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安住するな!経営者として変化し続けることの大切さ

4月から「創業前~IPO後に大切にしておきたいこと」にフォーカスして連載開始した、Bond-BBT MBAプログラム22期生の福田徹さんによる連載第5回。今回は、「経営者として変化し続けることの大切さ」というテーマでお届けします。

起業をして売上げが安定的に上がってくると、安泰だと安心される経営者の方々は多いそうです。苦労を乗り越えてようやく手にした売上げ。そのお気持ちもよくわかります。しかし、その安泰はいつまでも続くものなのでしょうか?

変わり続ける環境の中では当然、変化に適応し続けていかなくてはなりません。その過程で、当初築いた方法では収益を上げることが困難になることも十分にあり得ます。そのようなときに大切な舵取りをするのが、経営者としての役割でもあるのです。

今回はそのようなことを考えさせられる内容になっています。ぜひご覧ください。

▼これまでの記事はこちら
第1回:業界の“常識”に縛られるな!創業の肝は“自由な発想”にあり。
第2回:事業計画を作成する際、最低限知っておきたいこと。
第3回:創業融資をご存じですか?
第4回:形から入るべからず!創業直後のマーケティングの勘所とは?

経営に「絶対の安心」などない

起業して、売上げが安定的に上がってくると、「これでしばらくは安泰だ」と安心される経営者が多いようです。創業前から顧客をつかみ、その顧客からの売上が上がり、これでうまくいくと喜ぶお気持ちもよくわかります。しかし、経営には絶対に安泰はありません。企業は永続することが前提に設立されていますが、何もしなければ顧客はいずれ枯渇しますし、変わりゆく環境の中でいつまでも同じ手法が通用し続けるとは思えません

経営者は会社員ではないのですから、企業が売上、利益が継続しないと社員はもとより経営者の給料を出すことができなくなります。顧客にしてもいずれ同業が現れ奪われるかもわかりませんし、現状考えているビジネスはそのままだと時代遅れになるかもしれません。ネット社会になってビジネス環境は劇的にスピードが上がっています。今考えているビジネスモデルは絶えずチェックしなければなりません。PDCAサイクルを確実に回して、絶えず経営者は変化していなくてはならないのです。

大成長を遂げたファーストリテイリングとゼンショー

つい最近、ファーストリテイリングの柳井会長兼社長が目標とする売上高を5兆円から3兆円に修正しました。実は、私は1994年当時同社をコンサルしており、何度も柳井社長(当時)にお会いしていました。当時から先見性のある社長だと思っておりました。本社は山口県の山の中腹にある変わったビルだったのですが、おっしゃることはいつも斬新でした。彼はいつもビジネスの環境変化を見ており、次の対策も矢継ぎ早に立てていると思います。

当時、取引のあった別の、先進的なSPA(製造小売り)を始めた某アパレルメーカー経営者にファーストリテイリングのお話をしましたが、残念ながら興味をもたれませんでした。その後、その企業は上場をしましたが、MBOをした後、現在は赤字経営を脱出していません。

別の例を挙げると、ゼンショーは最初、駅でお弁当を売る弁当屋でした。当時、「すき家」を中心とする日本最大の外食にゼンショーがなるとは全く思っていませんでした。ゼンショーも以前お世話になっていましたが、小川社長が「郊外型ファミリー牛丼」というコンセプトを港北ニュータウンで成功させて以来、急成長しました。メニューも実は頻繁に変えています。その後、買収戦略で規模が大きくなりました。

経営者は経営をしなくてはならない

ユニクロもすき家も私が想像した以上にこの四半世紀で変化し成長した会社です。逆に現状に安住し、安易な計画をもとに過度な借り入れをして倒産してしまった企業も限りなくあります。「経営者は経営をしなくてはならない」は柳井氏の名言です。残念に思うのは、そこそこの売上、利益を上げてくるとつい仕事以外のことに時間をとられてしまう人が多くなることです。一心不乱に仕事を始めたときと違い、仕事は社員任せになってしまい、経営の現場から離れてしまうことが思いのほか多いもの。そのようになってしまうと、事業が成長しなくなるのは目に見えています。

