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最初の一歩を踏み出す~キャリアゴールの達成に向けて~【女性のキャリアを考える。第11回】

Bond-BBT MBA2期生で、キャリアカウンセラーもされている藤野祐美さんの連載第11回目。
自分を縛ってしまう枠組みから解き放たれるには、どうしたらよいでしょうか。

「頭では、わかっているけれども、最初の一歩が踏み出せない。」
いざ、キャリアゴールの達成に向けて動き出そうと思っても、最初の一歩を踏み出すことは、なかなか容易ではありません。
その原因の一つは、誰もが持つ“思い込み”という“思考の枠組み”にあると、以前にお伝え致しました。
“失敗したらみっともないから、辞めておこう。”
失敗=みっともないことという思い込み。この後ろ向きな発想が、自らの思考や行動を縛ってしまう。
最初の一歩を踏み出すためには、まずこの枠組みから自分自身を開放しましょう。

リフレーミングによる発想転換

とはいえ、誰にでも不安や恐れはあるもの。後ろ向きな発想に襲われてしまった際には、
“リフレーミング”するというテクニックがあります。
フレーミングとは、枠組みのこと。リフレーミングは、この、自分自身を縛ってしまう枠組み変えてしまうことです。
そのためには、視点を変えます。物事の別の側面を探し、プラス面を第一に解釈するのです。
失敗は、するものではない→失敗から学ぶから、成功に到着できる。
弱音を吐いてはいけない→弱音を吐くから、後輩たちにも人間味を感じてもらい、距離を縮めて付きあえる。
という具合です。自らに一歩を躊躇させているのは、自分勝手な枠組み。この枠組みからまずは自分を、解放しましょう。

自分の価値に気づく

“なぜ、私がやらねばならないのか”、“私には、難しすぎるのに、どうして、依頼されるのか”。
自分が希望していないことや、意図していなかったことを課せられると、ついこんな思いから、気持ち良く一歩を踏み出せなくなってしまいます。
自分にだけ仕事が集中したり、難関が待っているのは、実は、自分でも気づいていない“やり遂げる力”があるから。
相手は、その力=あなたの価値を見出しているからこそ、あなたに期待して、依頼するわけです。

「良い行動には、良い見返りがあり、悪い行動には、報復が返ってくる。」
誰もが理解しているこの考え方は、レシプロシティ(互恵性)の原則と呼ばれます。
頼まれごとをされた際に、気持ちよく対応する。
それも相手の希望以上の対応をすると、当然のことながら相手は満足し、相手との関係もより良好になる。
今度自分が相手に対して何かを頼む際にも、気が引けることが無いし、相手にも気持ちよく受け入れられやすくなります。
一方、相手の依頼を拒絶したり、難癖ばかりをつけていると、いざ自分が逆の立場になった際に、誰一人、手を差し伸べてくれないという状況に陥りかねません。

自分が提供している価値をカレンシーと呼びますが、ご自分のカレンシーに気づいていない方が、とても多いように感じます。
自分にばかり仕事が集中するのは、仕事の結果が格段に違うから。難題が降りかかるのは、最後にはきちんとやり遂げられるから。
私ばかりが損をしているのではなく、むしろ、相手に期待されたカレンシーを提供することで、得をするのは、他の誰でもないあなたなのです。
自分の持つ力=カレンシーを求められた際には、最大限に活かす。
それによって自分が他者の力を必要とするときには、逆に他者のカレンシーのお世話になることで、一歩踏み出す力もより大きなものとなることでしょう。

女性の成功のためのルールに学ぶ

“女性が自分に課す6つのルール”と言われるものがあります。(「Break your own rules」, Jill Flynn, Kathryn Heath, Mary Davis Holt)
①自己成長より他者の支援に注力する
②周囲を気遣い、謙虚でいる
③許可を求めてから行動する
④一生懸命に働けば成功すると信じる
⑤リスクは取らず安全に仕事を進める
⑥二者択一で考える

このルールに違和感はありませんか?

実は、これは、“女性が自分に課す6つの「誤った」ルール”と言われるものです。

このルールを全て否定するつもりはありません。賛同できるところもあるかもしれません。
しかしながら、このルールに縛られている限りにおいては、最初の一歩を踏み出すことは、難しくなってしまいます。
待っていても、誰もその背中を押してはくれないのです。

では、どうすれば良いのか?新たなルールをご紹介します。「女性の成功のための新たなルール」と呼ばれるものです。

① 自分のキャリアアップにもっとエネルギーを使い、積極的に自己主張する
② 誰かに許可を求めるのではなく、自分でことを起こして能力を発揮する
③ 仕事熱心なだけでなく組織に働き掛け、リスクを取る
④ 不確実性のマネジメントに対処するため、白黒をはっきりつける思考を改める

自分のキャリアゴールに自信を持ち、リスクを取る覚悟を持って最初の一歩を踏み出す。
全て自分で完結するだけではなく、必要に応じて、周囲の方々にも働きかける。
うまくいくか/いかないか?答えは、白か黒かだけではありません。
歩きながら、走りながら、時には道を変え、時には休みながら、自分だけのキャリアゴールという正解を作り上げていけばよいのですから。

 

講師プロフィール

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藤野 祐美 氏
株式会社Y’sオーダー 代表取締役
オーストラリア BOND大学 大学院 経営学修士課程(MBA) 修了。
ミノルタカメラ(現コニカミノルタ社)にて、産業用計測機器の販売企画、販売支援に従事の後、P&G社(米資本)での国際人事業務を経て、世界最大の水産飼料会社ニュートレコ社(オランダ資本)の日本法人立ち上げに参画。同社はじめ、関連会社2社を起ち上げ、取締役に就任。アジア太平洋地域人事統括として、組織開発、人材開発に従事。その後、2007年株式会社Y’sオーダーを設立、代表取締役就任。グローバル市場で活躍できる人材育成のための組織開発・人材開発を手掛ける。

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