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経営者ライブ > 経営者ライブ14:MKグループ

規制緩和の旗手 MKグループ
ゲスト:青木定雄氏(MK株式会社 オーナー)


概要:
商売の基本は「お客さんに喜んでもらい従業員の給料が上がり、なおかつ、会社が儲かる体質にすることです」。約30年前、タクシーの第一次規制緩和の折に第1号の認可を取得。それ以来、お客様を喜ばせるにはどうしたら良いかを考えつづけてきた。これまでは、役所を拝んでいれば儲けられた。でもこれからは、拝む先をお客様に変えないと将来はない。
「お客様に喜ばれなければ、それまでですよ」という青木氏の経営哲学を伺います。

1960年にミナミタクシー(株)を設立
1963年に桂タクシーの経営権を譲り受ける
1977年にMK(株)に社名変更
現在は10社からなるグループ企業


URL:MK(株)http://www.mk-group.co.jp/
●規制緩和という賞をとられていますが、規制と戦ってきたという感覚はありますか?「そうじゃないんです。30年ほど前には、規制緩和と言う言葉すらなかったんです。発想の原点は、「お客様に喜ばれることをするのが、なぜ、いかんのか」なんです。なにも、小難しい規制緩和と言う考えはない。お客さんに喜ばれることをすると、今度はお客さんがタクシーを選んでくれます。そうすると水揚げが上がって賃金も上がります。この考えが‘なんでいかんのか’。この考えが発展してゆくうちに規制緩和ということになっていったんです」 ●お客さん本位で進めてゆく時に規制という壁にぶっかったというわけですね?「20年ほど前までは、挨拶をしないのがタクシー業界の常識、道徳だったんです。“なんで、挨拶をせにゃあかんのか。タクシーはお客さんを運ぶだけでエエやないか”というのでやり込められた。でも、私は料金の中には挨拶も含まれ取るんや。挨拶をしなければ、料金はいただきませんという運動を展開したこともあります。タクシー業界の常識は、一般常識とかけ離れていると思いましたね。親子の間でも、朝起きて初めて会ったら“おはよう”という。これは商売以前の話しで基本だと思うんですよ。今でも挨拶が基本だと思っていますよ」 ●タクシー会社に参入され始めた頃のお考えをお聞かせいただけますか?「私がタクシー会社を始めた当時、カミカゼタクシーの全盛期でタクシーに対する批判が高まっていた。ドライバーがランニングにステテコ、雪駄で運転して、気にいらなければ“降りてくれ”と怒鳴る。これじゃ、どっちがお客さんかわからない。こんな無法地帯がまかり通るっていたのは、当時、新規参入ができないほどの規制でがんじがらめになっていたからなんですよ。35年に運輸省が認可性を導入した時、私は真っ先に申請した。当時10社が認可されましたがその第一号が私だったんです」 ●最初から“規制”という言葉が出てきますね?「当時は、めちゃめちゃな時代でした。運転手に払う賃金は、水揚げの10%。90%が経営者の懐に入わけですよ。クルマ1台の権利が300万円。今で言うなら3000万円ぐらいですが、運転手の教育なんてしない時代ですから、権利さえ得てしまえば後は遊んで暮らせたわけですよ」「私は、10台のタクシーと24人の運転手で始めた。無断欠勤、遅刻、早退が絶えないわけですよ。同業者と話しても“そりゃ、無理だよ。運転手を多めに採用して出勤してきた順にクルマに乗せて出動させれば良い。遅れて出てきた社員には賃金も払わなくて良い”と言うんです。でも、私は24人でやろうと決心して、試しに教育をしてみたんです。ダメでした。モラルは改善しない。原因は家庭だったんです」「当時の住宅事情は劣悪で、6畳一間の部屋に家族4人、6人が寝起きをしていた。夜働いて昼寝なんて、子供がいると寝るどころじゃない。うつらうつらしているうちに2、3時間寝過ごしたというのが起こるわけです。出勤しても寝不足ですから。いらいらして客ともトラブルを起す。交通事故も起こりやすい。それで最初に住宅事情を変えようと考えたわけです。昭和36年に独身・世帯用に28戸の部屋を用意した。昭和39年にはバス、トイレ、キッチン付きの2DKを厚生年金からお金を借りて作った。昭和44年には、46戸の分譲住宅を業者から買い取って、従業員に安く販売しようとした。ところが、これがまったく希望がない。聞いてみると、月々の支払い3万4000円が払えないというんです。それで今度は、賃金を上げてやろうと思ったんです」「当時の銀行の支店長の給料を調べて、給料を5万円上げて12万円にした。同業者からは“MKは3ヵ月でつぶれるぞ、半年でつぶれるぞ”と噂をしていました。やってみて分かったんですが、経営者が汗をかいて勉強をすれば会社はつぶれないんです。