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BPUプロフェッショナル系 イノベーション > イノベーションライブ205:楠木 建

見えない次元 ~イノベーションの新しいパラダイム(1)~


概要:
問いかけ:あなたはいま何にお金を使いたいですか。買いたいモノやお金を使いたいコトを簡単なコメントを添えて教えてください。

 従来イノベーションは見える価値の物差しの上を前進するものと考えられており、企業間競争は見える次元での競争であった。しかしながら、最近の競争は何が良くなったのかという価値の次元の物差しが良く見えない。
 企業は競争に勝つためにコモディティー化を受け容れ更にコストを削減するか、新しい価値提供で収入を上げるかの選択を迫られるが、脱コモディティー化という挑戦課題には、今は非次元的イノベーションが重要となる。
 企業の利益は収入からコストを引いたものであるが、SCMにしろITにしろコストを下げる話であり、どうやって収入に当たる価格を引き上げるかの話は少ない。コスト削減競争は物理的な限界へ収斂していく競争で、いつかは壁に当たる。
 イノベーションには製品やサービスに新しい価値を与え、収入を増加させるという役割がある。従来、イノベーションは価値の物差しの上を前進させる現象や成果と考えられていたが、最近の事例は何が良くなったかという価値の次元が見えないという特徴を示している。
 IBMやキーエンスは製品の性能や品質を優れたものにしていない。ウィダー・イン・ゼリーはおいしさや栄養補助成分の向上ではない。ヴィレッジヴァンガードはあえてベストセラーに絞っていない。
 価値の可視性の軸は、ハードからサービスという形態の可触性の軸とは違ったものである。例えば、デスクトップPCは形態の可視性も価値の価値性も高いが、MP3プレイヤーでは形態の可視性は高いが価値の可視性は低い。価値次元の可視性を左右する要因は、特定や測定が可能であるか、及び価値が安定しているかどうかにある。
 価値次元の可視性の変化を時間軸で見ると、製品登場後の次元が見える方向からやがて次元の見えない方向へ、コモディティー化で再び価値次元が見える方向へと動く。成長過程の産業では次元的イノベーションの余地があるが、やがてコモディティー化を受け入れ、コストを更に下げるか、そうではなく新しい価値を生み出し価格や収入を上げる方向に転ずるかの選択を行わなくてはならない時期が企業には来る。デルはコモディティー化戦略で成功したが、新しい試みで価値次元の可視性がPCより低い民生用エレクトロニクスへ進出している。一方、日本マクドナルドは価格戦略で一度は大成功を収めたが限界に達した。
 脱コモディティー化の挑戦課題解決の為には、非次元的イノベーションが重要となる。
 講義タイムテーブル:
スライド 時間 タイトル
00: 00: 00 イノベーションの新しいパラダイム(1)
00: 00: 39 イノベーションの新しいパラダイム(1)
00: 01: 26 問いかけ
00: 03: 08 基本原則
00: 04: 54 コスト競争は「ラットレース」
00: 05: 53 イノベーションの事例:共通点は?
00: 08: 24 「次元の見えない」イノベーション
00: 10: 17 次元の見えない世界:古典的な例
00: 13: 18 新しい動き
00: 16: 26 IBM
00: 18: 12 キーエンス
00: 20: 44 「ウイダー・イン・ゼリー」
00: 21: 54 ヴィレッジヴァンガード
00: 25: 32 ハードなソフトウェア、ソフトなハードウェア
00: 36: 24 価値次元の可視性を左右する要因
00: 42: 26 価値次元のダイナミクス
00: 47: 46 カシオのデジタル・カメラ「EXILIM」
00: 49: 04 松下電器の「DIGA」シリーズ
00: 49: 30 次元的イノベーションの限界
00: 51: 20 大きな選択
00: 51: 46 デル
00: 53: 01 デルの新しい試み
00: 54: 32 日本マクドナルド
00: 55: 40 途中の結論
講師紹介: 楠木 建(くすのき けん)
一橋大学大学院国際企業戦略研究科 教授
専攻はイノベーションのマネジメント。新しいものを生み出す組織や戦略について研究している。とくにコンセプトを創造する組織やリーダーシップに関心をもっている。一橋大学大学院商学研究科博士課程修了(1992)。一橋大学商学部専任講師(1992)、同大学同学部およびイノベーション研究センター助教授(1996)を経て、2000年から現職。
主な著書に『Managing Industrial Knowledge』(共著・Sage 2001)、『ビジネス・アーキテクチャ』(共著・有斐閣 2001)、『知識とイノベーション』(共著・東洋経済新報社 2001)など。論文多数。

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  アシスタント:西野 七海

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