人生100年時代の到来に備え、教育と就労を繰り返す「リカレント教育」に注目が集まっている。リカレント教育は、当時のスウェーデン教育大臣オルフ・バルメが1969年にベルサイユで開催された欧州教育大臣会議において紹介したのが始まり。経済協力開発機構(OECD)は、1970年にリカレント教育を公式採用し、1973年に報告書「リカレント教育-障害がクシュのための戦略-」が発表され、国際的に広く認知されるようになった。
今推進すべきは、デジタル・ディスラプション時代に生き残るためのリカレント教育であるが、日本政府のリカレント教育は論点がずれており、結局は、「退職後の再就職」が主眼となっている。デジタル・ディスラプション時代には、常に学び直しをしなければ、市場の変化に付いていけなくなる。EU各国の職業訓練政策を比較すると、国際競争力の高い国ほど積極的にリカレント教育を推進しているが、日本の社会人の学び直しは、OECD諸国において低水準にある。
学び直し政策としては、企業に合わなくなった人材は外に出し、公的責任で再教育して企業に吸収してもらうといったシュレーダー改革時の発想を、将来の社会を見据えた仕組みに焼き直す必要がある。企業は、社員のキャリアマネジメントとして、10年ごとに大きくスキルを磨き上げる仕組みを整備し、段階を経てより高度な実務にチャレンジする体制を構築すべきだろう。次の10年で高度な仕事をこなすために再教育するものが、まさにリカレント教育所と言える。こうしたReal Time Online Case studyのシステムを構築していくことが、社長の最も大切な仕事となる。ビジネスパーソンは、時代に淘汰されない「稼ぐ力」が最高の貯金という認識を持つべき。21世紀は、自ら学ぶ人以外は生き残れないことを認識し、人生の節目でまとまった時間を取って学び直すことが必要である。