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DXライブ > DXライブ 04

旭化成におけるDXの取り組み
ゲスト:河野禎市郎氏(旭化成株式会社 研究・開発本部 インフォマティクス推進センター センター長)
    原田典明氏(旭化成株式会社 生産技術本部 デジタルイノベーションセンター センター長)


概要:
企業は各事業領域において、外部データも含めた膨大なデータが積み上がっており、革新的かつ効率化するためにDXが有効となる。デジタル化することで、顧客接点にできるプラットフォームからのデータフィードバックにより、バリューチェーンの高度化が期待できる。本講義では、旭化成株式会社の幅広い事業領域の中から、研究開発系・生産系のDXに取り組む河野禎市郎氏と原田典明氏を招き、デジタル化でスピードアップ・価値・全体最適を図り、新しいシナジーをつくる取り組みを、実例を挙げながら説明いただく。
河野氏は、研究開発系のDXをマテリアルズ・インフォマティクス(MI)中心に行い、コア技術強化・成長を推し進めている。MIとは、数理モデルやビッグデータ等を用いて材料開発を行う取り組みの総称だ。用途としては、機械学習において効率的に実験条件を提案し、瞬時に製品の機能や特性を予測させる。旭化成の事例、樹脂コンパウンド開発への適用を見ると、顧客側から各種の部材に加工するため衝撃強度や難焼性等の要求があれば、従来は時間をかけて加工条件の実験を行っていたが、MIによるレシピ設計を活用すると、開発スピードアップやコスト削減がなされ、顧客へ迅速に対応できるため確実にビジネスチャンスが得られる。素材メーカーには必然的な技術だが、MIが各方面に進むと競争が激化し、例えばGAFAのようなIT系の参入もあり得ると河野氏は説明する。主導権を握るためには、AI・MIで使えるようデータを資産化し、サイバー空間で生まれた新しい価値をフィジカル空間で実証するための橋渡し的な人材育成が重要となる。

次に生産系を見ると、現在の問題点は労働力不足、人材育成、設備老朽化、工場の海外展開の加速であり、デジタルに取り込んで解決することがミッションだと原田氏は話す。既存工場の取り組みとして、官能検査の自動化、生産性向上、装置トラブルの予兆検知、作業の効率化の四つがあり、設備診断においては電池駆動の診断装置を開発し、作業効率面の事例では、住宅部材管理においてIoT用のねじフィーダーによるねじの自動供給を実現。新工場建設の際、最新IoTを搭載したスマート工場を設計し、プラント建設図面と運転を融合させたデジタルツイン構想を目指す。

生産高度化のためにまずは電子化を進め、データ分析を行って現場を改善できる自動化を目指している。旭化成全体ではデジタル人材の育成を重要と捉え、社員教育に力を注いでいる。DXの根本的な考え方は各産業とも変わらず、先行している多くの事例を取り組み方のヒントにしたい。

 講義タイムテーブル:
スライド 時間 タイトル
00: 00: 00 DXライブ#4 研究・開発系&生産系DXの取り組み
00: 01: 14 デジタル化による産業構造の変化
00: 03: 38 旭化成における研究・開発系&生産系DXの取り組み
00: 03: 48 旭化成の事業領域
00: 04: 45 旭化成のDX推進領域
00: 06: 38 旭化成における研究・開発系DXの取り組み~マテリアルズ・インフォマティクス(MI)を中心に~
00: 06: 50 組織&自己紹介
00: 08: 30 最初に:インフォマティクスについて
00: 09: 23 マテリアルズ・インフォマティクス(MI)とは
00: 12: 25 MIによる製品開発の流れの一例(1)
00: 13: 53 MIによる製品開発の流れの一例(2)
00: 13: 55 MIによる製品開発の流れの一例(3)
00: 13: 59 MIによる製品開発の流れの一例(4)
00: 14: 45 MIによる製品開発の流れの一例(5)
00: 15: 33 MIの事例:樹脂コンパウンドの開発への適用(1)
00: 16: 57 MIの事例:樹脂コンパウンドの開発への適用(2)
00: 19: 32 従来の開発とMIによる開発の融合
00: 21: 22 MIで変わるR&Dの流れ
00: 22: 48 MIがもたらす影響
00: 25: 46 MIにおける日本の協調戦略: データ基盤の強化
00: 27: 57 MIを柱にしたR&DのDX(1)
00: 28: 12 MIを柱にしたR&DのDX(2)
00: 30: 01 スマートラボ:目指す姿
00: 31: 01 結言
00: 36: 01 旭化成における生産系DXの取り組み
00: 36: 07 【目次】
00: 37: 31 1.1 生産系デジタル化推進の背景(労働人口減少)
00: 38: 04 1.2 生産技術革新におけるDXの必要性
00: 39: 17 2.1 既存工場の取り組みテーマ
00: 41: 28 2.2 官能検査の自動化(AIによる画像自動分類)
00: 42: 05 2.2 AIモデル改造および実装における課題
00: 43: 21 2.3 設備診断(回転機器の遠隔診断)(1)
00: 44: 10 2.3 設備診断(回転機器の遠隔診断)(2)
00: 44: 53 2.4 住宅部材管理のIoT活用事例
00: 45: 11 2.4 住宅部材管理のIoT活用事例(従来作業)
00: 45: 57 2.4 住宅部材管理のIoT活用事例(改善後)
00: 47: 03 2.5 ドローンの活用事例(水力発電所での活用)
00: 49: 27 3.1 スマートファクトリー構想 (デジタルツイン構築)
00: 49: 32 3.2 BIM(Building Information Modeling)データの活用
00: 49: 59 3.3 既存工場の3Dモデル化(データ計測活用)(1)
00: 50: 19 3.3 既存工場の3Dモデル化(データ計測活用)(2)
00: 50: 21 3.3 既存工場の3Dモデル化(データ計測活用)(3)
00: 50: 24 3.3 既存工場の3Dモデル化(データ計測活用)(4)
00: 50: 32 3.4 デジタルツインによる運転支援高度化
00: 52: 16 4. IoTプラットフォーム構築とデータエンジニアの育成
00: 54: 03 5. まとめ (生産高度化へのステップ)
講師紹介: 今枝 昌宏(いまえだ まさひろ)
ビジネス・ブレークスルー大学大学院 経営学研究科長
ルミエンスLLC代表パートーナー

【主な経歴】
・北海道大学法学部卒業
・京都大学大学院法学研究科卒業
・エモリー大学ビジネススクールMBA課程修了
・日本鉱業 / ジャパンエナジー
・PwCコンサルティング
・日本アイ・ビー・エム理事 兼 IBMビジネスコンサルティングサービス パートナー 通信・メディア・公益事業本部長
・RHJインターナショナル・ジャパン(旧リップルウッド) ヴァイス・プレジデント
・現在、コンサルティングと研修事業の企業であるエミネンスを経営

【代表的な著作】『実務で使える戦略の教科書』(日本経済新聞出版社、2018年)『ビジネスモデルの教科書【上級編】』(東洋経済新報社、2016年)『ビジネスモデルの教科書』(東洋経済新報社、2014年)『サービスの経営学』(東洋経済新報社、2010年)『戦略立案ハンドブック』(東洋経済新報社、翻訳、2002年)『実践・シナリオプランニング』(東洋経済新報社、共著、2002年)一橋ビジネスレビュー、Think!などへの論文、記事多数

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  アシスタント:林 愛美

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