人材マネジメントを行うには、明確な「事業ビジョン」が必要となります。なぜなら、人材マネジメントとは、事業ビジョンを具体化する方法に他ならないからです。 第1回目の今回は、事業ビジョンの意味と人材マネジメントとのかかわり、および戦略的な人材マネジメントのあり方について学習します。また、後半では実際に人材マネジメントを通じて優位性を構築しているIBM、スターバックスコーヒー、ミスミ、青梅慶友病院の事例を取り上げて解説します。
人材マネジメント論に入る前に、まず事業ビジョンとは何かを押さえておく。対象とする顧客を設定し、その顧客にどんな価値を提供し、その結果、どのようにして儲けるかが、従来考えられていた事業ビジョンである。しかし、顧客ターゲット・儲ける仕組みだけを考えたビジネスモデルは、もはや成功しない時代になった。事業ビジョンを具現化する人材マネジメントを視野に入れなければ、継続して成長することは困難である。 例えば、特定の特許・技術や立地、利権、規模の経済などに優位性を求め、人材マネジメントに何ら戦略を持たない経営は、市場変化の急な現在、それを守り続けることは難しい。もちろん、特定の技術や商品がビジネスモデルのコアなら、コアを担う人材は少数でもいいが、最近のビジネス市場では、より多くの人が優位性を構築するモデルが増え、それらが市場を席巻しつつある。ここに、人材マネジメントにおける戦略性の必要性がある。日本的人材マネジメントとか、米国型成果主義に区別するケースが見受けられるが、米国でも地域、産業、職種、時代により人材マネジメントのあり方は異なる。人材マネジメントを最初から日本型風土という概念で考えること自体、戦略指向が欠落していると断言してもいい。 独自性の高い戦略的な人材マネジメントを実行している企業のいくつかを例に出す。 IBMでは1993年、製品価値ではなく「ソリューション(問題提示・解決)」を提供する事業ビジョンに変更。職務序列の人事制度を廃して、ソリューションのできるプロフェショナル=ICP認定制度を導入した。スターバックスコーヒーは、価格や立地、商品そのものより、「サードプレイスとしてのリラックスできる「経験」の価値提供ができる人事制度で、消費者の支持を集めた。ミスミは、メーカーのために売りに歩く総合商社型でなく、「購買代理通販」というビジネスモデルを立ち上げるイントレプレナー人材を公募で育成した。認知症患者の多い青梅慶夕病院は、顧客視点を患者以上に家族に向けて支持を集めている。
スライド 時間 タイトル 00: 00: 00 人材マネジメント論 00: 01: 12 人材マネジメント論 00: 01: 27 人材マネジメント論2 00: 03: 54 1.事業ビジョンと人材マネジメント 00: 05: 08 事業ビジョンとは何か 00: 14: 06 組織人材ビジョンとは、戦略とは 00: 19: 58 日本的人材マネジメント 00: 27: 05 人材マネジメントに戦略性は必要か 00: 40: 41 事例1:ソリューション 00: 45: 50 事例2:「経験」という提供価値 00: 50: 03 事例3:購買代理店商社 00: 55: 33 事例4:幸せな最晩年