製品開発における価値創造は、技術・製品価値創造、価値創造プロセス、事業価値獲得の3要素が有機的に循環することが重要であることを、これまで5回にわたって述べた。企業の製品開発で最も重要な視点は、構築・活用すべき「強み、組織能力の方向性」を明確に定め、そこに資源を集中投資することに尽きる。 最終の今回は、日本企業の製品開発の特徴を列挙し、アメリカ企業と比較しながら、これからの日本の製造企業が進むべき方向性を示唆し、まとめとす
日本企業の多くは、技術・製品価値創造と、その価値創造プロセスには優れているが、事業価値を獲得する部分、差別化・独自化による利益の獲得が、世界の各企業と比べると非常に弱い。これは、活発な新製品開発(イノベーション)能力があり、持続的な技術や組織能力は蓄積される利点もあるが、短期的なバリューキャプチャーよりも、徹底して技術・組織の能力構築を重視する日本企業の製品開発の特徴から過当競争を招き、低利益水準に陥るマイナス要因がはたらくからである。 アメリカ型企業は、短期的な利益追求が求められるため、科学的・分析型経営手法で事業価値を獲得してきた。しかし、産業界全体の変化が急速になった現在、その手法が限界にきていることは否定できない。このため、日本型企業とアメリカ型企業の、どちらが将来的に成長できるかの予測は難しい。 日本企業の製品開発の特徴の2として、部門や企業を超えた組織間調整・摺り合わせ能力に優れ、相互理解、暗黙知の共有が進んでいる点があげられる。ただし暗黙知に依存しすぎて、科学的アプローチがなされていないケースも見られる。端的に言えば、日本型組織はアナログ的で、アメリカ型組織はデジタル的である。ここでも、日本型組織のよさを残しながら、アメリカ型のプロジェクト審査手法にも学ぶ点が多いだろう。 日本企業の製品開発の特徴の3として、摺り合わせ能力の強さの裏側とも言えるが、グローバルなマネジメントの欠如から、モジュール型製品の開発・創造や、非連続的な変化に弱い点がある。こうした日本型企業の弱点をカバーして国際的な競争力を高めるためには、摺り合わせ能力を活用してインテグラル化を進める。部品技術を絶えず革新する。デザイン性、ブランド力で顧客ニーズに対応することなどが考えられる。また、日本型企業が抜群に優れている組織能力とコア技術を活かした製品開発を進めることが、結局はグローバル化が進む産業界で日本型企業がさらに躍進できるキーポイントになる。
スライド 時間 タイトル 00: 00: 00 ビジネス基礎講座 製品開発の価値創造 00: 01: 00 ビジネス基礎講座 製品開発の価値創造 00: 02: 14 第6回の内容 00: 03: 15 製品開発における価値創造の3要素 00: 06: 17 日本企業の製品開発に関する特徴 00: 09: 58 日本企業の製品開発の特徴(1) 00: 14: 21 米国型経営モデルの場合 00: 19: 22 イノベーションのジレンマ 00: 21: 27 正しい経営的評価は不可能に近い 00: 26: 10 日本企業の製品開発の特徴(2)-1 00: 29: 36 日本企業の製品開発の特徴(2)-2 00: 30: 49 デジタル組織とアナログ組織 00: 32: 38 日本企業の製品開発の特徴(3) 00: 33: 59 モジュール化と日本企業の競争力 00: 35: 55 モジュール型製品での弱みの源泉 00: 38: 21 部品の付加価値とアッセンブルの付加価値 00: 39: 21 モジュール型製品:低付加価値率への軌道 00: 40: 28 日本企業が競争力を高めるためには 00: 45: 29 日本企業の強み・弱み 00: 49: 28 不確実性の産業比較 00: 50: 16 組織能力と業績の関係 00: 54: 16 組織能力の構築が競争力の必要条件 00: 57: 11 組織能力構築と製品開発のスパイラル 00: 58: 56 組織能力を構築・活用する製品開発