概要:
コーポレートファイナンスの目的である「資金需要者としての企業が効率的に財務戦略を展開し、企業価値を高めること」を実践するためには、まず、企業価値算定のもととなるキャッシュフローとその現在価値の計算の仕組みを理解する必要があります。今回から3回(第2回-第4回)にわたって、企業価値算定のもととなるキャッシュフローとその現在価値(PV:Present Value)の計算の仕組みについて解説していきます。
ファイナンスの最も基本的な原則の一つに「今日もらう1円は明日もらう1円よりも価値がある」というものがあります。このことを逆に言うと「将来もらう一定のキャッシュフローが現在のいくらに相当するのか」ということを考えることが、現在価値の視点になります。将来のキャッシュフローの現在価値を計算するためには、割引率(DR:Discount Rate)からディスカウントファクター(将来支払われる1円の現在価値)を求めて計算します。ここでは、具体的な計算プロセス(Step1:将来のキャッシュフローを予測する、Step2:資本の機会費用を予測する、Step3:将来のキャッシュフローを割り引く、Step4:現在価値が初期投資額を上回るかを正味現在価値(NPV:Net Present Value)により検証する)ということについて解説していきます。
これらの概念は、コーポレートファイナンスの最も基本的な概念ですので、しっかりと理解してから次回以降に進んでください。
次に、ハイリスク・ハイリターンの原則について解説します。ファイナンスの原則では、「リスクがあるものの現在価値は、リスクが無いものの現在価値よりも価値が低い」ということが言われます。このことを逆に言うと「よりリスクの高い投資に対しては、投資家は、より高い収益を上げることを期待できない限り、投資をしない」ということが言えます。このようなことから、「リスクとリターンの関係がどのようなものになっているか」ということを明らかにすることは、現在価値を求める上で非常に重要になります。このテーマについては、後半の第7回以降で取り扱いますので、ここでは大きなポイントのみを押えて下さい。
さらに、収益性と正味現在価値による投資の2つのルールについて、解説します。投資を行う際の2つのルールとは、1.「資本コストを上回る収益率をもたらす投資のみを行うべきである」、2.「正味現在価値がプラスのもののみに投資すべきである」ということです。
後半は、資本の機会費用、投資と消費の関係について解説します。
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