金子氏は、慶應義塾大学総合政策学部卒業後、2000年にアンダーセンコンサルティング(現・アクセンチュア株式会社)入社、ライフタイムパートナーズ株式会社を経て、2011年に株式会社リビングプラットフォームを設立し、北海道・東北を皮切りに高齢者住宅の展開を進め、2020年に東証マザーズ市場に上場した。
ライフタイムパートナーズでは、ヘルスケア投資を行なう最古参投資家の一人として同社の創業以来の全投資案件を担当し、フィナンシャル・サービス部担当部長として部門を統括し、医療・介護分野に対する自己勘定投資だけでなく資金調達のアレンジャー、M&Aのアドバイザー、キャッシュフローの改善を重視した経営支援も行なった。
創業の経緯は、大学の卒業論文でマクロモデル数百本を用いた財政モデル構築の過程において日本の持続可能性に疑問を持ちその原因としての少子・高齢化、それに伴う社会保障費の財政の拡大をコントロールする政策を提言したことに因る。
持続可能な社会保障制度を構築することをコーポレートミッションとし、介護・障がい者支援・保育の事業を展開している。介護は効率的で職員採用が有利な施設介護がメインで、障がい者支援は競合の少ない「住む場所の支援」と「初期段階の就労支援」、保育は認可の他病児保育を併設する企業主導型も展開している。
事業の根幹にある考え方は、サプライサイドの改善を通じて全体のパイを増やし負担を希釈させ持続可能な社会保障制度を実現するとし、障がい者や高齢者が活躍できる労働環境の提供と、介護・保育・障がい者支援施設拡充を通じた望まない離職の減少を支援している。
介護の課題は、特別な手立てを打たない場合、施設介護の中では高単価で社会保障負担の大きい医療療養型施設や特別養護老人ホームが最も多く整備されていってしまう。社会福祉法人から株式会社へ比重を変えていくことが財政負担を軽減し、持続可能な介護市場の発展に寄与すると語った。