往々にして、顧客の購買プロセスと営業の認識はずれている。購買予測より受注が下回れば株価への影響やコスト削減が必要となり、上回ると成長機会の損失につながる。できるだけ正確な予測を出すためには、顧客が購入に至るまで段階ごとに商談の進め方を管理することが重要だ。
例えば、フェーズ1は顧客が持つビジネス課題を解決する手段が自社にあるという理解を得る段階、フェーズ2は顧客のビジネス課題・問題点・解決策・効果を整理して認識する段階、フェーズ3は競合他社とは差別化できる強みが顧客の選定条件に当てはまり選定してもらう段階、フェーズ4は合意契約に至るスケジュール調整や手続きについて最終交渉して意思決定をもらう段階、フェーズ5は正式な稟議決裁段階である。
フェーズ2の詰めが甘いとフェーズ4や5に進んだときに非承認や延期となる場合があるので軽んじてはならない。リスクを予想できればできるほど回避する準備ができるため、チェックポイントをためていくことが営業の役割となる。受注率25%の場合、パイプライン(進行中の商談)20件のうち1件受注したとすると、残りは19件ではなく14件だという認識を持つ。パイプラインは常に足りず、蓄えていく重要性を意識付けした上で、蓄積したデータは、予定日を過ぎても受注されていないもの、商談の進捗状況が更新されていないもの、受注予定日が何度も延長されているもの等は検証が必要だ。
受注を確実にするには、次のステップは何か、顧客は何をしている会社か、意思決定のキーパーソンは誰か、役職とは関係なく絶対に進めたいと思っている人がいるか、顧客が今期に受注する理由は何か、何もしなかったらどうなるか等、質問を投げかけることで、あいまいな点は明確にする。カスタマーサクセスとは、契約後の顧客を担当する新しい役割であると同時に「会社の文化」そのものである。製品開発部門からマーケティング・営業・管理部門まで全社員が取り組む姿勢をつくり、顧客にとっての成功とは何かを追求しなければならない。