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形から入るべからず!創業直後のマーケティングの勘所とは?

4月から「創業前~IPO後に大切にしておきたいこと」にフォーカスして連載開始した、Bond-BBT MBAプログラム22期生の福田徹さんによる連載第4回。今回は、「創業直後のマーケティング」というテーマでお届けします。

創業していよいよ事業開始。顧客を得て収益をあげていくために、「いける!」と思ってワクワクしつつ当初計画を立てたマーケティング施策にすべてのリソースを注ぎ込む…。自信があるあまり、そのようなことをしてしまう創業したての会社は多いようです。ただ、実際に初めに立てた計画に物事が進むことなど、あるのでしょうか?

今回はそのようなことを考えさせられる内容になっています。ぜひご覧ください。

▼これまでの記事はこちら
第1回:業界の“常識”に縛られるな!創業の肝は“自由な発想”にあり。
第2回:事業計画を作成する際、最低限知っておきたいこと。

「成功する企業」と「失敗する企業」のマーケティングにおける違いは?

創業直後は、自社の製品・商品に圧倒的に自信を持ち、売れないわけはないと思ったり、すでにマーケティング戦略を練った上だから間違いなく売れる、と思ったりしている方がほとんど。実際それほどの自信がないと創業できないものです。

企業というのは、基本的には成長と利益という2つの目標があるということを念頭において考える必要があります。

まず、成功する企業の9割以上は当初のマーケティングを断念しています。それは、当初のマーケティングに成功の見込みがなくなったからです。また、成功した企業は、最初から正しいマーケティング戦略を持っていたから成功したわけでもありません。成功したのは、当初のマーケティングが失敗した後もまだ資金が残っていて、方向転換して別の手法を試すことができたからです。

これに対して、失敗する企業のほとんどが、ありったけの資金を当初計画したマーケティングに注ぎ込んでしまっていて、しかも当初のマーケティング戦略が間違っている傾向にあります。

創業直後のマーケティングは、「成長は気長に、しかし利益は性急に」求めないといけません。間違った戦略を推進して多額の資金を無駄にしないよう、できるだけ早くできるだけ少ない資金で、実行可能なマーケティング戦略を見つけないといけません。創業直後は「早く大きく」成長をできることを考えないことです。

いったん実行可能なマーケティング戦略が見つかれば「成長は性急に、利益は気長に」考えればいいのです。ひとたび利益の出る有効なマーケティング手法が見つかれば、そのモデルを拡大展開できるかどうかが成否を分けるカギとなります。

MBAで学んだことは役に立たないのか?

またMBAで学ぶ「マーケティング」は企業の基本戦略であり、実践にどのように生かすかがポイントです。よく、MBAで学んだとおりにならないという人が多いですが、それは、MBAで学んだことを深く理解していないためですマーケティングを表面的に理解しただけでマーケティング始めたからです。3C、5Forces等のフレームワークやマーケティングのテキストは現実に即して考えられた成果物です。MBAで勉強したことが役に立たないわけではないと思って、創業直後は学んだ事を振り返る時間も必要です。

提供価値と顧客との間にミスマッチはないか?

過去にブームを起こした「グルーポン」を例にとってさらに考えを深めていきたいと思います。

グルーポンは2008年創業、2010年には、未上場ながら時価総額がなんと14億ドルになりました。2011年に上場し、公募価格で127億ドルのIPOとなりました。彼らの経営を振り返ってみるとマネタイズと規模化に成功したといえますが、本質的にマーケティングの問題の課題が解決せずにスタートしたのではないかと思われる側面もあります。

店舗側には集客したいというニーズがありますが、本来はリピーターとして来店してくれるロイヤルカスタマーの獲得をしたいものです。

しかし、店舗を利用する顧客の本音はまた別のところにあります。顧客は、クーポンを買えばお買い得だから行く。顧客はそれぞれの店にはロイヤリティは持たない傾向にある。彼らは店舗が本来獲得したいユーザーではなかったのです。

