山本氏は、東京大学法学部卒業後、三菱レイヨン、大東京火災(現・あいおい損保)を経て、放送大学理事を最後に隠居。その間30年にわたり毎週画廊を巡り続け、その時々の若手作家の作品を中心に蒐集してきた作品は1800点を超える。画廊ビルとして有名な昭和7年築の銀座奥野ビル内の隠居スペース「銀座の隠れ家」を拠点にアートソムリエとしてアートの普及と若手作家支援のための執筆・講演や企画展を行っており、蒐集作品による「山本冬彦コレクション展」を佐藤美術館(東京)、砂丘館(新潟)、天神山文化会館プラザ(岡山)や各地の画廊で開催している。
著書に「週末はギャラリーめぐり」や「ネットワーキングの方法―ヨコ縁づくりがビジネスマンの仕事と人生を大きくする」がある。
ビジネスにおいてイノベーションが大きな経営課題となるに伴いデザイン思考など、ビジネスパーソンのデザインに対する関心は急速に高まっていますが、日本のアート業界の現状は、高級なイメージが強いアートへの敬遠感や若い作家の発表機会の減少、アートの国際競争力が低下し、映画業界も音楽業界も日本の市場規模は世界2位であるのに対し、日本のアート取引は世界の取引額の1%以下しかないという。
なぜアート取引業界だけ、日本は世界から取り残されているのかという問題意識から、多くの人に芸術作品を身近に感じて欲しい、若手の作家のサポートをしたいという山本氏の想いから、アートに触れてもらえる場の提供し、若い作家の発表の機会を提供、美術雑文集 「隠れ家の暇つぶし」の発行やSNSの運営、文化的素養の必要性 を訴えテレビ・新聞・雑誌に登場するほか、六本木ヒルズなどで画廊巡りツアーを実施しているという。
山本氏は誰かのお役に立ちたいという思いから脇役というか触媒として一歩引くと見えてくるものがあり、構想力とは「一歩引いて誰かのお役に立ちたいという思い(脇役・触媒)からみえてくるもの」と語った。