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SDGsビジネス入門 > SDGsビジネス入門 04

日本企業がどうSDGsに取り組んでいるか?(2)
~矢崎エナジーシステム株式会社の事例~
ゲスト:大谷晴彦氏(矢崎エナジーシステム株式会社 管理室 企画部長)
    平塚千都氏(矢崎エナジーシステム株式会社 管理室)


概要:
水の課題は地球上の多くの人々に甚大な影響を及ぼす。SDGsは「3 すべての人に健康と福祉を」「6 安全な水とトイレを世界中に」を掲げる。新規事業を通じ世の中の課題解決をボトムアップで行うことに価値を見いだす企業が、日本のちょっとした技術をラストマイルまで届けることができれば、大きな変化を起こせるとの信念で果敢にチャレンジしている。当シリーズ第4回目は、水には縁の薄い、自動車のワイヤーハーネスなどでトッシェアを誇る矢崎総業とグループ会社による具体的な取り組みを紹介していく。
創業80年の矢崎グループは、BtoBの生活インフラやエネルギー関連事業を柱として売上高約2兆円。1961年より海外展開をスタート、現在45の国と地域に143法人、従業員は約25万人、うち日本人は2万人弱を占める。「社会から必要とされる企業」「世界とともにある企業」を社是とし、途上国に展開する企業としての社会責任を自覚。製品製造地ではなく、BtoC市場と捉え直しBOP(低所得層対象)ビジネスに参入した。

下痢リスクの高い国とグループ拠点が重なることに着目し、選んだのはインドネシア。低い衛生意識と不十分な対策から、下痢罹患者は239万人に上る。飲み水が悪いのではなく、高価なため、食器洗いや手洗いに手近な汚水を使う生活環境全体が要因となっている。現地事情を勘案し、母親や子どもたちへの衛生教育の提供と、安価で便利な除菌水スプレーの開発販売で解決に着手した。下痢のメカニズムを伝える知識学習から行動の変化を促し、衛生観念が根付くことで大腸菌減少を数値化、ランダム化比較試験で評価を行う。

ヒト・モノ・カネがそろう大企業がイノベーションの創出で苦戦する中、矢崎エナジーシステム社が成功しているのはテーマ(大義名分)、プロセス(仕組み)、マインド(想い)が三位一体でつながったこと。概念に共感する地元パートナーと協業し、デザイン思考(人中心のPDCA)を何度も回しニーズを把握したこと。加えて、担当者は現地へ行くたびにおなかを壊し、必要性を痛感したことも熱意に拍車がかかったらしい。

保健衛生と水に関するゴールは、世界の何十億人もが直面する問題故にビッグチャンスでもある。何よりも鍵を握るのが教育の普及だ。一企業だけではなく、他社とどううまく連携していくかも今後の成長を左右する。慈善活動ではなく経営として堅実に成立させることで、持続可能な社会課題解決型ビジネスとして大きく発展する可能性が高まっていく。

 講義タイムテーブル:
スライド 時間 タイトル
00: 00: 00 SDGsビジネス入門#4 日本企業がどうSDGsに取り組んでいるか?(2)
00: 01: 26 今日の流れ
00: 01: 48 持続可能な開発目標 = SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALs (SDGs)
00: 01: 52 SDGs3:「すべての人に健康と福祉を」が意味すること(1)
00: 02: 17 SDGs3:「すべての人に健康と福祉を」が意味すること(2)
00: 03: 32 SDGs6:「安全な水とトイレを世界中に」が意味すること
00: 04: 11 水の課題は地球上の多くの人に影響を及ぼしている
00: 04: 59 ジャカルタの中心部のスラム街
00: 05: 37 スナックを食べる様子
00: 06: 23 ジャカルタの中心部のスラム街で使用している水の例
00: 07: 32 ゲストプロフィール 大谷晴彦氏
00: 08: 29 ゲストプロフィール 平塚千都氏
00: 09: 30 共同での衛生関連プロジェクト
00: 09: 56 コペルニクフォーラムでのご登壇
00: 10: 33 お話いただくこと
00: 11: 36 資料(1)
00: 11: 58 矢崎グループについて
00: 13: 12 矢崎グループ経営規模
00: 14: 17 矢崎グループについて
00: 16: 34 ボトムアップ活動からのスタート
00: 17: 49 インドネシアBOP事業 概要
00: 19: 02 BOP水衛生事業のビジネスモデル
00: 26: 33 検討過程 手法・実績
00: 31: 31 ソーシャルインパクト評価
00: 32: 27 啓発活動及び、製品の配布に関する作業手順
00: 39: 10 【再掲】検討過程 手法・実績
00: 39: 15 検討過程 Output
00: 40: 50 検討過程 プロトタイプ・検証(1)
00: 41: 16 検討過程 プロトタイプ・検証(2)
00: 42: 06 資料(2)
00: 43: 02 フィードバック:世帯
00: 51: 16 新規事業の成功因子(1)
00: 51: 46 新規事業の成功因子(2)
00: 52: 24 新規事業の成功因子(3)
00: 53: 18 新規事業の成功因子(4)
00: 57: 01 まとめ
講師紹介: 中村 俊裕(なかむら としひろ)
コペルニク共同創設者兼CEO

京都大学法学部卒業後、英国ロンドン経済政治学院で比較政治学修士号取得。
マッキンゼー東京支社で経営コンサルタントを務める。
2010年コペルニクを創設。主に東南アジアの国々で農業、水、エネルギー、環境などの分野の課題を解決すべく、様々なシンプルなソリューションを発掘、開発支援し、さらに実証実験を行っている。
2012年には世界経済フォーラム(ダボス会議)のヤング・グローバル・リーダーに選出された。
現在大阪大学COデザインセンター招聘教授。

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  アシスタント:村田 美紀

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