲料で、牛乳をベースに、バナナ、リンゴ、ミカンなどを配合します。個々の素材が良くても配合の割合が絶妙でなければ最高のミックスジュースは完成しません。MMのミックスは、ミックスジュースの配合と同じように全体のバランスが重要なのです。

MM全体を考える場合、次の3つを考えます。不整合の解消、要素間の調和、相乗効果の実現です。

不整合の解消
マーケティングの効果を高めるためには、MMの不整合を解消することが重要です。例えば、高品質のイメージを提供している商品をディスカウントストアで販売しよう!という考えは得策ではないことは、用意に理解でききます。

要素間の調和
MMを構成する各要素間の調和も必要です。高級品時計のコミュニケーションとして、可処分所得が高い購買層が読む雑誌に大々的に広告をうつことはフィットします。高級自動車やマンション販売なども上記と同じ広告宣伝を行っています。価格が高いからといって上記のコミュニケーションが効果的であるということではなく、要素間の調和が取れているか?ということが重要なのです。

相乗効果の実現
MMをダイナミックなものにするためにも、それぞれの要素がシナジーを産むことが大切です。例えば、広告量の投入とその効果には、セールス・レスポンス・カーブという曲線を描くことが言われています。広告支出が少なければ、広告効果は少ないです。しかし、ある一定量の広告量を投入した場合、それ以上の広告の反応は望めなくなります。この場合、過度に広告を投入するよりも、他のMMの要素に資金を投入したほうがより相乗効果を実現することができるのです。

マーケティング・ミックス。いかがでしたでしょうか。これはMBAの科目が戦略や組織人事、マーケティングや財務会計と多岐にわたるように、全体の目的を持って活用することが大切なのです。次の回は、マーケティングの実践に対しての理解を深めていきます。

講師プロフィール

hayasima

早嶋 聡史 氏
株式会社ビズ・ナビ&カンパニー 代表取締役
株式会社ビザイン 代表取締役
一般社団法人 日本M&Aアドバイザー協会 理事

国立九州工業大学 情報工学部 機械システム工学科 卒業、オーストラリア ボンド大学 大学院 経営学修士課程(MBA) 修了。
横河電機株式会社において、R&D(研究開発部門)、海外マーケティングを経験後、2005年11月に株式会社ビズ・ナビ&カンパニーを設立し、マーケティング担当取締役に就任。2012年4月に代表取締役に就任。2007年株式会社ビザインを取締役パートナーとして設立、2009年代表取締役就任。中小企業の友好的M&Aへの理解・普及活動、M&Aアドバイザー養成を手がける。専門分野は、ビジネス統計分析、マーケティング戦略とコーポレートファイナンス。

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