PFのネットワーク効果には、LINEのような雪だるま式に利用者が増えたり、小さいホテルがAirbnbに入って集客するといった機能共有作用がある。ただ、効果には臨界点があるので、確実なユーザーの確保や、初期顧客をジョイントベンチャー化する等、事前の対策が重要だ。昨今はオープン化の議論もあるが、事業者がレイヤーを垂直統合し、新製品を投入しても、レイヤーマスターの出現で脅かされることがあるため、オープン化が推奨される。
最近の現象を見ると、ホテル比較のトリバゴ、カーシェアリングを比較するOmio等、既存PFにPFをかぶせるアグリゲーションが見られる。一方、大手事業者のPFからの離脱も起きている。原因は課金、機能更新の停滞、ユーザー情報独占等で、今後もAPAホテルのアパ直のように、自社で立ち上げる企業が増えるだろう。支配的PFの元ではニッチPFや異業種へ拡大させるのも有効なので、今後の戦略に生かすべきである。
資源のシェアリングは、社会全体の効率化にとって重要だ。プレーヤーは資源提供者、プラットフォーマー、ユーザーの3者、PFはUsage Management PFとして情報が集まり、シェアリングエコノミー領域は急速に拡大している。注意点は、所有ではない新しい秩序と人間関係を構築することと、顧客データの競争優位性、個人情報のプライバシーだ。データの蓄積はどんどん加速するが、所有者がはっきりしないためPF内にせめぎ合いが起こり、さらに情報のプライバシー感覚を見誤ると、世間の反感を買う恐れがある。
Pricingについて、デジタルで多いのがサブスクリプションだ。会員制や定期購入、価格が変動するDynamic Pricing等、従来とは異なる顧客を取り込むことで増益が期待できる。最後にDXの注意点として、現状維持のバイアスにとらわれないこと。Kodakはデジタル化兆候に目を向けず戦略転換をしなかったため倒産した。重要なのは、社内でITエンジニアを育成し、できればトップがパトロンとなり、DX体制にもっていくことが鍵である。