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“いい人”は“どうでもいい人” ~「みんなに好かれたい」では「誰にも好かれない」~ドラッカーの格言から学ぶマーケティング入門 第9回

4月からスタートいたしました、Bond-BBT MBAプログラム6期生の早嶋聡史さんによるオンライン勉強会「マーケティング入門」。
MBAを受講するなら最低限知っておきたいフレームワークや考え方をドラッカーの格言を引用しながら学ぶマーケティング入門講座です。今回は、マーケティングのメインディッシュでもあるSTP分析について考えていきましょう。

マーケティング担当と経営企画担当でよく口論になるのが、ビジネスの領域や顧客ターゲットをどこまで広げるか?という点です。経営企画担当としては、掲げている数字を達成したくてすそ野を広げてしまいがちですが、マーケ担当者は違います。マーケ担当は、顧客を絞り常に限定することを考えるからです。

企業にとって、全ての顧客ニーズに合致した商品を提供することは非常にコストがかかることでしょう。市場はこれまでのコラムでも見てきた通り様々なニーズやウォンツを抱えた塊です。従って、その塊を一つとして捉えて事業を行えば、何からはじめて、何を基準に、誰の声を参考にすれば良いのかが全く分からなくなります。

例えば、ある人が大学生向けに自社の企業説明会を提供したとします。その後の参加者の満足度調査をみた結果、評価が最高の5の人もいれば1の人もいます。このような場合、その評価のばらつきをどのように見るでしょうか。まだターゲットが決まっていなければ、そこから誰をターゲットにすべきかの分析情報として使えるでしょう。一方で、明確にターゲットが決まっていれば、アンケート分析の結果からターゲット層だけの評価を気にするという見方もできるようになります。しかし、ターゲットが決まっていなければ、そのアンケート結果をどのように見ればよいのかという簡単な意思決定もままならない状態になってしまうのです。

企業コンサルに入り次のような状況はありふれています。一連の商品に関して、企画する部隊、研究する部隊、開発する部隊、販促する部隊で顧客ターゲットがあいまいになっている状況です。企画は、明確なターゲット像をもっていますが、開発に進むにつれてその像がぼやけてしまい、結果高スペックな仕上がりになってしまいます。販促部隊も初めはターゲットを意識するのですが、徐々に流行の媒体に目移りして何が目的で行っているかを見失います。

日本企業の特徴で、商品の質はいいけど価格が高い。という問題はよく耳にするのではないでしょうか。この背景には、顧客ニーズはここまでなので、これ以上の機能は不要という意思決定がなされていないからです。技術は常に最高を追い求めます、したがって開発コストが想像以上にかかり、利幅を確保するために高い価格になるのです。初めからその顧客そうだからこの価格帯で実現するための技術という発想にはならないのです。

ドラッカーも事業に対する定義や顧客に対しての明確な定義について多方面に言及しています。「事業についての有効な定義をもてないことは危険信号である。市場や顧客と無関係に事業を行っていることになる(創造する経営者)。」

マーケティング活動では、その基軸を顧客セグメントに置きます。共通のニーズの塊を持った集団を仮想的に束ねて顧客セグメントとして分けていきます。この市場を分析しながら共通のセグメントに分けていく作業をセグメンテーションと呼んでいます。そして企業の制約条件を基に、どこのセグメントを狙うかをターゲッティングと呼びます。仮に複数の顧客セグメントをいくつかターゲットとして捉えるのであれば、その後のマーケティングの方針もそのターゲットセグメントの数だけ考察して実行します。決して、1つの商品で全ての顧客セグメントに対応させようとはしないのです。

「成果をあげる秘訣を一つあげるならば、それは集中である。成果をあげる人は最も重要なことから始め、しかも一度に一つのことしかしない(プロフェッショナルの条件)。」このドラッカーの言葉は「二兎を追う者、一兎も得ず」に近いものがあります。マーケティングで目指すべきゴールは常に最大ではなく最適なのです。

MBAで学習をしながら、どこが最適なのかを考える際は、マーケティングの知識に加えて、それを動かす人的リソース、過去のお金の動きを知るために会計の知識、効果を定量的に示すためのファイナンスの知識と様々な分野の知識が必要になってきます。最大か最適かを判断するためにも何らかの基軸が必要になり、その軸を決めることそのものが戦略になってきます。

次の回は、ターゲットセグメントに対してどのように4Pを決めていくのか、マーケティングの実行について理解を深めていきます。

講師プロフィール

hayasima

早嶋 聡史 氏
株式会社ビズ・ナビ&カンパニー 代表取締役
株式会社ビザイン 代表取締役
一般社団法人 日本M&Aアドバイザー協会 理事

国立九州工業大学 情報工学部 機械システム工学科 卒業、オーストラリア ボンド大学 大学院 経営学修士課程(MBA) 修了。
横河電機株式会社において、R&D(研究開発部門)、海外マーケティングを経験後、2005年11月に株式会社ビズ・ナビ&カンパニーを設立し、マーケティング担当取締役に就任。2012年4月に代表取締役に就任。2007年株式会社ビザインを取締役パートナーとして設立、2009年代表取締役就任。中小企業の友好的M&Aへの理解・普及活動、M&Aアドバイザー養成を手がける。専門分野は、ビジネス統計分析、マーケティング戦略とコーポレートファイナンス。

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