これまで2回の講座で、製品開発における技術・製品戦略手法について述べた。ただ、製品開発分野での競争が激化し、製品での差別化だけでは生き残りが困難な時代になり、組織能力の差別化も必要になっている。 そこで今回と次回で、製品開発にかかる組織設計の基本概念と、グローバルな競争に勝てる組織構造のパターンを、実際に組織能力の差別化に成功している企業を例にあげて紹介する。
企業の業績は、戦略とそれを実践する組織の融合によって成り立ち、組織は構造とマネジメントが適正にマッチしてこそ、成果が得られる。組織構造は取り扱う業務に応じて大きくは、他部門との情報交換を必要としない単純組織と、組織内相互で頻繁な情報交換の必要な複雑系組織とに分けられる。組織設計の理想型は、組織の複雑性(相互依存性)を最小化し、プロセスをルーチン(一定手順)化することである。こうすることで知識の蓄積もできる。 製品開発の組織設計では、縦割りの専門機能の実施(機能)部門と、横断的に製品として統合(プロジェクト)部門とが、バランスよく配置されているかを考える必要がある。具体的な組織構造としては、マトリスク型を含む的な機能重視組織、プロジェクト重視組織に分けられる。プロジェクト重視組織の場合は、キーメンバーをプロジェクトに配置し、機能部門長より強い権限を持つ重量級プロジェクトマネージャーを据え、コロケーション(同じ場所)にいて、プロジェクト単位での自立的なコスト・収益管理を実施する。 プロジェクト重視組織と機能重視組織を比較すると、プロジェクト重視組織はアウトプット重視で、機能を横断した統合・調整ができ、スピード性と顧客ニーズへの対応に優れているが、専門知識の開発・蓄積面では弱い。機能重視組織はインプット(技術)を重視し、技術革新への対応に優れるが、組織間での障壁が生じやすい。どちらの組織形態にも長所と短所があるので、開発する製品や顧客ニーズがモジュール(単純)かインテグラ(複雑)かによって、組織デザインを柔軟に構成すべきである。たとえばシャープの場合は、基本的には機能重視組織であるが、常に10以上の緊急プロジェクトを並行して立ち上げている。トヨタの場合は、マトリスク組織でありながら開発製品ごとに重量級プロジェクトマネージャーを配置している。両者の具体的な組織運営は番組をご覧いただきたい。
スライド 時間 タイトル 00: 00: 00 ビジネス基礎講座 製品開発の価値創造 00: 00: 56 ビジネス基礎講座 製品開発の価値創造 00: 01: 56 価値創造のための組織能力での差別化 00: 04: 08 第3回の内容 00: 05: 32 戦略と組織 00: 10: 17 情報処理組織の複雑性能力 00: 13: 17 組織の複雑性(相互依存性)を最小化 00: 18: 17 製品開発組織の役割 00: 22: 42 機能重視組織とプロジェクト重視組織 00: 28: 21 プロジェクト重視組織の特徴 00: 34: 17 重量級プロジェクトマネジャーの特徴 00: 37: 39 プロジェクトと機能重視組織の狙い問題点 00: 40: 47 機能重視組織とプロジェクト重視組織 00: 42: 05 プロジェクトと機能重視組織の狙い問題点 00: 45: 33 プロジェクト重視組織を選択すべき条件(1) 00: 48: 16 プロジェクト重視組織を選択すべき条件(2) 00: 51: 35 組織タイプの決定要因 00: 54: 18 成功事例:シャープの緊急プロジェクト 00: 54: 48 シャープの緊急プロジェクト制度 00: 55: 44 成功事例:シャープの緊急プロジェクト 00: 56: 15 プロジェクト重視のマトリクス組織の事例:トヨタ 00: 58: 29 まとめ