前回では次元的イノベーションには限界があるので、脱コモディティー化の為の次元の見えないイノベーションの方向を説明した。今回は非次元的イノベーションについて考える。 次元を壊す戦略では、スペックの競争そのものの否定と非次元的イノベーションの本質であるコンセプトの提示が必要となる。製品価値は経験の蓄積で発現する特徴があるので場の構築も重要である。早ければ良いという訳ではなく出すタイミングの難しさもある。
イノベーションの役割は、新しい付加価値で企業の収益拡大に貢献することにある。次元的イノベーションの高品質化・小型化・高機能化の方向は価値の多次元化の罠へ、そして価値が価格に単元化してしまうコモディティー化という限界に到達する。この時点で、企業はコモディティー化を受け入れ一層のコスト削減か、価格以外の新しい価値提供で収益を上げるかの選択を迫られる。脱コモディティー化には二つの方向がある。一つはそれまで顕在化されていない価値の発見による別の「次元を創る」ことであり、もう一つは次元的な競争のルールを破壊し価値の「次元を壊す」ことである。 「次元を創る」戦略の成功条件は、新しい次元を価値が良く見えるように、且つ模倣を阻止する手段を持つことにあるが、次元的イノベーション競争でもあるので、これも再びコモディティー化に収斂してしまう。「次元を壊す」戦略はイノベーションにおける次元の存在そのものを破壊し、価値次元の可視性をさげることによって、コモディティー化から逃れるものである。インテルはMPUにおいて、処理速度という次元的なイノベーション競争から、消費電力という新しい価値次元を創り、統合チップ群で「次元を壊す」戦略へ転換している。ゲームの世界では、ソニーがハードの性能という価値次元の見えるものを、一方、任天堂はソフトの面白さという価値次元の見えないものをそれぞれ追求している。 非次元的なイノベーションの本質は新しいコンセプトの提示にある。その価値は次元的イノベーションのような微分的な差異にあるのではなく、使用経験を重ねていくプロセスで発現するという積分的なものである。それ故、経験蓄積の場を構築する仕組みが必要となる。非次元的イノベーションは早ければ早いほど良いわけではなく、次元的イノベーションの余地が残されている段階では成功に結びつかないというタイミングの難しさもある。
スライド 時間 タイトル 00: 00: 00 イノベーションの新しいパラダイム(2) 00: 00: 39 イノベーションの新しいパラダイム(2) 00: 01: 14 価値次元の可視性を左右する要因 00: 01: 29 次元的イノベーションの限界 00: 02: 14 大きな選択 00: 02: 43 途中の結論 00: 03: 36 基本原則 00: 04: 49 コスト競争は「ラットレース」 00: 05: 08 価値次元のダイナミクス 00: 07: 51 途中の結論 00: 08: 28 コモディティー化とは何か 00: 09: 54 脱コモディティー化の2つの方向 00: 11: 02 「次元を創る」戦略 00: 13: 51 「次元を創る」戦略の条件1 00: 15: 07 「次元を創る」戦略の条件2 00: 19: 00 「次元を創る」戦略の条件3 00: 20: 10 「次元を壊す」戦略 00: 33: 42 インテル:次元を創る 00: 36: 29 インテル:次元を壊す 00: 38: 10 ソニーのPS2 00: 40: 13 任天堂 00: 43: 16 コンセプトのイノベーション 00: 46: 48 価値を「積分」する 00: 48: 19 経験を蓄積する「場」の構築 00: 50: 50 タイミング 00: 58: 28 価値次元のダイナミクス