賃金を払うためには、従業員の能力を開発してゆかなければならない。そのためには、朝5時に起きて一生懸命勉強しなければならないんです。経費を削減するために、1リッター5キロしか走らない燃費を何とかして6キロ走れるようにするとか、タイヤやクルマの耐用年数を上げるためにどうすればいいか。いろいろやった。その甲斐あって2万円経費を引き下げることができた。また、売り上げを上げないといけない。そのために、どんな状況でも、お客さんが手を上げたら止めて、安全、親切に目的地まで送り届けるということを徹底したんです」「そのうち、同業者が宣伝し始めて、“そんな近いところだったたら、後ろのMKタクシーに乗りな”というように。噂で、MKタクシーは“親切だ”という評判になり、ほかのタクシーは通り過ごして、MKが来たら手を上げて止めるということも起こり始めた。タクシーは面白い商売でお客さんが乗っても乗らなくても経費は一緒なんですよ。結局、売上は4万円伸び、経費は2万円落ちた。足して6万円。この6万円は、お客さんに喜んでいただいて、なおかつ儲かった6万円なんです。そのうち5万円を運転手の給料に上乗せ、余った1万円で、3ヵ月や半年でつぶれるはずのMKを、大きくしたのです。これが商売ですよ」 ●今、お聞きすると従業員を何とかしなければならないということになりますね?「そうせんと、サービスができないじゃないですか。今なんで‘青木、青木’といわれるかというと、運転手がいいサービスをしてくれているからなんですよ。誰が教育していると問われて‘青木’と言ってくれるから、‘だったら、一度話をきいてみよう’となるわけですよ」 ●なかなか同じようなサービスをしてくれるタクシー会社が出てきませんね?「それは体質の問題ですよ。昭和48年のオイルショックを境に日本は低経済成長の社会になった。運輸省の規制の中で収益が上げられる時代じゃなくなった。運輸省に手を合わせれば収益が上げられた時代から、手を合わせる相手先を一般大衆に向けなければならない。ほかの会社が赤字経営を強いられる中、MKだけは業績を伸ばしていますが、それはいつもお客様に向かって手を合わせているからなんです。お客様に喜ばれる商売をやっていれば絶対につぶれることはないんですよ」 ●現在まだ、この業界は規制に守られていると思いますか?「いや、運輸省は今、いろいろと規制緩和をしようと一生懸命に取り組んでいます。でもね、業界側の体質がなかなか変わらない。たとえば、大店舗法というのがあったでしょ。業界が政治家を動かして作らせた。その法律のおかげで10年間は小売店は守られました。しかし彼らは、その間何もしなかったわけですよ。そのため大店舗法がなくなったとたん、商店街は全滅。同じですよ。10年の間に、みんなが備えていれば良かったんですよ。タクシーも2001年から自由化になります。5年間の猶予期間があった。その間に備えていれば良かったんですよ」 ●これまでに規制緩和の体質を身につけたMKは?「そのままの延長線を続ければいいということになりますよね。98年11月の1ヵ月にMKタクシーだけで8400万円の収入があった。そこから運転手の給料に2万円づつ上乗せして、5%の料金値下げの原資として2000万円を用意した。それでも会社には利益が残るんです。お客様が(料金値下げで)喜んで、運転手が(賃金UPで)喜ぶ。会社も収益が上がる。こういうやり方をやってゆかないとダメな時代ですよ。自分だけが儲かると言う考えは通用しません。お客様、運転手、会社で3等分する考えをMKは持っています」 ●とはいっても、なかなか体質は変えられない?「それにはまず、今までのものをつぶさないといけない。はじめの頃は、たくさんの運転手が辞めてゆきました。“挨拶のできない人は辞めてくれ”と言ったんです。一時期は、クルマの半分以上が埃をかぶるような状況でした。過去を洗い直して再出発したわけです。挨拶をする運転手が増えてくるとお客様に喜ばれる、喜ばれると売上に反映され、赤字が黒字に転換してゆく。運転手にも給料として反映できる…良い循環をしてきたわけです」 ●イメージする理想の会社像というのは?「ホテルでしょうか。ホテルのいうのは入ったところからがサービスですよね。そう言うのを見ているわけですよ。私の目指すのは“羽織袴の正装で乗るのにふさわしい”と言われるほどのタクシーを作るのが理想です。タクシーは人命を扱う商売ですよね。人命を扱う商売なのに、社会から評価や信頼を得られないと言うのはおかしい。飛行機のパイロットがなぜ信頼されているか、それは経営者がそういった環境を作り与えてきたから。タクシーも経営者が気づいて、そういった環境を与えるべきですよ」
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