HILLTOPの主力事業、部品切削加工サービスは、受注の約80%が多品種少量の試作品製作だ。月に数千品種を短納期で仕上げる鍵は、独自に開発した「HILLTOP SYSTEM」によるもの。職人技だった切削加工技術をデータベース化し、全生産工程を最適化、24時間無人加工を可能にする。現場環境を一定に保ちながらネットワークで共有するため、どこでも誰でも再現でき、業務ごとに分析することで見積もり精度も向上していく。昨今は試作品と完成品のレンジが狭まっているが、他社も含めタスクに関わる全体の速度が上がるよう、当システムを適材適所で使えるアプリにすることも検討されている。
製造業は現在、希望する若者が減っており、人材不足に陥っている。一人前になるまでの遠い道のり等、ネガティブな印象があり、解消したい大きな課題だ。職人技術の継承、多くの知見を必要とする工程設計・プログラミング・シミュレーション・加工機スケジュールは、早急にキャパを上げる必要があり、この部分のデジタルサービス化に特化したのが開発中の「COMlogiQ」。「HILLTOP SYSTEM」にAI化した職人技術や知見を乗せた部品加工工程の自動化システムで、機械が可能なところは自動で、本来、人が時間を割くべきコア技術の部分に人を投入する狙いがある。クリエーティブな製造業のイメージをつくって業界を盛り上げ、設備稼働率が上がることで生産性も向上、会社も人も成長するための新たなイノベーションが起こせるような環境づくりを目指している。
「COMlogiQ」を他社に導入する際、企業文化的に受け入れられるかという課題があるが、本サービスはサブスクリプションスタイルを取るため、使えるところだけを利用して企業に合ったスタイルをつくることもできる。製品の更新速度が上がったことで、供給側の価値も上がっている。大量生産の企業は生きづらくなり、高級品へ流れがちだが、切削業の試作品や「COMlogiQ」という新技術に注力するのも、市場的には非常に面白い。