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> イノベーションライブ163:楠木建

次元の見えない競争とコンセプトのイノベーション --ソニー「コクーン」の事例--
ゲスト:辻野晃一郎氏(ソニー株式会社ネットワークターミナルソリューションカンパニープレジデント)


概要:
「次元の見えない競争」の時代、商品やサービスをめぐる競争軸は、従来のように単なる価格や性能だけではなくなり、そこに込められたコンセプトが重要になってきています。

そうした中、ソニーが発売した「コクーン」。単なるハードディスクビデオではなく、ユーザーの好みを学習し、番組を自動的に録画する、「チャンネルサーバー」という全く新しいコンセプトの下、消費者に新たなライフスタイルを提案しています。

今回は、ソニーの辻野氏をお迎えし、「コクーン」について詳しく伺いながら、非次元競争におけるコンセプトメイキングの意味とその重要性について考えていきます。

>> CoCoon<コクーン>
http://www.sony.jp/products/Consumer/cocoon/
 今日、次元の見えない競争が様々な業界で増えている。次元の見えない競争においては、勝敗を分ける軸が「コンセプト」であり、その創出プロセスが非常に重要となる。次元の見えない競争下で、新たなコンセプトを作るにはどうするべきなのか。そして、コンセプトを作るためのマネジメントには、どのような工夫が必要なのか。今回はゲストスピーカーにソニーの辻野氏をお招きし、全く新しいコンセプトを打ち出した「コクーン」の事例を通して、コンセプト創出プロセスとそのマネジメントを学ぶ。

 様々なデジタル録画機が台頭しているが、コクーンはそれらとは一線を画する。コクーンは、ユーザーの好みに合わせた番組を自動録画する「次世代のテレビ」であり、従来のテレビの視聴スタイルを変革するコンセプトを持っている。しかも、その機能はユーザーの使用によって進化していく。コクーン育成のためのポータルサイトも準備される。通常、家電は購入時の価値が最も高く、次第に落ちていくものである。しかし、コクーンは使用に応じて価値が上昇していくのである。これこそ、ソニーが狙うコモディティー化からの脱却である。ビジネスモデルを変える新コンセプトの創出が、競争の鍵なのである。
 しかし、新しいコンセプトの創出は決して易しくない。次元が見えなければ、経営者として明確な指示は出しづらいし、新たなことを始めれば社内で波風が立つ。しかし、逆風があっても、決められた時間内に目に見える成果を上げ、「最後までやり通す」ことが最も大切なのだ。その意味で、コクーンはまだ勝利宣言できる段階にはない。

 新コンセプト創出マネジメントとして、辻野氏は多くの社員とフラットに会話したそうだ。また、外部の評価も励みとなった。ソニーへの周囲からの期待は、プレッシャーでもあるが力にもなる。辻野氏は「ソニーは期待に応え続けていく必要がある」と述べる。
 講義タイムテーブル:
スライド 時間 タイトル
00: 00: 00 次元の見えない競争コンセプトのイノベーション
00: 00: 43 ソニー「コクーン」の事例
00: 01: 50 次元の見えない競争
講師紹介: 楠木 建(くすのきけん)
一橋大学大学院国際企業戦略研究科准教授
専攻はイノベーションのマネジメント。新しいものを生み出す組織や戦略について研究している。とくにコンセプトを創造する組織やリーダーシップに関心をもっている。一橋大学大学院商学研究科博士課程修了(1992)。一橋大学商学部専任講師(1992)、同大学同学部およびイノベーション研究センター助教授(1996)を経て、2000年から現職。著書としてManaging Industrial Knowledge (2001、Sage・共著)、『ビジネス・アーキテクチャー』(2001、有斐閣・共著)、『イノベーションと知識』(2001、東洋経済新報社・共著)などがある。論文多数。

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  アシスタント:西野七海

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