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人生を豊かにする教養 ~中国の古典を読む~ > 人生を豊かにする教養 ~中国の古典を読む~ 03

資治通鑑・善悪両面


概要:
『資治通鑑』は紀元前403年から959年までの歴史を描いた書物だが、その中には善の部分だけでなく、インパクトの強い悪の一面も記述されている。日本では『三国志』を読んで中国を知ったつもりになっている人が多いが、それでは到底、真実は見えてこないだろう。本講義では『資治通鑑』に書かれた、リーダーの在り方や人間性についてのポジティブ面と、繰り返される戦争のネガティブ面の善悪双方を紹介する。古代から現代に続く長い歴史の中から、真実を記した本書に触れることで、中国の本質を知ることができる。
中国の歴史書は、主にリーダー論がテーマとなっているが、日本人が思うリーダー像とは本質的に違う。「老獪」というと日本ではいいイメージがないものの、中国ではしぶとさやチャンスをものにする意味として、立派なリーダーの要件だ。また、能力ある部下は寝返っても使いこなす、自分の力は極力隠しておく等、日本人には理解しがたい指導者の姿も存在する。五代末の政治家、馮道(ふうどう)は、王朝が次々代わる時代に5朝を渡り歩き、司馬光からは一つの王朝のみに仕えないのは悪だと批判され、王安石からは形式にとらわれず人々の平和に力を注いだと高評価を得ているが、両者違った見方を『資治通鑑』には全て書かれている。憎まれるのが常である官吏の中には、護送中の罪人の足枷を外して解放したり、たとえ殺されても前言を覆さない正義感を持った人もいた。原文は「身は殺すべきも、辞は更(あらた)むべからず」、印象的な文章が多いのも中国歴史書の特徴だ。

『資治通鑑』はなぜ負の側面も記しているかというと、歴史書の使命として、人民の表裏を直視し、悲劇であっても現実から目を背けてはいけないという意味があった。中国社会の実相は、まさに生き地獄の闘争であり、本書には驚愕の世界がつづられている。敵がいなくなると味方が新たな敵となり、無実の人が陰謀に操られて多数死ぬ。1人の罪は一族の連帯責任となり、反乱軍の家族として全員が処刑される。兵士たちは都市の住民から財宝を奪い合い、戦の勝者は3日間の略奪が許される。抵抗したら皆殺しに遭い、戦争が終わっても悲劇は終わらない。ショッキングなのは、大洪水やイナゴの大発生等、天災の後に来る大飢饉での「人相食」であろう。飢えた人々は人肉さえ食べてしまうということが、フィクションではなく何回も起こっていることだ。このような事実を『資治通鑑』の巧みな文章力によって、あたかもその場所にいるようなバーチャル体験ができ、人的災害の戦争や天災の実話を知ることで、歴史書を読む意義があらためて感じられるだろう。

 講義タイムテーブル:
スライド 時間 タイトル
00: 00: 00 資治通鑑・善悪両面
00: 01: 04 目次
00: 03: 49 資治通鑑に学ぶリーダー論 人を育てる、人間力の涵養、正しい人生観
00: 04: 57 グローバルに通用するリーダー像とは 日本と世界
00: 10: 07 リーダーの要件 部下の能力、寝返り部下、老獪に徹する
00: 17: 21 誤解された信念の政治家 五代末の政治家・馮道の評価
00: 23: 16 罪人を信用する 期日までに全員が戻る
00: 26: 58 強烈な正義感 自分の言葉に命を懸ける
00: 29: 39 なぜ、ネガティブ面を紹介するのか? 現実から目をそむけるな
00: 33: 28 資治通鑑に見る中国社会の驚愕の実相
00: 38: 21 連坐で無実の人が大量処刑 王温舒の家族、盧台の兵の家族
00: 41: 01 想像を絶する大乱 誰も助けてくれない
00: 45: 06 壮絶な攻防戦 巨大な移動式攻城機
00: 48: 29 停戦後の悲劇 略奪は勝者の権利
00: 52: 14 常識外れの天災の凄さ 空一面の蝗(いなご)
00: 54: 48 大飢饉・大旱(日照り) 「人相食」も発生
講師紹介: 麻生川 静男(あそがわ しずお)
リベラルアーツ研究家

1980年京都大学大学院工学研究科卒業後、住友重機械工業株式会社に入社。
システムエンジニアーを経て、データマイニング事業を遂行。ミュンヘン工科大学、カーネギメロン大学工学研究科に留学。徳島大学大学院工学研究科にて博士(工学)取得。複数のITベンチャーの顧問歴任後、2008年京都大学産官学連携本部のIMS寄付研究部門・准教授。2010年「リベラルアーツ教育によるグローバルリーダー育成フォーラム」を設立し、運営する。

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  アシスタント:倉見 慶子

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