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新時代のバイオベンチャー > 新時代のバイオベンチャー 02

再生医薬ビジネス
ゲスト:鍵本忠尚氏(株式会社ヘリオス 代表執行役社長CEO)


概要:
現在、病気の治療は低分子薬品が主流だが、次世代に使われる大きな領域が、細胞を用いた治療であり、抗体医薬品、再生医療製品へと応用が進んでいる。本講座では、再生医療、細胞医療で開発を続ける株式会社ヘリオス代表、鍵本忠尚氏を招き、再生医療全般と最新の医療技術について伺う。鍵本氏は小南講師が九州大学医学部の研究室で教官を務めていたとき、同学部生として研究室へ入ったメンバー。臨床の道から起業へ転じた思いや研究内容を聞きながら、世界の最先端医薬領域を討議する。
鍵本氏は臨床現場で治せなかった3人の患者への悔しい思いから医薬品開発を決意し、2011年、ヘリオスを設立。同社の核である細胞を用いた治療研究は、体性幹細胞、ノーベル賞の山中伸弥教授が発明したiPS細胞、さらに進化した3次元臓器の3段階がある。体性幹細胞の適用疾患は脳梗塞で、骨髄由来の幹細胞を取り出し患者へ移植、臨床実験では脳梗塞発症後36時間までの治療で効果が得られている。 現在、米国アサシス社とライセンス契約を結び3年後に認証予定だが、日本には脳梗塞患者が約30万人と多く、医療費抑制のためにも認証が待たれる。

iPS細胞を使った治療は、目的とする細胞を1種類、iPS細胞から「分化誘導」というプロセスでつくり、損傷部位に置き換える。体性幹細胞は脳梗塞のように短期間で起こる疾患が対象、iPS細胞は長期間の疾患に適用する。例えば加齢黄斑変性のように、網膜色素上皮の変性が少しずつ悪化した場合、iPS細胞を網膜に移植すると、薬投与と違って再発もなく視力の維持が続き、QOL向上につながるという。3次元臓器は3種類の細胞を混ぜ、肝臓等の高機能な「臓器の目」をつくる技術だ。肝臓なら肝臓前駆細胞等、三つの細胞から肝臓原基をつくり出し、移植後は自ら血流を呼び込み臓器を再生していく。認証はiPSが3年、3次元臓器は6年後の予定だ。

ヘリオスは起業時に多方面とアライアンスを結び、共同研究をしている。その一つである大日本住友製薬の木村徹氏は、低分子薬品の限界や臓器移植の課題がある中、細胞移植技術は整っており実現は目の前に来ていると言う。鍵本氏は、再生医療等製品実用化は国の期待値も高く、大幅な規制緩和の法整備がされたので、高齢化と医療費問題解決のために日本初の新事業をつくりたいとのこと。講師は、再生医療は患者へのメリットが大きいが、臓器原基等をプラットフォーム技術として広げられるかが課題だと説明し、米国海軍の60%理論40%現状把握の思想を参考に、行動タイミングが重要と最後を結んだ。

 講義タイムテーブル:
スライド 時間 タイトル
00: 00: 00 再生医薬ビジネス
00: 00: 47 シリーズ一覧
00: 01: 07 最新のバイオテック・メドテック(ヘルステック)分野の概念図
00: 01: 26 国内上場バイオベンチャーの分類
00: 02: 01 ゲストプロフィール
00: 03: 18 会社概要
00: 04: 02 Healios
00: 05: 45 医薬品の変遷イメージ
00: 15: 25 再生医療の変遷
00: 18: 49 iPSC再生医薬品のコンセプト
00: 20: 22 iPSC再生医薬品のメカニズム
00: 20: 52 ヘリオスの事業内容
00: 22: 14 iPSC再生医薬品分野
00: 22: 18 iPSC再生医薬品分野 事業パートナー
00: 26: 13 加齢黄斑変性(AMD)の病態説明
00: 26: 45 iPS細胞由来RPE細胞による加齢黄斑変性症の治療イメージ
00: 27: 01 WetAMDの治療対象
00: 28: 10 視力推移のイメージ
00: 30: 28 iPS細胞由来RPE細胞製品の製造体制
00: 33: 40 3次元臓器(肝臓)への展開
00: 34: 09 3次元臓器の作製メカニズム
00: 36: 57 肝不全モデルマウスにおける生存率
00: 38: 08 肝臓移植の代替治療となりうる可能性も
00: 38: 35 体性幹細胞再生医薬品分野
00: 38: 41 体性幹細胞再生医薬品 HLCM051
00: 39: 01 現状の日本の急性期脳梗塞治療について
00: 40: 04 脳梗塞の年間発症患者数
00: 40: 23 アサシス社による欧米第II相試験結果
00: 40: 51 HLCM051 治験進捗状況
00: 41: 37 事業戦略
00: 50: 43 再生医療等製品実用化への規制面での後押し
00: 52: 31 経験豊かな経営陣
00: 58: 26 新時代のバイオベンチャー(2)まとめ
講師紹介: 小南 欽一郎(こみなみ きんいちろう)
テック&フィンストラテジー株式会社 代表取締役

1994年 東京大学大学院博士号(理学)取得後、英国王立癌研究所に留学
1998年 九州大学生体防御医学研究所にて助手(分子生物学)
2001年 野村R&A(野村證券)調査部にてIPO調査、及び投資部にて24社の バイオ企業投資を行う(内12社上場済み)
2015年 みずほ証券国内営業部門法人グループ法人営業推進部戦略調査室 ディレクターとして、IPO調査、産学連携を担当。
2017年 テック&フィンストラテジー株式会社設立。ベンチャー企業のIPOコンサル、 大手企業の新規事業進出支援、ベンチャーキャピタル・金融機関支援などを 手がける

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  アシスタント:坂本 安代

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