講師を務める福田康隆氏は、本年1月よりジャパン・クラウド・コンピューティング株式会社パートナー、およびJCCコンサルティング株式会社代表取締役社長に就任した。本番組では、米国IT企業であるオラクル、セールスフォース・ドットコム、マルケトを渡り歩き、それらの日本法人においてマーケティングの成長をけん引してきた講師が、自らの経験から得た、世の中の変化に対応した新しい営業スタイルについて、著書『THE MODEL』を基に解説する。
福田氏は米国オラクルに駐在時、上司から「日本人は、生産管理はきちんとプロセス管理をするのに、なぜ営業はずさんなのか」と問われる。米国における営業は分業モデルが確立されていた。SaaS(インターネット上でソフトウエアを提供するサービス形態)が登場する前、IT導入には膨大な初期投資、バグが付きもののプログラム、サポートのために必要な顧客ごとの常駐エンジニア、提供する側は売り切って終わりの体質だった。1999年に創業したセールスフォース・ドットコムは、電気やガスのように契約すればすぐに使えるオンデマンドという形態でソフトウエアを提供、「売り切り」から「顧客とつながり続ける」組織を創出した。顧客はデジタル化により多彩な情報をオンラインで容易に取得、営業担当者が接触した時点で選定の絞り込みを半分以上終えており、主導権は顧客に移った。サブスクリプションサービス(定額課金によりサービス等の利用権を一定期間得られること)の普及は、顧客に利用開始時のコストを抑え、いつでも解約できるメリットを与えた。売り手側も、各企業に精通した人を派遣する必要がなくなり、全顧客が使う共有サービスから利用状況を分析することで、よりよい情報提供が可能となった。米国での営業のように、マーケティング、インサイドセールス、営業、カスタマーサクセスと段階ごとに分業すると、どのプロセスがボトルネックか可視化しやすく、各部門の責任が明確になる。マーケティングオートメーション(見込み客に適切なアプローチを行うことで購買意欲を喚起するツールの自動化)を活用、受注まで至らなかった顧客を循環して再アプローチするなど、顧客が求める情報をタイミングよく提供することで売上アップにつなげる。どれだけ緻密なプロセスを組み上げても、実行するのは人であり人材教育は欠かせない。ビジネス界で行われるオペレーションの多くは「今そうやっているから」という理由だけで盲目的に実行されているが、常に「なぜ」と問い掛ける習慣を忘れないことが大切だ。
スライド 時間 タイトル 00: 00: 00 分業体制・プロセス管理の意義/レベニューモデル 00: 00: 46 講師プロフィール 00: 02: 32 シリーズ一覧 00: 03: 20 資料(1) 00: 05: 04 資料(2) 00: 08: 41 THE MODELとは 00: 10: 34 過去5年でSaaS企業の時価総額は急成長 00: 11: 46 アメリカ本社で学んだ分業モデル 00: 14: 26 抵抗と反発 00: 17: 11 SaaSが登場する前のソフトウェア業界 00: 19: 45 カスタマーサクセスの時代へ 00: 20: 56 変化その1 主導権は「企業」から「顧客」へ 00: 21: 56 “顧客は営業担当者と接触する前に 67%の購買プロセスを終えている” 00: 22: 55 変化その2 サブスクリプションエコノミー 00: 25: 16 変化その3 製品がコミュニケーションチャネルに 00: 26: 41 資料(3) 00: 27: 38 レベニューモデルの創造 00: 28: 37 (再掲) アメリカ本社で学んだ分業モデル 00: 30: 44 先発完投型営業の限界 00: 32: 55 分業体制がもたらすメリット 00: 34: 40 スプレッドシートで計画した通りにはいかない 00: 35: 38 事業の成長過程で必ずぶつかる壁 00: 37: 57 資料(4) 00: 38: 55 新規リードの65%は「今すぐ」の顧客ではない 00: 43: 09 パズルを解く一本の線「リサイクル」(1) 00: 43: 27 パズルを解く一本の線「リサイクル」(2) 00: 43: 47 パズルを解く一本の線「リサイクル」(3) 00: 44: 48 サーキュラー(循環)型のレベニューモデル 00: 47: 08 どれだけ緻密なプロセスを組み上げてもそれを実行するのは人であることを忘れてはいけない 00: 47: 30 日本の製造業の強さの源泉はプロセスではなく、人材教育にあった 00: 51: 14 Kindleで最も多くの人がハイライトした箇所 00: 52: 56 CROという存在 00: 57: 10 最後に 00: 57: 12 「THE MODEL」を通じて伝えたかったテーマとは 00: 58: 28 資料(5)