パラダイムをマネジメントするのが難しい理由に、「イノベーターズ・ジレンマ」がある。ハーバード大学のクリステンセン教授は、業績好調だった企業が苦難に陥った理由を調査した結果、「優れた経営をしている企業ほど、技術革新に対応できずに失敗する」という事実に直面した。これこそがイノベーターズ・ジレンマである。 今回は日本での事例を取り上げ、イノベーターズ・ジレンマとは何なのか。なぜこれが発生するのかを学んでいく。
イノベーターズ・ジレンマという言葉は、ハーバード大学クリステンセン教授の著書からの引用である。彼の調査の結果、「優れた経営をしている企業ほど、技術革新に対応できず失敗する」ということが分かった。これがイノベーターズ・ジレンマである。そもそも技術革新には、既存製品の性能向上につながる「持続的技術」と、既存製品よりも性能は劣るが、主流から外れた市場では評価される「破壊的技術」の2通りがある。現在の成功企業は、持続的技術に投資を集中するがゆえに、破壊的技術に駆逐されてしまうのである。 では、こうしたイノベーターズ・ジレンマはなぜ起きるのだろうか。そもそも企業は、顧客が存在する市場や、儲かる市場に投資を行う性質を持っている。そして、小規模な市場では大企業の成長ニーズを満たせない。また、現存していない市場は今後どうなっていくか分析することが難しい。こうした背景から、成功企業は持続的技術にばかり注力してしまい、破壊的技術によるイノベーターズ・ジレンマが発生するのである。 例えば日本のTV産業であるが、ブラウン管市場を牛耳っていた松下やソニーは現在、液晶TVでシャープの躍進を許している。ブラウン管という持続的技術に注力し過ぎ、液晶という破壊的技術の台頭を見逃したのである。同様の事例は、ビジネスシステムの変化により躍進している英会話のNOVAや、従来の酒屋ではなくスーパーやコンビニチャネルへの注力によりシェア1位となったアサヒビールなどにも見られる。このように破壊的技術は、科学技術の世界だけでなく、ビジネスシステムやチャネルなどでも起こり得るのである。 既存事業で成功している企業ほど、破壊的技術に対応できずに失敗してしまう。正しい経営を行えば行うほど、イノベーターズ・ジレンマに陥ってしまう。これにどうやって打ち勝つのか。経営者として何をなすべきなのか。これらについては、次回取り上げる。
スライド 時間 タイトル 00: 00: 00 パラダイムシフト・マネジメント 00: 00: 58 パラダイムシフト・マネジメント 00: 02: 36 第3回 イノベーターズ・ジレンマ 00: 05: 34 イノベーターズ・ジレンマとは何か 00: 07: 15 持続的技術と破壊的技術 00: 11: 15 持続的、破壊的イノベーションの影響 00: 17: 07 持続的技術の例 00: 18: 34 破壊的技術の例 00: 23: 49 破壊的技術4つの法則 00: 29: 54 ドライブ別市場規模と利益率 00: 31: 37 シーゲートテクノロジーの例から 00: 41: 11 テレビの国内出荷金額 00: 42: 46 プラズマ、液晶テレビの国内シェア 00: 46: 57 ベルリッツ対NOVA 00: 49: 21 ビジネスモデルの違い 00: 52: 21 ベルリッツ対NOVA 00: 53: 17 ビール主要4社のシェア推移 00: 56: 07 ビールチャネル別販売量 00: 58: 03 イノベーターズ・ジレンマ まとめ