キャッシュレス社会が広がり、現金を扱う必要が減少したため、金融業界では、店舗数を削減し業務の効率化を図る取り組みが始まっている。オンライン決済などの利用で対面が減り、企業は顧客ニーズの把握が難しくなっている。デジタルとリアルの融合によって、日々コンタクトできる顧客接点を確立し、真のニーズを充足させるエコシステムの形成が必要である。例えばアリババは、オンライン・オフライン両方の店舗での購入情報などを統合し、信用情報として融資などに活用している。その情報を基に販売促進キャンペーンを展開するなど、データドリブンによる新しいバリュージャーニーの創出にも成功した。
みずほグループでは、2019年5月に、オープン&コネクトを基本戦略に据え、非金融領域への対応力を最大限に生かして次世代金融への転換を図るべく、5カ年経営計画を策定した。
同社では、預金・融資・為替の既存業務で培った、認証・スコアリング・プライシングのサービスを特化させ、外部に提供することで業務の拡張を目指している。FinTech市場の拡大に向けて、「API」の利活用によりスタートアップや外部企業との連携を推進し、クロスインダストリのビジネス開発を始めている。オープンイノベーションの軸としてBlue Labを創設し、プラットフォームビジネスの取り組みも推進している。
Blue Labでは、最終的に完全自動運転銀行を目指しているが、今は、銀行の口座開設や住宅ローンの申し込み手続きを自動化したAIを、来年度から提供する段階にある。同社から独立した日本版個人信用情報J.Scoreは、多用途での利用が予想され、期待が大きい。デジタル通貨を利用した支払い送金アプリJ-Coin Payは、3月1日から提供が開始された。
デジタル社会においては、個人のIDが重要で、その人の行動データはIDに順次蓄積されていく。みずほフィナンシャルグループでは、データ情報ハブとして、市場データから個人情報・機密情報まで「なんでも預かる銀行」の実現を目指している。