DXとは、既存企業が外部環境の激変に対して、製品・サービスやビジネスモデルをデジタル化し、組織構造、システム、人材等の7Sをドライバーとして競争優位性の獲得を目指すものだ。
企業内IT導入に限界が見え始めた昨今、企業間、製品間、顧客間を結びつけるデジタル技術を持ち、ユーティリティのあるプラットフォーム(PH)を提供する会社にビジネスチャネルを中抜きされる現象や、顧客の一極集中、製品のデファクト効果、スーパーアプリ化等による一人勝ちも起こってきた。こうした産業構造の変化から、社会は顧客データを一括管理するPHに支配されるようになり、データを持てない企業は敗退していくことになる。また、DXは戦略だけでなく企業文化の入れ替えも意味し、この部分のチャレンジも必要となる。PHやダイナリズム、エコシステムの勉強とともに法令・ルール形成も理解し、一歩先を進む米国や中国へのキャッチアップが望まれるところだ。
製品のデジタル化の事例を見ると、コマツはKomtraxという通信機能を建設機械に組み込み、各種情報をフィードバックさせている。クボタは営農支援として、自動機器管理や自動運転等によって協調制御を実行。サービスのデジタル化では、JR東海が無制限の予約変更をスマホで可能とし、飛行機への優位性を保っている。今後の展開では、PDCAのマネジメントを実現するUsage Management PH(UMPH)が新しいバリューチェーンに出現、UMPHを提供することで、企業は継続的なデータ収集と、よりよい顧客体験を提示できる。例えば、金融関係から情報を集めてコーディネーションするMoney Forward、タクシー配車管理のUber、Amazon GOのような小売店舗管理PHも出てくるだろう。
バリューチェーンはますます高度化し、設計から管理まで統合されていくが、打ち手をなるのは、プロセスの自動化とデータ連携、ここからいかにスピード感やコストダウンが実現できるかにかかってくる。詳しくは『実務で使える戦略の教科書』を参照されたい。