佐別当氏は、2000年に株式会社ガイアックスに入社。広報・新規事業開発を経て、2016年1月に一般社団法人シェアリングエコノミー協会を設立し、事務局長に就任する。内閣官房IT総合戦略室よりシェアリングエコノミー伝道師に任命される。2018年11月に株式会社アドレスを設立、代表取締役に就任し現在に至る。
株式会社ADDressは、全国の空き家を活用し、定額制(月額4万円~)で全国どこでも住み放題の多拠点シェアハウスを展開する。地域住民が管理者「家守(やもり)」として地域のハブ役を担う。ADDressとオーナー間でサブリース契約を行い、会員とは賃貸契約を結ぶ。旅館業・民泊とは異なり、不動産契約によるサービスであるため、会員には、事前に本人確認書類の提出・反社チェックの審査を実施する。
国交省の調査によると、日本では、三大都市圏に住む20代の4人に1人が地方移住に関心を持っている。テレワークの働き方が浸透し、ミレニアル世代を中心にデジタルノマドの人口が増加しているため、ADDress社では、都市か地方ではなく、都市と地方の両方に関係して暮らす時代が来ると予測する。同社では、少子高齢化などの理由で地方に広がる空き家を有効活用し、多拠点居住から地方活性化を図る「全国創生」を目指している。
ADDressの会員は、20~40代の首都圏で働く世代を中心に、会社員、フリーランスなど、さまざまな職種で構成される。80%以上の会員がADDressで仲良くなった人がいると回答するほど、会員同士のコミュニティーが形成されてきた。現在では、会員同士や家守が趣味でつながる部活動も盛んに行われている。家守が会員と地域とのハブ役になり、さまざまな交流が全国で自発的に発生している。ADDress社では、地方と都市の人口をシェアし、全国に分散型の共同体創生を目指す。長野県小布施町、福井県美浜町、熊本県多良木町など、地方自治体と包括連携協定を結び、関係人口創出を加速させている。