日本における戦後の景気動向は大きく三つの時代に分かれて推移している。経済成長率の平均が9・1%だった高度成長期、4・2%だった安定成長期、1%の低成長期は現在も続いている。マイナス成長となった1974年は第1次オイルショック、1993年はバブル崩壊、2008年はリーマンショックの影響がある。これらの時代背景を前提にP/L(損益計算書)やB/S(バランスシート)は読まなくてはならない。ものがない時代には、いいものをつくれば爆発的に売れていたが、車や家電も含め、あらゆるものが行き渡った現在では何でも売れる状況ではなくなってきた。
経営を成功させる三つのTとして、IT(Information Technology)、FT(Financial Technology)、MT(Marketing Technology)が必要だと言われる。FTとMTを結び付けるところが重要であるため、FTの基礎固めは欠かせない。資金の調達と運用の流れを示すバランスシートは、図形のイメージで覚えることが大切である。基本的に、資産(左側)は負債と資本(右側)を合わせたもの。図の右側から必要なお金を集め(調達)、集めたお金を左側の「資産」に投資する。そこで投資と回収をぐるぐる回す。商売であれば、棚卸資産を買い、在庫を売って、お金で回収する。負債は銀行から借りたもので返済義務があるが、資本は株主から調達したもので返済義務はない。資産は何を買って何を持っているか、決算日の状態として表される。バランスシートには、資産が増えて負債と資本の下に「利益剰余金」が生まれる場合、資産が減り資産の下に「利益剰余金」がマイナスとして入る場合、資産が負債より小さくなり債務超過となる場合の3パターンしかない。資本と利益剰余金を合わせたものを自己資本と言い、自己資本比率は会社の安全性を示すため、不況時は高い方が好まれる。バランスシートを見るときは、まず全体の大きさ(事業規模)を見て、自己資本比率(財務体質)を比較することがポイントとなる。図のイメージをしっかり定着させて分析につなげよう。