是本氏は、株式会社本田技研研究所で18年間、F1や燃料電池車、航空機関連の開発エンジニアとして従事していた。在職中にNPO法人チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル資格を取得、2015年に株式会社ボスケソを設立。2016年にチーズ工房「ボスケソ・チーズラボ」、2019年に飲食部門「ボスケソ・ウマバル」をオープンした。
チーズを通じて食卓に笑顔を与え、健康増進や地域経済の発展への貢献、チーズの原料となる家畜の力で荒廃した森林や畑の再生を目指している。チーズをつくる過程で大量に排出されるホエー(水溶液)を近くにある馬事公苑の馬に与え、馬の厩肥でマッシュルームを生産・加工したり、豚に飲ませて良質な肉質に育てたりするなど、地域の中で循環を図る。伊藤氏は、商社で台湾や中国を担当して8年間、通販企業で18年間勤務していた。
日本産フルーツの素晴らしさを世界中の人々に伝え、ファンになってもらおうと2017年にJフルーツ・マートを設立、2018年に台湾・台北店舗を開店した。日本のフルーツや加工品を実店舗・通販・卸販売のチャネルから台湾で展開、アジア・中東・欧米への市場拡大も狙っている。日本人経営のフルーツショップとしては台湾唯一で、日本に同社があることで商社や卸業者を通さず日本企業より直輸入、ユニークな商品を早く取りそろえられる強みを持つ。
3回買った顧客は以降もリピート率が高く、割引サービスを導入して継続購入を促す。フルーツを入れたサンドイッチやゼリーがおいしければ次にフルーツも買ってもらえるため、加工品にも注力する。インスタ映えする商品は顧客がSNSで広めてくれる。
起業する上で大切なのは、それまでの人脈や経験を最大限生かすこと。自分がこうしたいという基本的な思いがあり、どのようなアクションを起こせるか、タイミングも重要だ。ものづくりでは試作品を評価してもらえると資金調達にも有効となる。まずは興味を持ったことに行動を起こし、仲間とつながり合ってアグリビジネスに挑戦していただきたい。