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> イノベーションライブ273:楠木建

カテゴリー・イノベーション: 脱コモディティー化の論理


概要:
多くの企業はイノベーションに取り組むにも拘わらず、コモディティー化の波に飲み込まれるという皮肉な現象が起きている。
従来理論では何れの種類のイノベーションでも次元の可視性を追及する競争から、可視性の罠に陥り最後はコモディティー化、価格競争に行き着く。ここで価値次元の所在が「属性」か「使用文脈」かという新たな分類軸を加え、カテゴリー・イノベーションという範疇を作ることにより、脱コモディティー化の理論を展開してみる。
コモディティー化とは製品ないしサービスの価値がコストに単元化してしまう現象であり、価値の可視性が極大化した状況である。デジタルカメラ業界は当初画素数や薄型、軽量という提供価値の競争から、価格の競争になっている。価値次元の可視性を左右する要因としては、「特定可能性」「測定可能性」「安定性」「普遍性」の4つがある。
インナーウェアはこの全てが低い故に、価値次元が見えない。価値次元は時間の経過とともに、支配的デザインの確立までは高くなるが、イノベーション競争と技術の成熟で価値の多次元化が起こり一旦は低下する。しかしながら、やがてコモディティー化が起こり再び価値次元の可視性は増大する。デジタル化はこのダイナミクスの時間を短縮した。多くの企業がイノベーションの重要性を認識し、それに取り組んでいるが、デジタルカメラ業界のようにコモディティー化の波に飲み込まれている。イノベーションは必ずしも脱コモディティー化には繋がらないのである。
クリステンセンは「イノベーションを維持型」「ローエンド破壊型」「新市場破壊型」の3種類に分類したが、いずれの類型も結局は見える次元上での競争であるので、コモディティー化を加速し、脱コモディティー化のフレームワークたりえない。ところが購買決定のカギとなる価値次元の可視性の高低と、価値次元の所在が「属性」か「使用文脈」かによって、イノベーションを4分類型すると、脱コモディティー化のイノベーションとは何かを示唆すること可能である。
カテゴリー・イノベーションは価値次元の可視性が低く、価値次元の所在が使用文脈にあるもので、顧客が使用経験を通じて価値を蓄積するという積分的な性格がある。スターバックスやポケモン、ニンテンドッグズなどはこの範疇で、コモディティー化しないイノベーションであった。可視性の罠というイノベーションのパラドクスを克服し、カテゴリー・イノベーション誘発のためには、新しい経営モデルが必要となる。
 講義タイムテーブル:
スライド 時間 タイトル
00: 00: 00 カテゴリー・イノベーション:脱コモディティー化の・・・
00: 00: 44 本日のテーマ
00: 02: 01 視聴者への問いかけ
00: 03: 20 デジタルカメラのコモディティー化
00: 04: 14 コモディティー化の脅威
00: 06: 39 価値と競争の次元:見えるか見えないか
00: 07: 08 次元の見えるイノベーション
00: 08: 06 価値次元の可視性を左右する要因
00: 11: 04 価値次元のダイナミクス
00: 14: 32 何が変わったのか?
00: 15: 24 コモディティー化と価値次元の可視性
00: 16: 06 イノベーションの3類型
00: 16: 28 維持型イノベーション
00: 16: 33 イノベーションの3類型
00: 19: 17 ローエンド破壊型イノベーション
00: 20: 00 デル・ダイレクト・モデル
00: 20: 28 イノベーションの3類型
00: 20: 46 カシオの「EXILIM」
00: 22: 12 価値次元の転換
00: 23: 13 新市場破壊型イノベーション
00: 25: 23 バリュー・イノベーション
00: 27: 53 価値次元の転換の落とし穴
00: 29: 23 EXSLIMのその後
00: 30: 29 次元の見えるイノベーションの限界
00: 33: 04 イノベーションの4類型:価値次元の所在・・・
00: 38: 46 カテゴリー・イノベーション
00: 40: 02 ソニー「ウォークマン」
00: 41: 04 PSP VS. DS
00: 43: 31 可視性の罠
00: 46: 12 二十一茶
00: 48: 05 価値:微分か積分か
00: 49: 31 イノベーションのパラダイム転換
00: 56: 13 ポケモン
00: 57: 24 ニンテンドッグスの「すれ違い通信」
00: 58: 18 メッセージ
講師紹介: 楠木 建(くすのきけん)
一橋大学大学院国際企業戦略研究科准教授
専攻はイノベーションのマネジメント。新しいものを生み出す組織や戦略について研究している。とくにコンセプトを創造する組織やリーダーシップに関心をもっている。一橋大学大学院商学研究科博士課程修了(1992)。一橋大学商学部専任講師(1992)、同大学同学部およびイノベーション研究センター助教授(1996)を経て、2000年から現職。著書としてManaging Industrial Knowledge (2001、Sage・共著)、『ビジネス・アーキテクチャー』(2001、有斐閣・共著)、『イノベーションと知識』(2001、東洋経済新報社・共著)などがある。論文多数。

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  アシスタント:西野七海

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