ミツカングループは、従業員数約3800名、売上高2446億円(2019年2月期)の企業グループである。1804年に醸造酢の製造メーカーとして設立され、216年の歴史を持つ。51%が海外での売上である。
もとは酒蔵だったが、酒かすを使って酢を作ったのが始まりである。同社の作る赤酢が江戸前寿司に広く使われるようになって業容を拡大していった。1845年頃には、山吹という商品名でブランド定着を図った記録がある。
同社は、創業以来天然由来の醸造酢製造メーカーであり、合成酢と差別化する意味でも1968年から1979年まで純正食品キャンペーンを行った。これが同社のコーポレートブランドづくりの原点である。
2003年にはmizkanに社名表記を変更した。そこには、食品メーカーとしてより安心安全を追求すること、地球環境へ配慮することなどの意味がこめられている。
2019年には「おいしさと健康の一致」「人と社会と地球の健康」という未来ビジョン宣言を行った。
そのうえで新しく作ったブランドが「ZENB」である。これを立ち上げるために、同社代表や従業員、食品の専門家、料理人、環境問題の専門家など有識者が集まってディスカッションを繰り返し、社会的課題とそのソリューションに対して、mizkanができることを、約5年間かかって考えていった。
そのコンセプトは、あたらしい「サステナビリティ」、あたらしい「おいしさ」、あたらしい「健康」である。地球環境とともに歩み、毎日でも飽きない食品を食べて健康になる商品を提供するという思いがこめられている。
ZENBというブランドで現在、スティックやペースト状の商品が販売されているが、これはコーンや枝豆やパプリカなどを素材に、普段は捨てているような芯や皮の部分まで可能な限り使用した商品となっており、素材そのもののおいしさ、安全性を大切にしたものである。
ブランドづくりは、コンセプトありきでも浮ついたものになりがちだし、プロダクトありきでは広がりがない。コンセプトとプロダクトが双方向に結びついて、有効なものができるのだと思える。mizkanのブランドづくりがそのことを教えてくれる。