東アジアの経済統合が進展している。
東アジア域内貿易の比率は年々上昇。EUのような制度的な枠組みはないものの、域内の相互依存が進み、事実上の経済統合が形成されつつあるのだ。貿易の中心になっているのは中国であり、直接投資の流れを見ても、90年代前半にはASEANに流れていた投資が、2000年以降、中国へと向かっている。
また、日本の機械・部品が、韓国・台湾を経由して中国で組み立てられ、製品として世界に輸出されるという「モノの流れ」も定着した。
国や地域別の国際分業も進んでいる。
日本の工作機械は、中国、台湾などに輸出され、世界トップレベルの競争力を保持している。
たとえば、リコーなどの複写機メーカーは、日本から基幹部品を送って、中国で組み立て、完成品を日本に流すという体制が確立している。
研究開発などの上流部分は日本に残し、製造は中国・ASEAN、販売機能は国内や欧米で・・・、と国や地域で機能分担をする傾向は製造業全体に広がっている。
中小企業においても、海外展開は効率性の向上や人材育成などに好影響を与えている。
しかし、韓国では対中輸出で貿易黒字を拡大する一方、対日赤字が膨らむなどの空洞化の問題を抱えている。
それに対し、台湾のハイテクメーカーは、OEM受注に徹することで好循環を生み出している。
たとえば、アップルコンピューターのipodは、アメリカのデザインとコンセプト、日本の技術、台湾の生産能力がうまく融合した結果、世界的な大ヒットとなったのだ。
政治主導で形成されたEUとは異なり、東アジア経済圏は経済主導で作られた。
そのため、通貨、政治体制などの面ではまだまだ未整備な部分が多いが、東アジアの経済統合は予想以上に急速に進んでいると、大前氏は強調する。