グルーポンの提供価値と顧客のニーズの間にミスマッチが起き、マーケティング戦略を修正できなかったことがその後の伸び悩みの原因のひとつではないでしょうか。実際にその後、業績の成長は急速に失速し、株価も大きく下落。このように成功したスタートアップの成長プロセスは華々しいものです。でも、企業は永続しないと企業とともに成長してきた従業員、顧客も離れてしまう。スタートアップの多くがこのようなマーケティングの躓きがあるため、企業が持続するかどうかのステージに上がれず苦しんでいます。

スタートアップで、創業当初に明確なマーケティングのビジョンを持っていない状態で自分が思い描いたサービス、ニーズがありそうなサービスを作ってみたら、当たってしまった場合、事業や創業者の思いを超えて、企業としていかに持続するかがマーケティング上の大きな課題となります。

それは本当に顧客に役に立つのか?

創業直後のマーケティングというのは、トライアンドエラーの連続です。資金がバーンアウトする前に、様々なマーケティングを行い、多少でも利益を獲得していかないと創業時の企業は継続できません。創業時は、資金を枯渇させず、企業が存続することに力点を置くと、どうしてもマーケティングの戦略の巧拙、マーケティング戦略の変更対応度が重要になってきます。

私自身、最近特に思うのは、いろいろと事業を経験し、または見てきて、やはり「それは本当に顧客に役に立つのか?」という視点が最も重要だと思っています。

世の中の経営者には、利益の幅が大きいからということだけでその製品・商品を扱う人が多くいます。つまり、これを売るといくら儲かるから売る、という姿勢です。または、この製商品には絶対に自信があるから売れるというプロダクトアウト型の発想の人です。この両者とも結局はうまくいきません。顧客ニーズに立ったモノを扱い、それをどのようにマーケティングしていくかということが創業直後のマーケティングの勘所ではないかと思います。

講師プロフィール

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福田 徹 氏
株式会社福田総合研究所 代表取締役社長
1984年3月早稲田大学卒業、豪州Bond大学大学院MBA取得。野村證券、ソニー生命(MDRT)を経て、2005年福田総合研究所設立。その間、証券英国現地法人にて、サッチャー政権の英国ビッグバン対応業務を行う。國學院大學で、財務分析、証券分析、関東学院大学でFP、武蔵大学で金融数学を講義、経済学部金融学科でファイナンス、ケーススタディーのゼミを担当。豪州のマードック大学ではマーケティングの客員講師。上場会社の社外取締役と社外監査役を兼務。中小企業から1部上場企業まで、各社のテーマに応じてコンサルティングを行っている。大手証券、地銀、地銀協、生保など多くの企業で研修も実施。

主な著書:「なぜ、会社の資金繰りが悪くなったのか?」(税務経理協会)、CFO協会のIRテキストブック監修、「IPOを目指す起業家及びIR担当者のためのIR実務」(電子書籍)、『「株式上場」が頭をよぎった経営者が読むIPO入門』(Amazon Kindle)。論文「証券アナリストとIRオフィサーの関係性について」。

変化することができる者だけが生き残れる。(Bond-BBT MBA事務局より)今回の記事はいかがでしたでしょうか?

起業に限った話ではないですが、こうして記事を見ていると改めてPDCAを高速で回していくことの大切さを感じさせられます。PDCAを繰り返して何度も方向修正を続けていくことで、これはというものが見つかるものです。

その際に最も気をつけたいのが、提供価値と顧客との間にミスマッチがないかです。自分たちだけでは意外と客観的に見ることができないもの。ミスマッチに気づき、いち早く方向転換をしていくためにも、実際に顧客と向き合う機会を大切にしていきたいですね。

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第1回:業界の“常識”に縛られるな!創業の肝は“自由な発想”にあり。
第2回:事業計画を作成する際、最低限知っておきたいこと。

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