人事の専門家に限らず経営の全視点から人材マネジメントの基本を学習する、6回シリーズの4回目。人事・報酬制度は欧米型と日本型があり、大きく異なると考えていないだろうか。 今回は、日本と米国のビジネスステージの歴史を比較しながら、その時々の国の歴史や企業の経営課題の変化により、どの国の人事・報酬制度も同じように変遷している現実を知っていただく。そのうえで、先進事例を参考にしながら、これからの人件費・報酬管理の方向性を考える。
日本企業の多くの給与構成は、基本給は低く、各種手当てや賞与などで全体支給額を調整していた。これは、社会保険料や退職金算定基礎金額を低く抑えるなど、会社都合の意図も多分にあった。しかし現在では、社会保険料の年収ベース算定や、退職金と給与の切り離しで、その意図は崩壊し、1990年代からシンプルな年俸制が出てくる背景になった。また日本では年功序列賃金が特徴だとも言われていたが、構成員の高齢化や、右肩上がり経済が担保できなくなった現在、労使共に不利益が生じるため、維持不可能になってきた。 一方、米国の人事・報酬制度の歴史を見る。長くは組織階層のみで単純に報酬管理していたが、人材市場が拡大したことと、ノーマライゼーションを強化する1694年の「新公民法」施行で、企業の差別リスクが多くなったため、ジョブサイズを科学的に評価するポイントファクター型職務等級制度が普及した。しかし、構成員の成果が反映できない欠点が目立つようになり、1980年代に目標管理による成果制度が一般化する。これも個人主義や短期業績行動が目立ち、顧客視点が疎かになることから、1990年前半からは、チームワーク、顧客満足度重視、360度多面評価、ジョブよりコンピタンシー重視の制度へと移行して、現在に至っている。 では、これからの報酬制度、特に日本の場合はどういう方向に向かうのか。予見性の低い、柔軟な制度。一律性の低い、事業別、職種別、カンパニー別の制度。序列性の低い、業種や職種別の給与相場と成果貢献度による制度。ライン主導の、シンプルな制度。これらが主流になるだろう。 当然、人件費管理の流れも変化する。人件費総額の管理手法が必要になる。また人件費は、損益計算書上のコストではなく投資と考え、投資的な固定部分と、柔軟性の確保できる利益分配部分に分類することも重要になろう。さらに、報酬制度の多様化に対応するため、トータルコンベンセーション的視点も持つ必要がある。
スライド 時間 タイトル 00: 00: 00 人材マネジメント論 00: 00: 47 人材マネジメント論 00: 01: 44 人事制度の歴史と報酬管理の流れ 00: 02: 42 皆さんへの質問1 00: 04: 09 日本企業の給与構成の特徴 00: 10: 11 皆さんへの質問2 00: 10: 51 年功序列賃金の前提条件 00: 23: 24 米国の人事・報酬制度の歴史(1) 00: 33: 32 米国の人事・報酬制度の歴史(2) 00: 39: 04 日本の人事・報酬制度の歴史 00: 44: 46 これからの報酬制度の流れ 00: 48: 48 これからの人事費管理の流れ 00: 55: 23 事例:ミスミの報酬制度 00: 58: 17 第4回の課題 00: 58: 54 第4回のまとめ