また、時流に乗って様々なビジネスが勃興するのは世の常で、しばらくの間は事業が成長することも多いものです。しかし、民泊、フィリピン英会話、ネット広告、フィンテック、VR、AR等々、全く同じビジネスモデルが永遠に続くということはあり得るでしょうか?ライバルもあっという間に参入してきます。特に流行っている業界は日々ビジネスモデルを再考していかないといけないと思います。

業態展開をはじめ会社の業態を大きく変えられるのは経営者だけです。富士フィルムはフィルムがなくなるかもしれないと考えいち早く隣接業界に進出しました。ノーリツ鋼機という写真処理、自動現像機メーカーも見事に業態を変えています。

変えてはならないことも当然ある

ただ、いつも変化していて良いわけではありません。何でも変えれば良いというわけでもありません。変わろうとするあまり事業の軸がぶれることがないようにしないと、その会社は何をやっているのかわかりませんし、経験のない分野にいきなり参入しても決して良いことはありません。

私も今やっているビジネスとコンセプトの異なる事業を10月に立ち上げました。これは別会社として、この業界の専門家の方々と複数の人と立ち上げています。企業ブランドを考えますと、事業内容が異なるビジネスは、その業界の専門家と方と別の企業を設立した方がいいのではないかと思っています。私自身も日々変化しようと積極的に努力しています。

皆様は、絶えず変化し続けられることを運命づけられた経営者として起業できますか?起業された方は日々事業環境をチェックしていますか?結局、経営は変化への対応力と言えるかもしれません。

講師プロフィール

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福田 徹 氏
株式会社福田総合研究所 代表取締役社長
1984年3月早稲田大学卒業、豪州Bond大学大学院MBA取得。野村證券、ソニー生命(MDRT)を経て、2005年福田総合研究所設立。その間、証券英国現地法人にて、サッチャー政権の英国ビッグバン対応業務を行う。國學院大學で、財務分析、証券分析、関東学院大学でFP、武蔵大学で金融数学を講義、経済学部金融学科でファイナンス、ケーススタディーのゼミを担当。豪州のマードック大学ではマーケティングの客員講師。上場会社の社外取締役と社外監査役を兼務。中小企業から1部上場企業まで、各社のテーマに応じてコンサルティングを行っている。大手証券、地銀、地銀協、生保など多くの企業で研修も実施。

主な著書:「なぜ、会社の資金繰りが悪くなったのか?」(税務経理協会)、CFO協会のIRテキストブック監修、「IPOを目指す起業家及びIR担当者のためのIR実務」(電子書籍)、『「株式上場」が頭をよぎった経営者が読むIPO入門』(Amazon Kindle)。論文「証券アナリストとIRオフィサーの関係性について」。

経営者が変わり続けなくてはならない。(Bond-BBT MBA事務局より)今は変化が非常に速い時代。成功パターンに囚われ、柔軟に変化に対応することができなくなってしまったら、事業の継続は危ういでしょう。経営者として変化を見極め、いかに新たな打ち手を打つことができるか。それを忘れてはならないのではないでしょうか。

企業はもちろん、このことは個人に対しても言えるのではないでしょうか。自分の人生の舵取りは自分で行う。いわば、“自分の人生の経営者”は自分自身です。変化を見極め、環境に対応することができるよう自分自身を変えていくために習慣を変えたり、自己投資をしたりしていきます。本記事をご覧の方々の中にはMBA取得をお考えになられている方もいらっしゃるかと思いますが、それも変化に対応して成長していくことができるようにするためではないでしょうか。

日本で働くビジネスパーソンを対象にしたオンラインMBAプログラムのパイオニアである本プログラムも、その一助になることができればと考えております。また、時代の変化に合わせて皆様により高いレベルで価値を提供し続けていくために、私ども自身も変わり続けてまいりたいと思います。

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第1回:業界の“常識”に縛られるな!創業の肝は“自由な発想”にあり。
第2回:事業計画を作成する際、最低限知っておきたいこと。
第3回:創業融資をご存じですか?
第4回:形から入るべからず!創業直後のマーケティングの勘所とは?

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