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人生を豊かにする教養 ~中国の古典を読む~ > 人生を豊かにする教養 ~中国の古典を読む~ 05

宋名臣言行録


概要:
本講義のテーマ『宋名臣言行録』は、北宋(960年建国)に登場した名臣の事跡をまとめたものだ。中国では約4千年前から文字が残されているが、宋になると印刷技術が開発され、書物等が一般庶民にも広がった時期でもある。人々は科挙(官僚採用試験)のために勉学に励み、科挙に通った人・士大夫の中には、ノブレス・オブリージュ(社会的責任感)を持って政治に当たった者もいた。彼らの言動を南宋の朱子が編纂、朱熹がエピソードを添えて文章化したものが本書であり、現代にも通じる「帝王学」を学び取ることができる。
ノブレス・オブリージュを感じ、強力なリーダーシップを持っていた士大夫は、議論をぶつけ合いながらお互いに尊敬の念を抱いていた。政治を担う姿は華やかに見えて実は地味であり、誠実に向き合う姿勢は現代人にも響くことが多い。日本語訳では、国立国会図書館のデジタルコレクション『続国訳漢文大成第21巻』にほぼ全文が、部分訳は、講談社から梅原郁氏が現代語訳付きで出しており、本書の全体像を知るには最適な一冊だろう。
『宋名臣言行録』から読み取れる帝王学、哲学を見ると、まず欧陽脩のリーダーシップ術が、現代中国に存在する政治家と民衆の敵対関係とは違っていることが分かる。「明にして察に及ばず」というように、物事を全て理解した上で締めるところはきっちり締めており、庶民は安心して従うことができた。人材採用に関しては、潔く身を引ける人を選ぶ張詠、長所を見て選ぶ趙匡胤、長所採用論に反対する韓琦と、それぞれ意見の対立が面白い。
中国特有の処世術と思えるのは、グローバルスタンダードであるコンプライアンスを重視する人は必ずしもトップの度量ではないということだ。例えば呂蒙正は、観察力が鋭いと人はついてこないからほどほどに。自分の悪口を言った人の名を知ると一生残るので忘れてしまえ。杜衍は、自分の出世のために韜晦(才能や地位を隠すこと)せよと言っている。人の上に立つには胆力、包容、議論が必要と示した韓琦は、国全員のことを考え、腹を据えて政治を行わなければいけないが、議論と友情とは別ものと言った。また、笵仲淹をはじめ宋の名臣たちは、君主の道として書かれた『春秋左氏伝』を参考にしていた。
最後に、『資治通鑑』を書いた司馬光は笵景仁との友情の中で、生きては同じ志で政治を、死んだら「青史に名を刻む」のごとく、次世代へ残ることをビジョンに書いている。『宋名臣言行録』は多様なパターンがバラエティー豊かに表現されており、士大夫を一元化することはできない。彼らの熱意を感じながら、自分流の解釈を考えていただきたい。
 講義タイムテーブル:
スライド 時間 タイトル
00: 00: 00 宋名臣言行録
00: 01: 25 目次
00: 03: 10 帝王学(政治の要諦を学ぶ) 貞観政要、晏子春秋
00: 05: 50 中国の政治体制の変遷
00: 11: 54 宋代士大夫 溢れる教養と高貴なノブレス・オブリージュ
00: 13: 23 宋名臣言行録 朱子が編纂(1130 - 1200)
00: 15: 35 真正の士大夫たち 綺羅星の如く…
00: 23: 11 宋名臣言行録 中国語図書、日本語図書
00: 24: 44 リーダー術 智・明・寛・厳
00: 28: 44 人の採用 長所を使えばよい?それとも?
00: 34: 00 生きかたの哲学 反省、陰徳、勤勉
00: 38: 31 処世術 度量・韜晦
00: 43: 58 人間をつくる 胆力・包容・議論
00: 48: 58 凛とした生き方 原理を貫く
00: 51: 10 毅然とした態度 公の場で堂々と自己主張
00: 53: 06 教育・友情 士大夫の心意気
講師紹介: 麻生川 静男(あそがわ しずお)
リベラルアーツ研究家

1980年京都大学大学院工学研究科卒業後、住友重機械工業株式会社に入社。
システムエンジニアーを経て、データマイニング事業を遂行。ミュンヘン工科大学、カーネギメロン大学工学研究科に留学。徳島大学大学院工学研究科にて博士(工学)取得。複数のITベンチャーの顧問歴任後、2008年京都大学産官学連携本部のIMS寄付研究部門・准教授。2010年「リベラルアーツ教育によるグローバルリーダー育成フォーラム」を設立し、運営する。

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  アシスタント:倉見 慶子

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