三枝氏は、大学卒業、大和証券に入社し、地に足をつけた商売がしたいという思いから1976年にイトーヨーカ堂に入社、1996年から中国へ出向し、成都イトーヨーカ堂総経理、成都イトーヨーカ堂董事長、イトーヨーカ堂中国総代表、イトーヨーカ堂常務執行役員中国室長を歴任し、2017年にイトーヨーカ堂の代表取締役社長に就任した。
人生の転換点は、1996年の塙昭彦氏との出会いで、朝礼で中国出店の同志を求められた条件の利口はいらない、バカもいらない、私が求めている者は大バカ者だけだとの言葉に衝撃を受け、中国への出向を決意した。
中国市場は、苦難の連続であったが、人生すべて当たりくじと物事をポジティブ捉え、どんな生き方をしたかで運命は変わってくる。今は、今しかない今を精一杯生きようと努めた。中国人民のために何ができるかを合言葉として、共通の目的を常に確認し、大義は何かを考え、目標を大衆に喜んでもらえるお店をつくるとし、お客様第一主義の信念のもと、自ら中国に近づき、寄り添い、共に学び、変化対応につとめ、中国人と、切磋琢磨により、一緒に成長してきたという。
創業の精神の商いの道として、お客様は来て下さらないもの、お取引先は売って下さらないもの、銀行は貸して下さらないものというのが商売の基本で、一番大切なものは信用であり、信用の担保はお金や物ではなく人間としての誠実さ、謙虚さ、そして何より真摯さであるという原点を大切にし、今の時代に求められることへの根っこの考え方となっている。お客様・現場の声を日々確認し、行為の実行・修正をスピーディに繰り返すマーケットインの発想で、経営のスピードを迅速化している。基本に忠実・お客様第一主義の文化を大切に、進化を促し、徹底して挑戦し、飽くなき追及を進めてきたという。
三枝氏にとっての構想力とは「変化に対して素直であること」で、変化とは未来だと思う。未来に対して、変化に対して、常に素直に客観的に見てどうゆう道を行くべきかを考えることが重要だと語った。