医学の研究者として日本と米国でダイナミックなキャリアを持ち、現在、日本学術会議の会長を務める黒川氏を招いた。 イノベーションの基礎となる科学と技術について、我々が知るべきものは何かという観点からの話、学術会議での改革と新体制構築の経験を踏まえ、これからの研究者はどのようなことを行っていくべきかについても語ってもらう。講師の石倉教授も学術会議の女性初の副代表に就任し、国際的な活動を担当することとなった。
現在の科学が、なぜ中世まで科学の先進地域であった中国やアラビアを基礎としているものではなく、ヨーロッパ発祥のものがベースとなっているのか、その理由を考えたことがあるだろうか。 ヨーロッパに伝わった印刷技術が教会の権威を失墜させ、宗教改革に繋がったという事実は、一体何を意味しているのか。アインシュタインの相対性理論が原子爆弾を生み出した背景とは何か。日本のビジネスの常識とは何か。ビジネスパーソンといえども、その時代背景を踏まえて、科学に基づいたデシジョンメイキングを行わなければならない。常識を疑い、科学的思考で本質を考える。科学によって得られた知見であっても、「技術」となると、その方向はその時代背景によって変わるものである。地球環境という視点で考えると、原子力がクリーンエネルギーということも当たり前でなくなるかもしれない。 リーダーに求められるものは、歴史観や哲学に基づくビジョン、知力、体力とパッション、ビジョンを伝える能力、ゆるぎない信念であり、リーダーシップ論のようなスキルではない。いま起きていることの背後に何があるかという歴史観が重要なのである。ソニー、ホンダ、京セラの創業者は、そういったリーダーたちであった。 日本学術会議は、それまでの学者のサロン的な存在であった学士院とは異なり、米国に倣い政府に政策を提言する機構として1949年に誕生した。当初は、原子力の平和利用三原則といった提言も行っていたが、アカデミックな世界では左翼系、反体制派が多かったといった事情もあり、政策提言機能は衰え、そのあり方が問われていた。 しかしながら、行政改革や冷戦体制崩壊をきっかけに、新たな政策提言機構としての改革を推し進めた。新体制発足後の課題としては、政策提言機能の強化、総合科学技術会議との連携、国際活動の強化、発信機能の強化を挙げている。日本の科学技術政策の要諦として2050年の国家ビジョン「品格ある国家」と「アジアの信頼」を掲げ、実現するためにいつ何を行うべきかのロードマップを提示している。
スライド 時間 タイトル 00: 00: 00 科学技術分野のイノベーション・・・ 00: 00: 39 今回のテーマ 00: 03: 08 黒川清 略歴 00: 04: 52 本日の流れ 00: 31: 24 日本学術会議とは? 00: 31: 50 日本学術会議の活動 00: 34: 37 新生日本学術会議の構造と機能の・・・ 00: 38: 24 新体制発足後の課題 00: 52: 21 日本の科学技術政策の要諦