企業変革を4つに分類する手法を『企業変革の教科書』に基づいて考察し、第1回目では基本中の基本であるモデル1と、1より厳しいタイプのモデル2を取り上げる。モデル1はShrink to Growの形を取り、Shrinkではノンコア事業の切り捨て、コスト削減の2つ、Glowはコア事業の拡大、海外展開、新規事業進出の3つ、さらに重要点としてポートフォリオの入れ替え、企業文化の変革を実践、これらをワンサイクルとする。
赤字から3年で黒字転換したコマツの坂根改革の事例を見ると、ポイントはShrinkで半導体事業を切り、Glowではコムストラックスを導入、さらにコマツWAYの布教活動で企業DNAを変換したことだ。日産は全体に3つのウェーブをつくって実行。1つ目で工場閉鎖、サプライヤー半減、本社移転という聖域に対して大胆なShrinkを行い、ウェーブ2でShrinkとGlowを取り混ぜた処置をし、3で新しい車を送り出してもう一段階成長させたという大胆な改革を2年で成功させた。他にもHONDA、日立、良品計画、味の素の成功例があるが、縮小した後、何も残らず成長できなかったパターンが日本企業には多い。また1回のみだと必ず副作用のリバウンドが起きるので、習慣付ける必要もある。
モデル2はSelf Disruptionの形だ。クリステンセンの『イノベーションの解』によると、行動をタイプ①から④に分類する。①が本業を少人数で回す。②がキーとなる第2の創業ゾーン。自動車だとハイブリッド車に当たる。③は反主流事業を軽く行うゾーン。④は最も困難で、事業プロセスも企業価値観も遠く、M&A等が必要なゾーンだ。1993年、トヨタの奥田社長は自社の慢心を見て「打倒トヨタ」を公言、タイプ①でヴィッツ、②がプリウス、③がWill、④は一番難しいEVを打ち出し、保守的な価値観脱却を仕掛けた。今回紹介したモデル①と②は基本技だが、東芝の変革で時期とタイミング、ストレスの掛け方を誤り結果には届かなかった例もあるので、現場と最後まで自分事化する必要がある。