DMG森精機は、森精機製作所として1948年創業、工作機械の製造、販売を行っている。専門性が高い中小企業を幾つも吸収しながら、ドイツの大手工作機械メーカーであるギルデマイスター(DMG)と2009年より業務・資本提携、2013年より社名・ブランド統一、2016年には完全経営統合、同社がドイツのDMGを子会社化した。総従業員約1万2千名は、ドイツと日本で3分の1ずつ、残りはアメリカ・イタリア・ポーランド・ロシア・オーストリアほか、多国籍人種で構成される。
全世界に既存ユーザー約15万社、潜在的ユーザー約15万社、稼働台数は約20万台。販売・加工技術・サービス拠点は46カ国157拠点、生産拠点は7カ国14拠点に広がるが、精度を求められる製品のため、労賃が安い地域ではなく日本やドイツ等、高技術を持つ国が中心となる。売上はドイツ・日本・アメリカが半数を占めるが、一国集中ではなく顧客が要求する多様な地域に展開。業種別受注先は機械・自動車・二輪が多いが、中小企業へのニーズも高く、オーダーメードに近いものが少なくない。
商品を納品して終わりではなく、どうすれば顧客の課題を解決できるか、現地語での使用説明やサポート体制の充実が重要なポイントとなる。今後は多品種少量生産に向かい、欧米での需要増が見込まれている。多国籍人材が共に仕事をするには、現地採用して他国へ転勤させ、方が年金や税金の問題をなくすることだ。同社では文化融合プロジェクトとして「よく遊び、よく学び、よく働く」をモットーに社長賞を設けることにしたが、ドイツでは猛反対され「Work、Study、Play」の順に変えるなど、国による文化の違いは大きい。高野氏は生え抜きではなく、マツダをはじめ、ソフトバンク、ゼネラル・エレクトリック、サウジ基礎産業公社等で国際展開・事業再構築に関わってきた経験が生かせると思ったが、それでも驚きの連続だと言う。グローバル化は足し算ではなく掛け算であり、情報流通や組織は複雑化する。出てくる課題を事前に全て予測することは難しい。