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自分を突き動かすもの~モチベーションという源泉~【女性のキャリアを考える。第6回】

第6回目を迎える「女性のキャリア」にフォーカスした、Bond-BBT MBA2期生でキャリアカウンセラーもされている藤野祐美さんによる連載記事のご紹介です。皆様はキャリアにおいて何か目標はお持ちでしょうか?また、その目標に対して何か具体的にアクションは取られていらっしゃいますでしょうか?MBA取得はそのためのひとつの選択肢かと思います。そのために行動を起こされている方もいらっしゃるかもしれませんし、別の方法を選ばれている方もいらっしゃるかもしれません。では、そのアクションは継続することができていますでしょうか?

最初の一歩を踏み出すのはとても大切なことですが、それと同じく継続することも大切です。ただ、「三日坊主」という言葉もありますが、継続することは意外と難しいもの。それは意志の強さの問題なのでしょうか?実はそれだけが原因と言うことはできないのです。今回は、目標達成に向けて自らを突き動かし続けるために必要なことを「目標設定」という切り口で考えていきたいと思います。

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一歩を踏み出すのは自分自身

「将来は、グローバルに活躍できる人材になりたい。」「女性リーダーとして、また3児の母として、子供たちに誇れる自分でありたい。」自分の目指す姿、ありたい姿=キャリアゴールを実現するには、単に幸運を待っているだけでは始まりません。その一歩を踏み出すのは、まさに自分自身でしかないのです。更にその歩みは、最初の一歩だけではなく、歩み続けるという継続性が求められます。

目指すキャリアゴールに向かって自らを突き動かすもの、これこそがモチベーション。モチベーションとは即ち、「目標に向かって行動を起こし、方向付け、継続する力」。自らのキャリアゴール達成の源泉となるものです。

目標設定理論という考え方

とはいえ、ゴールに向かって歩み続けることは、決して容易ではありません。誰に強制されているわけでもない。自分自身が望む将来の姿であるはずなのに、なぜ、歩み続けることができないのか。その理由の一つに、キャリアゴールの設定の仕方が考えられます。

米国の心理学者、エドウィン・ロックが提唱した「目標設定理論」という考え方があります。この理論は、目標という要因に着目して、モチベーションに及ぼす効果を探ることを目指したものです。目標の重要性は、誰もが理解しているものですが、注目すべきは、その立て方であるというのが「目標設定理論」です。

困難・かつ明確、受容性のあるゴールであること

「ゴールは、高くて、難しいほどモチベーションがあがる。」つい、我々はそう考えがちです。確かにゴール設定において、それが「困難であること」は大切です。しかしながらここでいう困難さとは、万が一のラッキーがあれば成功できるといったものではありません。成功するかしないかのぎりぎりの水準と言われる成功確率が50%のところが、実は、最もモチベーションが高まると考えられています。

5年後、10年後といった長期的な目標であるキャリアゴールの設定は、つい欲張りに高くなりがちですが、そもそもゴール実現の姿がイメージできないことには、我々は動きだすことさえできません。まずは、成功確率が50%くらいのところにゴール設定をする。

更にその長期的なゴールを、1年先、半年先といった短期間のイメージできるところにまでブレイクダウンする。ゴールには、困難さと共に明確さが求められるのです。全く運動経験が無い中で、フルマラソンの完走をゴール設定したところで、まずその実現は難しいことでしょう。 まずは、自宅から駅までの距離を完走することといった、明確にイメージできるゴールにブレイクダウンする。そして、最終ゴールに近づいていくのです。

キャリアゴール設定のためのもう一つ大切な要素は、その受容性にあります。設定されたゴールを本人が受け入れている、納得している場合にしかゴールは機能しないと考えられます。組織のトップから、頭割りで降りてきた数値目標や、上司が一方的に押し付ける組織目標に対しては、モチベーションが上がらないことと同じです。周囲の期待に応えようと、納得のいかないゴール設定をしても意味はありません。

内的報酬を高める

誰のためでもない。自分が納得して、自ら設定するキャリアゴール。ゴールに向かって頑張れば、誰かが認めてくれるというよりはむしろ、純粋に自分自身を高めたいから挑み続ける。モチベーションの世界では、これを成長動機と呼びます。この成長動機に影響を及ぼすものが内的報酬です。営業成績が良かったから昇給する・特別賞与をもらうといった、何かの対価として外から与えられるお金や物などの具体的な報酬を外的報酬と呼びますが、これに対して内的報酬とは、自分の感覚で得られる報酬を指します。「キャリアゴールに向かって歩くことで、成長できる」、「自分の世界が広がって、嬉しい」といった、自分の内部で感じる報酬です。この内的報酬を高めていくために、大切な要素があります。

自己効力感を持つこと

自己効力感とは、カナダの心理学者 アルバード・バンデューラが提唱した概念ですが、「自分は〜できる」という感覚を指します。高い壁に直面した際に自己効力感が低いと、「私には、無理だ。」という思いから自信を持てずに、壁を乗り越えることが難しくなってしまいます。そこで逆に、「自分は乗り越えられる。」と自己効力感を持つことで、内的報酬を高めます。

社会的支援というつながり

自らが信頼・尊敬している人からの支援を受けることを社会的支援と呼びます。支援といっても経済的支援はじめ、様々な支援がありますが、中でも気持ちへの働きかけとなる精神的支援が有効です。「大丈夫、あなたなら、きっと実現できる。」「応援している。」といった声掛けをいただく。このつながりがまた、内的報酬を高め、成長動機に繋がるのです。

キャリアゴール達成への道は、今日、明日の話ではありません。それだけに自分を突き動かす源泉であるモチベーションには、注目したいものです。

講師プロフィール

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藤野 祐美 氏
株式会社Y’sオーダー 代表取締役
オーストラリア BOND大学 大学院 経営学修士課程(MBA) 修了。
ミノルタカメラ(現コニカミノルタ社)にて、産業用計測機器の販売企画、販売支援に従事の後、P&G社(米資本)での国際人事業務を経て、世界最大の水産飼料会社ニュートレコ社(オランダ資本)の日本法人立ち上げに参画。同社はじめ、関連会社2社を起ち上げ、取締役に就任。アジア太平洋地域人事統括として、組織開発、人材開発に従事。その後、2007年株式会社Y’sオーダーを設立、代表取締役就任。グローバル市場で活躍できる人材育成のための組織開発・人材開発を手掛ける。

目標設定の大切さ。(Bond-BBT MBA事務局より)今回の連載記事はいかがでしたでしょうか?

普段何気なく行っている目標設定。ご自身の目標設定の方法や考え方を振り返ったとき、皆様は実際にどのようにされていますでしょうか?達成がまず困難な目標を設定していませんでしょうか?逆に、簡単すぎてすぐに達成できてしまう保守的な設定をしていませんか?あるいは、感覚的に50%くらいの達成率にはなりそうなものの達成に向けた具体的なイメージを持てないものではないでしょうか?

目標設定は簡単そうに見えて実に奥が深いもの。目標達成に向けてアクションを取っていく中で、自らをストレッチして成長することができる。そのような目標設定を目指していきたいですね。

早いものでもう来月は年末。皆様は、来年はどのような目標を立てられますか?また、もし今年やり残されたことがあるようでしたら、どのように目標を設定してそれを実現されますか?年末までまだ時間がありますが、今のタイミングから考えていくことで納得感のある目標を定められるかもしれません。

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