吉松氏は、東京理科大学基礎工学部卒業後、アクセンチュアを経て、1999年にアイスタイルを設立、2012年に東証一部へ上場し、生活者中心の市場創造をビジョンとして@cosmeを日本の20~30代の女性の3分の2が利用するメディアに育て上げた。メディア、EC、店舗を運営することで、ネットからリアルまで一気通貫でマーケティング変革に取り組み、ビジネスをデザインしている会社「Market Design Company」として、店舗の収益モデル、商品の生産計画、ブランドのCRMを再定義することにより、社会の仕組みそのものを変革しようとしている。
アイスタイルは、一般的な化粧品小売店のメーカーの営業や販促費に基づいた仕入れからユーザーのデータやランキングに基づく仕入れにし、販売できない商品も積極的に並べ販売場所を提示、商品を試せる場を店舗の多くに配置し店舗の収益モデルを再定義している。またAlibabaのW11のようにコスメ祭り「@cosme Beauty Day」に基づいた生産計画にすることにより商品の生産計画の再定義を図ろうとしており、ブランドのCRMは自社・他社の顧客データを一定の条件下においてオープンにし将来顧客の共有化・共同マネジメント化する@cosmeの顧客データベースCmRM(Community Relationship Management)により新しいマーケティングフィールドを創り再定義している。
アイスタイルのビジネスの特徴は、Platformの上に一業種全社の業界垂直統合型のビジネスモデルを構築していること、人材のリソースやノウハウなど社内のAssetではなく、User Centricを軸とした事業の展開であること、Cash Cowであるメディア事業から小売事業など利益が出にくい事業領域への戦略的投資にあるという。最後に構想力とは「イメージしていることの解像度を上げる力」と結んだ。